版画界では板画と称した棟方志功は別格として、それに次ぐと思われる巨匠の斎藤清と畦地梅太郎のお二人、ご両人とも故人となられて久しいが前者は柳津に後者は宇和島にと、生まれ故郷あるいはその近く晩年を過した地に美術館がある。
斎藤清の版画では稔りの会津という作品は以前に紹介した。今回は山の作家と言われた畦地梅太郎の山の音という題名の大型版画でかなり若い頃の作品、これは義父が手に入れたものである。畦地梅太郎は町田にも作品を寄贈したことから名誉市民ともなっていて、町田市立国際版画美術館での生誕百年記念展を見に行ったことがある。また須坂版画美術館でも2年前だったか畦地梅太郎展があって、こちらの美術館所所蔵として同じ作品があった。
畦地作品では同じ図柄の小作品がかなり出回っているが、それらは後刷りのものだと思う。中には本人のサインが入ったものもあるらしいが、逝去後も自由に刷っていいと許可された専属刷師がいるそうで、サインなしの新物も多いはず。それらはそういうことを承知で非常に安い値段で販売されている、でも実質は本物と全く違わないものだからあんまり安いのは失礼にあたるのではと。そういう葉書大の小品もいくつか購入していていろんな場所に掛けて楽しんでいる。
そういえば昨秋の旅行で泊った南会津町の公営の宿花木の宿の廊下にはいくつかのサイン入りの作品が飾ってあって、いかにも山の宿に相応しいなと感じ入ったものだ。