
月山から降りてきて庄内あさひICから高速に乗って、鶴岡から酒田を抜けてからはまた一般道となって、遊佐を通り過ぎて秋田県に入ったところが象潟、第一日目の宿はその海岸に面して建つ鳥海シーサイドホテル(冒頭写真)で夕刻の6時過ぎに到着、国道沿いにいきなり現れて、海側はこの日は眺望が利かないこともあって情緒に欠けるロケーション、外見からはやや大型のホテルに見えたが広い駐車場はガラガラ、翌日知ったが我々の団体だけがこの日の宿泊客となっていたということであった。
象潟はかの芭蕉の句に「象潟や 雨に西施が 合歓の花」があったように、ここまでの道中には合歓の花が多く見られて、やはりこの時期は雨が多いんですね。そのころの絵図を翌日の湿原ガイドが見せてくれたが、往時の風光明媚な風景の要めだった湖などは陸地になってしまって、今はいきなり日本海の海岸線が迫るだけでは、雨も風情を加えてくれないことになってしまいましたな。現在は晴れても茫々とした風景に成り果て、冬場は吹雪いてで荒涼たるものに、せめて鳥海山が眺められれば救われる土地じゃないかとと想像します。地名もにかほ市となってしまって、もう古典の象潟は消えてしまったということでもあって、地名変更はその象徴みたいじゃありませんか。
我々の客室は別棟ということであったが、廊下の安っぽい絨毯には雨漏りの跡があったり、客室もかなりくたびれていて繁盛していない様子が、トイレだけは便器を暖房便座に変えたらしいのは電気コードの径路で分かりました、でもウォシュレットじゃないんですよ、これもマイナス、秋田ではまだこういう施設ではウォシュレットは普及していないんですかね。
翌朝の朝の海側の眺めもあまり視界が利かずで
上の反対方向
到着から夕食の時間までは1時間弱しか無くて、急いで温泉に行ったら海に面した大浴場の内風呂だけで、一郭にあった露天は冬期は省エネで休止と貼紙があったが7月でも冬なんですかね。さらに洗い場の湯が出ないにはどうしてと、時間が少なかったから文句を言いに行く時間もないと、こうなったらただただ湯に浸かるだけにしちゃって、短時間で切り上げられるというものだと皮肉を言いたくなりましたな。翌日の朝食時には支配人が謝りに来て、ボイラーの故障があったらしいことを詫びていたが、翌朝はスンナリと湯が出たから故障というより手違いがあったのでしょう、とにかく従業員が慣れていないような若いのばかりだったからねぇ。
夕食は天井の高い洋風宴会ホール造りでこれは結婚披露宴などに使おうとしたものか、場違いな感じがしないでもない。食事内容では稲庭うどんと海藻のすまし汁だけが後出しで、鍋は一応は牛肉ですき焼き風となっていたが、僕はこの中ではカレイの煮付が一番美味しかった、宿の設備では落第だが、食事自体はまずまずで目くじらを立てることはありません、量もこの位あれば我々には十分です。
夕食
タコとイカは酒の肴にいい
アマエビ、ブリ、イカだが鮮度はもうひとつ
すき焼き
このカレイが美味しかった
稲庭うどんとモズク酢、稲庭うどんの麺が固まっていたのはマイナス
茶碗蒸しと海藻のお澄まし
秋田はスイカの産地、冷酒は地酒だそうだが飛び切りというようなものではない
毎度のことながらツアーの初日は朝が早いからと9時時前には寝てしまって、翌朝は風呂に入れるという6時を待って一番乗りと、でも一人だけフライングしていたのがおりましたな。源泉の温度が30℃ぐらいとあったから、夜はボイラーを止めて朝は5時ぐらいから加熱と、大いに経費節減に努めているというわけだろうね。成分表を見ると泉質はナトリウム-塩化物強塩泉でかなり塩分が濃い湯、成分総計では塩っ辛い焼津黒潮温泉よりも多い、でも温泉が多い秋田や山形などの東北地方にあっては、塩化物泉ではパンチが無いかな。カランの湯も直ったが、7時からの朝食だからと朝も湯に浸かることに専念してしまう。
温泉成分表
朝食もイカ刺しが朝からにもというように付いていたのはさすが海沿いの宿、内容もボリュームも十分過ぎるぐらい、特に焼魚がニシンというのが珍しいと朝食では僕はこれが一番、女房は小骨がと手間取っていたようだが、小さい頃から小魚を食べ慣れている僕は何処に骨があって身を外すかを知っているからどうということはない。この日の昼は大型のお土産屋や食事処がある施設とかで、オプションの注文を取っていたが我々は希望せずで、昼の分まで朝に食べておこうかぐらいで大食いしてしまったわい。
朝食
ニシン、イカ刺し
温泉玉子、海藻の味噌汁
コーヒーの用意もあったのは感心