青荷温泉ではバスの運転手お二人も同宿だったから一緒のマイクロバスで戻った道の駅虹の湖で再び観光バスに乗り替えて、三日目の最初は八甲田の山中にある酸ヶ湯温泉へと向かう。またも登って行くことになる山道の一般道は道幅はあるが、左右は雪の壁だから中型バスぐらいでないと普通車とのすれ違いが難しいぐらいの場所が長くて、幸いにバスとの遭遇はなくてやはりまだ我々みたいな変人の団体観光客はまだ少ない時期なんですね。
途中の城ケ倉大橋あたりからは反対側の車窓に八甲田ケーブルカー山頂駅なども見えて、添乗員さんはこの橋は観光名所でいつでも景色は素晴らしいが、この辺りの紅葉が自分は一番だと思うとか説明して、秋シーズンにも当社のツアーのご利用をなんて宣伝を忘れていなかった。
城ヶ倉大橋上の車窓から
酸ヶ湯温泉は八甲田の標高1000m弱の高地にあるということで、さすがに積雪はまだ多くて宿周辺は雪の山の囲まれていて除雪車もまだ昼間から活躍中だ。そんなまだ冬の温泉地ではあるが、我々が登ってきたのとは反対側の十和田湖方面から道が冬季閉鎖解除となったばかりだそうで、この日は日曜日とあって温泉好きの輩が自家用車でかなりやってきていた。混浴のヒバ千人風呂で有名な温泉だからそのキャパシティーに見合うような大型の旅館、しかし山奥の宿らしくビル風にしていないのはよろしい。立寄り湯を含めての滞在時間は1時間半ほど、目いっぱい評判の湯を楽しみましょうやと、但し混浴千人風呂は午前と午後の8時から9時だけが女性専用時間で立寄り湯では混浴時間となる。
酸ヶ湯付近の積雪
酸ヶ湯温泉
やはりここに来たからにはその名物の千人風呂にと女性陣も全員が、ほとんどがバアさんだけだから遠慮なしで、でも着替えは別で中は蒸気モウモウ、さらに浸かってしまえば白濁の湯だから別途売っているという湯浴み着なんぞ着ていなくても平気な湯じゃないですか。下のパンフレットの写真はよっぽど窓を開放して湯気を逃がして撮ったんじゃないですかね。浴槽の中央には男女を分ける表示看板があったけれど、地元客らしきに訊いたら最近は首都圏からの客も多くなって、この先を超えるなというようにウルサクなっているんだそうだ。手前の大きな浴槽が熱の湯とあるがややぬるめ、奥の大浴槽は四分六の湯といって水を混合しているらしいがむしろ熱め、ほかには鹿の湯なんていう打たせ湯もあって木造の古めかしい浴室棟は確かに広い、これだと法師温泉の混浴風呂の倍以上の広さはありそうですな。ここも昔ながらの温泉スタイルだから同様にシャワー設備などはなんにもありません。
宿のパンフレットより
着替え室には温泉の心得を書いた額が掛けられていて、湯治客のための記載が中心であったがその(3)に面白い内容があって、湯治中は石鹸を使うなというのと帰宅後の一両日は入浴をするなとあって、体に染みついた温泉成分を大切にしなさいという趣旨で、立寄り湯でも上がり湯をしないのが正解ということだね。昔からこういう湯治が主体というのが東北の温泉であるから石鹸など使わないのが当たり前で、オールドスタイルを守って今でも水栓設備などないというわけだね。
千人風呂着替室にあった
泉質は酸性含二酸化炭素・鉄・硫黄・アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉と要素がいっぱい、泉温48.1℃、PH1.76、蒸発残留物3615mg/kgとあって、とにかく成分が豊富な湯、ここで湯治すればいかにも利きそうな、以前にツアーでハシゴした八幡平からこの辺りまでの温泉は本物ばかりのオンパレードで、キャンピングカーを買って湯めぐりしながら旅しようやと女房に提案するのだが、キャンピング生活は絶対イヤなんて言われているんですよ。
酸ヶ湯からまた黒石東部郊外に戻ってきて浅瀬石川近くにある津軽伝承工芸館内のレストランで、この四日間で唯一弁当ではない食事処で食べることになるオプションの昼食に。黒石名物のB級グルメつゆ焼ソバの小皿が付いた鍋料理定食、ボリューム的には弁当の方があるものの我々にはこの位の方が適当じゃないかな。つゆ焼ソバというのはソース味が汁に混じってというもので、まぁこんなものかなという味でそんなに突飛なものでもなかった。
浅瀬石川
津軽伝承工芸館、右手に行燈コケシが吊り下げられている
トテ馬車
素朴な昼食
手早く済ませた食後には津軽こけし館のほうまでは足を伸ばさなかったものの館内だけはアチコチを見て回って、複合施設でホール、伝統工芸展示室、民芸品などの工房売店、郷土物産の販売や総合お土産屋などが中庭を囲むように並んでいるのを一周、中ではコケシを模した行燈などは面白かったが持ち帰るには大き過ぎて買えません。また自前の車で来ることがあってユックリできるようなら考えましょう、といっても家に吊るすにも大きいかな。
ホール前のホワイエ
奥は伝承工芸展示室 津軽こぎん刺しのタイプ見本
和雑貨の店
黒石ICからまた東北道に乗って北に少しだけ走って五所川原を通る道に入って、そのあとは一般道で日本海側に向かう。その道筋の平地ではリンゴ畑が続き岩木山(冒頭写真も五所川原付近からの岩木山)も姿を見せ、雪が残る田圃ではまだ居残っている白鳥の姿も眺めながら一般道を走り、午後も遅くなるにつれてやや天気も怪しくなってきた。
遠くに岩木山が
リンゴ畑
白鳥の姿が4月にも見られるとは
とちゅうでは添乗員が青森のパトカーの車体には白鳥が描かれているというので通りかかった時にパチリと、ドアの下側の黒いところに白鳥が飛んでいるんだね、こういう絵を入れるのは青森県警だけなんだそうだ。
パトカーのドアの下側に