カボチャがぶら下がっている。「天空栽培」とも「空中栽培」とも呼んでいるが、仲間達特有の栽培手法である。地表面を離れた、数メートル上空の空気中で栽培を行うことで、当地特有の地形によるものかも知れない。現場はいわゆる棚田地帯で、北向きの下り勾配となった崖地状の耕地である。従って、日照・通風共に余り芳しく無く、必然的に工夫を要求されたものと思える。具体的には竹組で地上数メートル上に耕地状の棚を組み栽培物を登らせて日当たり良く栽培する事である。当然ながらツル性の栽培物となってくる。
今時分だと、カボチャやハヤトウリ等がその栽培物であろうか。今回はカボチャの「空中栽培」をご紹介しようかと思う。丸々とした栗カボチャが見事な景観でぶら下がっている。画像でご覧戴いた方が早いかと思うが、綺麗なカボチャでしょう。空中栽培の特徴は、栽培物が綺麗な状態で発育することで、地上栽培に比べ艶や色合いが優れているようだ。日照が十分なのと土まみれとならない事が有効に働いているのでは無いかと思っている。仲間達にそんな思惑は無いかと思うが、商品価値も高まるというもの。
無論マイナス面もあって、竹組の耕地を作り上げるのにそれなりの手間暇を要し、数年しか耐用出来ない強度にも悩まされる。早い話、数年おきに棚を作り替えねば為らないのだ。個々人にもよるが、2~3年持ってくれたら良い方だろう。それと栽培物が限定されてくるのは、条件下、やむを得ないかと。
仲間達の大半が取り組んでるようで、彼方此方に竹棚が設えてある。そもそもは師匠のカボチャ栽培が発端だった模様だが、各位が創意工夫して各種の形態を作り上げたようだ。画像の棚は、地上から斜めに登る形態をしており、カボチャが容易に空中へと誘われるようだ。カボチャに優しい耕地であろう。棚の下に潜り込んだら、何個ものカボチャがぶら下がっていた。
子狸の場合、耕地の都合もあってカボチャ栽培は行っていない。数年前までは地表面での栽培を行っていたが、やはりカボチャの表面に傷や色むら等が付きやすく、見た目が悪かった。それでも地表栽培に拘ったのは、やはり工作物の設置に多大な時間を要するのと、適した栽培物が限定されてくるのに悩んだからだ。カボチャ等のシーズンが終わると、竹組みの耕地は暇となり、棚下での栽培は別の意味で限定されてくる。プラスマイナスを考慮した結果、従来式の地表面栽培を継続した次第。
まあ栽培手法は各人各様、それぞれが工夫すれば良いことだ。地表面栽培も良し、空中栽培も良し、置かれた地形上の条件をうまく活用すべきでしょうね。