・布施
・六波羅蜜行、六度行のひとつ
・「与えること」を指す修行
・往古修行者に対して生活の必需品である「布」を「施」したことからそう呼ばれる
・伝統的な僧侶は住居を持たず定住せず
・「三衣鉄鉢」と呼ばれ、寒さ暑さに合わせて被着する三種類の衣と、在家者からの施しを受けるための鉢のみしか所有できなかった
・特に衣類は出家者の命を守る生命線でもあったため、大変に重宝された
・在家修行者は出家修行者に対して食事や衣類等の布施を修行し、徳を積んだ
・出家修行者は在家修行者に対して知識や智慧の布施を修行し、徳を積んだ
・そのため布施には深い功徳があるとされ、出家、在家を問わず熱心に修行されてきた
・未だに伝統的な仏教圏では来世への徳を積むための修行として、僧侶への食事の布施は毎朝の慣習になっている
・相互に布施が行われているので相互扶助や経済的な側面も見えるように思えるが
・あくまで布施は見返りを求めない、一方的な無償の愛である
・結果的に修行者に対して福徳の果報を受けることはあるが
・それは修行に対しての果報であり、被布施者からの見返りではない
・また、布施とは施しであるので、食事や金品だけがその内容ではない
・他者と笑顔で接する「和顔施」は相手に信頼感を施し
・仏教の真理を伝えることは「法施」と呼ばれ尊ばれる
・どんな形であっても、与えることが布施である
・現代的な捉え方をしてしまえば、「相手にとって喜ばしいこと」が布施とも言える
・相手は人間だけとは限らない
・時には愛犬、動物、植物、鑑賞物であっても
・心の奥底から湧き上がる慈悲心からの布施は何物にも代え難い功徳がある
・逆説的に、布施行を習慣的に修行することは慈悲心を育む手助けともなる
・慈悲ある行いは修行者の周囲を護り、修行者をも護るセーフティーネットをつくる
・修行の根幹にあるのは自他円満、二利双修の中道である