切れたメビウスの輪(19)

2016-12-14 21:20:59 | 怪奇小説
「今日は、これから会議がありますので出席します。」
「何時からですか?」
「九時から十一時までの予定です。」
「会議では何をするのですか?」
「前月の実績と今月の見込み、そして、今年度の着地見込みの報告をします。」
「会議資料に書いてありますね。」
「そうです、これを報告します。」
「みんなが、会議資料を見ればいいのではないですか?」
「会議資料は会議の時に配られますから、説明が必要なのです。」
「会議資料は、なぜ会議の前の日までに配られないのですか?」
「会議資料を忘れて会議に出席する人がいるので、会議の場所で配るのです。」
「会議の時にもらうから説明が必要なので、会議の時間が無駄になってしまっているのです。だから、事前に配布しましょう。」
「提案してみますが採用されないと思いますよ。」
「どうしてですか?」
「書いてある事を説明されるのが好きな人が多いんですよ。」

「みんなの資料の説明が終わりましたね。次は何をするのですか?」
「次回の会議の日程確認をします。」
「それも会議資料に書いてありますね?」
「確認をするのです。」

「会議資料に書いていることが全部終わりましたが、これからどうするのですか?」
「まだ、会議終了時間の十一時まで十五分有りますね。」
「会議の目的以外の事を話し合います。」
「会議が終わるのではないのですか?」
「会議時間は十一時で終わるので、そのまま、ここに居ます。」
「不思議な会議ですね。効率の良い会議に変えませんか?」
「提案しても、なかなか採用されないのです。」

「やっと会議が終わりましたね。」
「そうですね。会議はいつも長くて疲れます。」
「効率の良い会議に変えましょう。」
「そう思っている人が多いのですが、会議は出席するのが目的の偉い人も居るので、変更は難しいのですよ。」