徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

柄前のオーダーメイドと研磨

2015-09-02 03:24:21 | 拵工作
最高級の拵えが完成しました!



反りの深い美しい体配のお刀です。鞘だけは現状の物を用います。



刀身の魅力を邪魔しないよう、自然なフォルムで柄前を作りました!
この拵え様式は、最も格式の高い打刀拵で、江戸期を通して武家がお城に昇る時や冠婚葬祭の時など、特別な行事の時に用いました。



棒柄状の柄前を外して、新たに柄前を作成。



形状(柄成り)の違いが、使用感に影響を与えます。



ご依頼者様のお身体に合わせたオーダーメイドです。
刀剣と使用者を結ぶ装置は、外装以外にありません。
外装を身体にあわせて製作することは、本来あたり前のことなのですが、昨今刀身にばかり気が向いてしまって外装を疎かにしている武道家をよく見かけます。いざという時に後れを取らないために、外装にもこだわる事が江戸時代の常識でした。



柄前の新規作成に伴い、鍔も交換するご依頼です。鍔には刀身に合うように責金を施しました。鍔と縁頭を変更するため、柄前側の切羽も交換。



柄の長さから形状に至るまで、使用者の為だけに作ります。
オーダーメイドとはいえ、刀身とのバランスも重要です。刀身の本来持っている性能を最大限に引き出せる外装でなければ意味がありません。



柄成りは、若干刃方を深めに取った立鼓型です。刀身の形状から、天正風の柄成りに仕上げました。



柄糸は、若干細めの正絹を諸摘み巻きに施し、全体のバランスを調整しました。



柄縁は、私のコレクションの中から、腰の低い物を選択。頭は水牛の角を削り出して漆で仕上げます。



ご依頼当初、刀身に大きな歪みが見られたため、若干肉置きを調整しました。
完全には刃むらを取りきれていませんが、極力痩せないように心掛けることも研師の大切な責務です。

後はお祓いを済ませて、納品です!

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