バスが日本海側に出てくれば鰺ヶ沢町、まずは有名な焼イカ街道が現れてブサ可愛い犬と映画にもなったわさおの飼主の店であるきくや商店前を通り過ぎる、この道路沿いは観光バスが駐車できるスペースがないそうで、添乗員がこの辺りのはずと言ううちにアッという間のことであった。女房は昨年の大震災の日にその映画を見ての帰りに、我家に着く直前に大揺れに遭遇したんだと記憶を新たにしたそうだ。
きくや商店前
海岸線を走る一般道では海の駅わんどというところ小休憩することになって、ここには一般のお土産屋だけでなく海産物販売店もあって鮮魚も扱っていたが、最終日なら買うんだけど加工品で真空パックものしか買えなかったのは残念でした。ここの2Fには鰺ヶ沢出身の人気力士だった舞の海を中心にした展示内容の鰺ヶ沢相撲館というのがあって、無料公開しているというのはご立派、ここはもう少し時間をとって見物してもいい施設ですな。食事処以外にテークオフの店もあってもちろん焼イカもあったが、青森リンゴのパイなんぞもあって小さいからどんなものかと食べてみたが、素朴な手作り風であった。
海の駅わんど
海の駅わんど店内
わんどの2Fから日本海
中央に土俵が
対戦した二人の体格差を
バスの走りは順調でこのままだと宿に早く着き過ぎるからと、途中の深浦町の千畳敷をいう場所にも停車して海岸の奇景を見物していくことに。この海岸線は山が迫って平地は無くて、厳しい海風で松は斜めに並んで立っているし、小さな滝も各所に落ちていていかにも北国の日本海の風景と勝手に納得しちゃう景色ですなぁ。千畳敷は大地震で海底が隆起した地形だそうで、昔秋田の殿さまが領地が増えたと喜んで畳百畳を敷かせて酒盛りしたとか、今は青森県なのに当時は秋田佐竹藩のものだったんですね。
斜め松
小さな滝が何ヵ所も
千畳敷をパノラマで
ツアー最後の宿の黄金崎不老不死温泉には雪がやや強まる中、チェックイン時間直後に早々と到着する。この宿は日本海に突き出た高台の海側の斜面に建てられた大型の旅館で、周囲にはなにも無いから孤島の一軒宿の趣き、夕日で有名ではあるがこの日の天気ではそれは諦めるしかない。この日の日没は6時ということで、もしやということも考えて夕食は6時半ということであったがまず無理でしょう、しかしその夕日を眺めながらの温泉にはまずは話のタネにもと、宿からは歩いていく海岸線の露天風呂に雪が降る中を震えながら行ってみたら、着替え場にも屋根が無くて、脱いだ浴衣や下着が濡れないように傘を広げたままで下に籠を置く始末、これはほんの一部だけでいいんだから屋根を設けましょうよ。雪が降っていても風呂に入れば適温で頭は濡れながらもヨカヨカと、これで夕日が見られたら最高だったのにねぇ。
翌朝の不老不死温泉玄関
宿のパンフレットより
そのあと入った内湯は源泉に井戸水を加えているんでしょうか露天のようには赤くは無くてやや茶褐色という程度、隣には無色透明の井戸水による湯やサウナも、それだけではということでこちらにも小さ目の露天風呂があって、これは海岸線と同様の鉄分タップリの赤い湯となっていて湯温も同じであった。源泉の成分表には泉質はナトリウム-塩化物強塩泉(高張性中性高温泉)、泉温52.2℃、溶存物質25.77g/kgとあって、人間の体液よりも濃い温泉だ。
露天は混浴と女性専用がある
夕食は大広間で海の幸が中心の和食膳、これがなかなかの豪華版となっていて最後のご飯までは到底たどり着けないというもの、皆さんが満腹となって早々降参してしまったのでサービス係りの仲居さんが皆さんは切り上げるのが早すぎますだって、それには全員がロートルばかりだからこんなもんですよと僕が代表で返事しておく。
お品書きがあったのはここだけ、そこに傘マークは?
小さな角鉢はサービスというブリ大根
とにかく刺身が立派で旨いなぁと女房と話していたら、食事中の客の一人がこのマグロは大間ですかねなどと仲居さんにオフザケで訊いていて、その返事にはこの宿の経営者は網元で船を4隻も持っていて自前で獲った魚介が中心だと申しておりましたです。この刺身のブリ、マグロは厚切りでプリプリ、ワカメの蕎麦というのも初めてで食感も味もいい、最後のアイスクリームまででご馳走さんでした、もう満腹です。
新鮮魚介とお野菜の蒸篭蒸し 田舎風魚鍋
つるつるワカメ蕎麦 サクラアイス
翌朝も明るくなれば朝風呂に、この日の出発は7時半と大変に早いから海岸線の露天には行かずに内湯と小さな露天に交互に浸かりながらの長湯をする。天気は昨夜がウソみたいに晴れて来ていて、これが夕日の時間帯だったらよかったのにねぇ。冒頭写真は客室から撮った日本海のパノラマである。
椅子席のレストランでの朝食は7時からというのを15分ほど早めてもらったが、時間が少ないのにバイキングというのはかなり忙しいことになる。やはりバイキング形式はあれもこれもと欲張っちゃうから食べ始める前に時間が掛かるし、食べるのも欲張った分を早食いすることになって、我々が食べ終わったのは最終組となってしまった。ここの塩鮭は自前じゃないからか普通のもの、あとでここの名物だと知ったとろろ芋は僕の大好物で、これを飯にぶっかけて一気に食べられてヨカッタ、ヨカッタ。
朝も腹いっぱいに
宿のロビーでとろろ芋2種類を販売していた