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奄美大島で外来種マングースの絶滅宣言に至る道は長かった

2024-09-07 00:00:00 | 防衛
筆者は小さい頃、奄美大島と言えば、マングース導入という言葉が子供向けの動物や自然環境関係の書籍でよく目にした言葉やイラストを、今でもよく覚えています。


貴方も貴女も、それらの記憶をお持ちの方もおられると存じます。


マングースは、当時、ハブ対策として導入されたものですが、実際にはハブをほとんど捕食することはなく、在来種のネズミやウサギ、小鳥等を捕食し、農作物等への被害も拡大していったので、特定外来生物として捕獲の対象になったのです。




9月3日13時28分に産経新聞 THE SANKEI NEWSが「」奄美でマングース根絶宣言 希少種捕食で防除進める 環境省「世界的にまれ」の題で「クマ・野生鳥獣」の特集・連載項目にて、次のように伝えました。


『(前略)


環境省は3日、世界自然遺産に登録されている鹿児島県・奄美大島で、希少種を食べるなど、生態系に被害を及ぼしてしまうため防除を進めてきた外来種マングースについて、根絶したと宣言した。平成30年4月を最後に捕獲数がゼロとなっていることなどから、奄美市で開いた有識者による検討会が同日午前、「根絶した確率が極めて高い」と評価していた。


環境省によると、奄美大島ほどの大きさの島で、広く長期間定着したマングースの根絶が成功すれば、世界的にもまれな事例だという。
(以下略)』





これについて、環境省HPが同日、「奄美大島における特定外来生物フイリマングースの根絶の宣言について」の題で次のように報道発表しました。


『令和6年9月3日(火)に開催された奄美大島フイリマングース防除事業検討会において、令和5年度末までの防除作業の確定値を踏まえた根絶確率の推定結果を基に、科学的見地から特定外来生物フイリマングースが根絶に達したと評価することが妥当であるとの評価が下されました。
 環境省においても、上記検討会の評価に加えて関係機関からの意見も踏まえ、根絶したと判断することが適当と考えており、本日、フイリマングースが奄美大島から根絶されたことを宣言します。


(中略)


フイリマングース(以下「マングース」という。)は、バッタやコオロギなど小型の無脊椎動物から、カエルやネズミ、ウサギなどの脊椎動物まで様々な動物を捕食します。マングースは奄美大島において分布域を広げ、2000年には推定1万頭(1999年度末の推定6,000頭+自然増加分)にまで増え、アマミノクロウサギやケナガネズミといった希少な固有の動物にも大きな影響を与えました。2005年に「特定外来生物による生態系に係る被害の防止に関する法律」(平成16年法律第78号。以下「外来生物法」という。)に基づく特定外来生物に指定されました。


マングースの侵入と防除の経緯
 沖縄島には1910年にマングースが導入され、野外に定着していました。奄美大島には、1979年頃に沖縄島から30頭程度のマングースが持ち込まれ、名瀬市朝仁赤崎周辺に放獣されたことが関係者への聞き取りによって確認されています。





 定着したマングースの分布拡大に伴い、農畜産被害が見られるようになったことから、地元市町村では1993年から有害鳥獣としての捕獲を開始しました。また、環境省(当時、環境庁)及び鹿児島県では1996年から4年間、モデル事業として分布や個体数の調査および捕獲手法等の検討を開始しました。モデル事業の結果、マングースの分布拡大と呼応するようにアマミノクロウサギを始め多くの在来種の分布域が縮小していることが明らかになったことから、早期の対策が必要と判断し、2000年より環境省(当時、環境庁)及び鹿児島県により防除事業(捕獲数当たりの報奨金制度)を開始しました(2001年からは環境省のみによる実施)。


 しかし、マングースは行動圏が小さく、車道沿いで捕獲を行うだけでは分布域の縮小にはつながらなかったことから、マングースの根絶を目指すためには、林内を含めたより綿密なわな配置が必要であると考えられました。
 環境省では、2005年に外来生物法が施行され、本種が特定外来生物に指定されたことを踏まえ、マングース対策のためのプロ集団「奄美マングースバスターズ」を結成するなど、本種の防除体制を強化しました。以後、このバスターズを中心として、林内を含めて島のほぼ全域に渡って高密度にわな(3万個以上)や自動撮影カメラ(300台以上)を設置・管理するとともに、マングース探索犬の導入、終盤に残された対策困難地における殺鼠剤を利用した対策を実施してきました。さらに、バスターズによる捕獲わなの混獲回避のための度重なる改良や、探索犬とハンドラーの連携による個体捕獲手法の開発など、あらゆる手法を駆使して防除を進めてきました。


(中略)


こうした組織的かつ長期間にわたる不断の地道な取組、科学的な知見に基づく防除計画の立案と進行管理、地域住民を含め多くの協力者との連携が実を結び、防除事業の進捗と共にマングース個体数の大きな削減に成功し、2018年4月に最後の1頭を捕獲して以降、約6年間に渡って、わなでの捕獲や探索犬による検出、自動撮影カメラによる撮影などの明らかな生息情報は確認されていません。


(中略)


マングース根絶後のこれから
 侵略的外来種の根絶を目指そうとするとき、対象種の生態を把握した上で、現状の防除作業が分布域全体をカバーできているのか、分布域の拡大が抑えられているのか、どのように個体群の縮小に機能しているのか等、根絶に向けた十分な対策が取れているかを常にモニタリング・評価していくことが不可欠です。奄美大島のような起伏が大きく複雑な地形を有する大面積の島でマングースを根絶できたことは、今後の我が国や海外の外来種対策の参考となる優良事例となり、対策の推進に寄与することが期待されます。


 他方の事例、マングースが持ち込まれなければ、被害も捕獲も、そして、長きにわたる多くの関係者の苦労もありませんでした。第二のマングースを生まないために、我々人間には外来種被害予防三原則「入れない・捨てない・拡げない」を遵守していく責任があります。
(以下略)』


たとえ、ハブ対策の為に良かれ、と思い導入し奄美大島に放たれたマングースは、その思惑とは外れて在来種や農作物を荒らす害獣と化し、結局は長期に渡る多額のお金や人員等の投入で根絶されました。


国内だけではなく海外で有名な外来種の害獣として、オーストラリア大陸に放たれた、イギリスから輸入された48羽のうさぎの事例がありますね。
様々な対策も根本的な効果が無く、現在では推定8億羽にもなって大きな被害を与え続けているとか。


我が日本でもアライグマ、ブラックバス、ハクビシン、台湾リスなどの外来種が大きな被害を与え続けている今、外来種被害予防三原則「入れない・捨てない・拡げない」をマングースの被害と根絶の経緯の教訓を基に、徹底しなければなりませんね!!




奄美大島で外来種マングースの絶滅宣言に至る道は長かった
この教訓を生かそう!!






奄美マングースバスターズのロゴ


出典:環境省HP




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