一方、童話作郎はマイペースなので拘らない。自分の今置かれている世界をエンジョイしているからである。
「さあ、どうするか?」と、横顔生夫。
「さあ、どうするか?」と、縦顔死郎。
人生最大の決断である。
横顔生夫は、今の家が両方の世界への入口として存在している間は、このまま両方の世界の中で居たい。
会社の帰りにビールを飲んで、休みの日には子供達に童話を読み聞かせる。これ以上の幸せは無いと思っている。
それに、何よりも誰にも負けない大きく華やかな花束を手にいれ、ソプラノ歌手の深く澄んだ声に酔いしれる喜び、そして、花束を渡す優越感に浸り、柔らかい手との握手。これは絶対に譲れない。
縦顔死郎は、今の家が両方の世界への入口として存在している間は、このまま両方の世界の中で居たい。
時々ビールを飲んで、時々テーマパークに行きたい。
それに、何よりもオーケストラによるクラシック演奏会を静かに聞き入り、演奏が終わった時の、割れんばかりの拍手と、
「ブラボー」
「ブラボー」
の歓声は、ホール全体のうねりが自分を包み込み陶酔させるので、これは絶対に譲れない。
横顔生夫は、
「毎日ビールを飲みたい。」
「ソプラノ歌手と握手をしたい。」
「シックスシグマ手法を使った別のプロジェクトがまだ完成していない。」
と思い、今の世界に残ろうと考えた。
縦顔死郎は、
「ディズニーランドに行きたいし、ユニバーサルスタジオジャパンにも行きたい。』
「クラシック演奏会にも行きたい。』
と思い、双子の兄に相談した処、
「いずれ帰って来るのだから、自分と同じ経験をした方が良い。」とのアドバイスがあったので、住む世界を変えてみることにした。
意を決した横顔生夫は、コンコンとノックをして、縦顔死郎を待った。
程無く縦顔死郎が出てきたので、お互いの入口が閉じられるのではないかとの心配から、家の外でお互いの考えた事を話し合った。
横顔生夫は、どちらの世界で住むのか考えて、自分が今居る世界に住むことにした事を告げた。
そして、毎日ビールが飲める事、ソプラノ歌手と握手ができる事、仕事上のプロジェクトがまだ完成していない事を付け加えた。
それを聞いていた縦顔死郎は、
「実は、私もお互いの入口が閉じられる予感がするので、考えていたのですよ。」
と言って続けた。
「私は、ディズニーランドに行ける魅力が大きいし、あなたと同じようにビールが飲めるのも嬉しいですね。
兄に相談したら、ここにはいずれ帰って来るのだから、それまで住む場所を替えるのは、私が経験した事と同じだから良いと思うよ、と言ってくれました。」
「それでは、入口が閉じられたら一緒に住みますか?」
「そうですね、そうしましょうか?」
「そうしましょう。よろしくお願いいたします。」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。
「さあ、どうするか?」と、横顔生夫。
「さあ、どうするか?」と、縦顔死郎。
人生最大の決断である。
横顔生夫は、今の家が両方の世界への入口として存在している間は、このまま両方の世界の中で居たい。
会社の帰りにビールを飲んで、休みの日には子供達に童話を読み聞かせる。これ以上の幸せは無いと思っている。
それに、何よりも誰にも負けない大きく華やかな花束を手にいれ、ソプラノ歌手の深く澄んだ声に酔いしれる喜び、そして、花束を渡す優越感に浸り、柔らかい手との握手。これは絶対に譲れない。
縦顔死郎は、今の家が両方の世界への入口として存在している間は、このまま両方の世界の中で居たい。
時々ビールを飲んで、時々テーマパークに行きたい。
それに、何よりもオーケストラによるクラシック演奏会を静かに聞き入り、演奏が終わった時の、割れんばかりの拍手と、
「ブラボー」
「ブラボー」
の歓声は、ホール全体のうねりが自分を包み込み陶酔させるので、これは絶対に譲れない。
横顔生夫は、
「毎日ビールを飲みたい。」
「ソプラノ歌手と握手をしたい。」
「シックスシグマ手法を使った別のプロジェクトがまだ完成していない。」
と思い、今の世界に残ろうと考えた。
縦顔死郎は、
「ディズニーランドに行きたいし、ユニバーサルスタジオジャパンにも行きたい。』
「クラシック演奏会にも行きたい。』
と思い、双子の兄に相談した処、
「いずれ帰って来るのだから、自分と同じ経験をした方が良い。」とのアドバイスがあったので、住む世界を変えてみることにした。
意を決した横顔生夫は、コンコンとノックをして、縦顔死郎を待った。
程無く縦顔死郎が出てきたので、お互いの入口が閉じられるのではないかとの心配から、家の外でお互いの考えた事を話し合った。
横顔生夫は、どちらの世界で住むのか考えて、自分が今居る世界に住むことにした事を告げた。
そして、毎日ビールが飲める事、ソプラノ歌手と握手ができる事、仕事上のプロジェクトがまだ完成していない事を付け加えた。
それを聞いていた縦顔死郎は、
「実は、私もお互いの入口が閉じられる予感がするので、考えていたのですよ。」
と言って続けた。
「私は、ディズニーランドに行ける魅力が大きいし、あなたと同じようにビールが飲めるのも嬉しいですね。
兄に相談したら、ここにはいずれ帰って来るのだから、それまで住む場所を替えるのは、私が経験した事と同じだから良いと思うよ、と言ってくれました。」
「それでは、入口が閉じられたら一緒に住みますか?」
「そうですね、そうしましょうか?」
「そうしましょう。よろしくお願いいたします。」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。