くらしデザインスタジオ@楽(^^)

住まいや街など、様々な暮らしの提案やサポートをする中で、なんとなく気になったこと…!?イロイロです。

演習授業の報告会へ

2019-12-09 | デザイン建築の活動

先月末、芝浦工大環境システム学科 3年生の、応用演習授業の中間報告会へ行ってました。建築•都市•環境の各分野の学生さんがチームを組み、10ヶ所の実際の対象地域を調査分析して、具体の対象敷地の建築計画にまで落とし込む、というなかなかハードそうな演習授業のようです。


その中の1つ「大宮駅東口・氷川参道」対象のチームが、"クッキープロジェクト" さんが関係する "旧大宮図書館" の現建物と、大宮駅までの間の街の展開を検討しています。そのチームの学生さんが、"さいたま国際芸術祭2020" の旧大宮図書館での バリアフリーワークショップ や、「デコッパ!大展覧会2020」実行委員会に入ってくれているのです。そのせいか、他チームとはちょっと違って、対象の人の具体がみえそうな目線スケールでの提案で、俯瞰的ではない親しみやリアリティを感じたりでした。


まだ、演習がスタートして2ヶ月弱にもかかわらず、現地調査・ヒアリングから調査分析を経て、方針やゾーンニングを設定し、公共施設や建築のイメージぐらいまで落とし込んで、プレゼン用のパワポや模型まで作成している…という、なかなかのスゴさです。授業時間以外で集まったり、分担作業してまとめたりなのだと思うと、グループワークの少なかった我々の時代とはまた違う、学生さんのパワーを感じたりでした。

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旧大宮図書館バリア

2019-12-08 | デザイン建築の活動

10月から11月末にかけて、「さいたま国際芸術祭2020 市民プロジェクト・先行プログラム」+ 芝浦工業大学環境システム学科 3年生の演習授業で、芸術祭の会場となる "旧大宮図書館" の段差・バリアのことを、車イス利用の方と学生さんと一緒に考えるワークショップを、少し手伝っていました。

"旧大宮図書館" の会場では、来年1月25日から、芸術祭の先行プログラムの一つとして、「デコッパ!大展覧会2020」を "クッキープロジェクト" さんが開催します。「いろんな人・コトが、"まぜこぜ" になって暮らす社会を目指す」 "クッキープロジェクト" さんが、「ボーダレスにアートを楽しむ為の旧大宮図書館・大・冒・険!」というワークショップを企画・開催することもあってです。昨日の会は参加できなかったのですが、以前に参加した2回の様子を、少し載せておこうと思います。


"旧大宮図書館" は、メインエントランスを入ってすぐの所で、このような8段の階段で1階が二分されています。


上から見るとこのような感じで、誘導ブロックや注意喚起のステッカーなどはありますが、スロープやエレベーターはありません。車いす利用の方などが、ここの段差の上り下りをどうするのかが、大きなポイントです。


壁に掲げてある平面図です。その8段高い部分(=中1階)は、地下ホールの天井高をかせぐための段差のようです。


現状で、車いす利用の方が中1階に行くためには、エントランスから建物の屋外に出てバックヤードにまわり、屋外の急スロープを経由しないと、中1階に来ることはできません。このスロープも、搬入用のため勾配がきつく、屋根なども無いため、悪天候の場合は実質使えないルートです。


それでも、中1階まで行ければ、バックヤード用のエレベーターにアクセスできます。しかし、この搬入エレベーターは、箱のサイズがとても小さく、標準サイズ程度までの手動車いすの方が、ギリギリ1人乗れるサイズです。電動車いす利用の方や、大きめサイズの車いす利用の方は乗ることができません。


なので、搬入エレベーターに乗れない方が、どうやって2階と3階に行くかも、大きなポイントです。ワークショップでは、エレベーターに乗れないHさんが、中1階で、乗れない気持ちなどを学生さんと話していたようです。


元々の2階へのメインのアプローチは、エントランス正面にあるこの直階段です。今となっては、公共施設の階段としてはかなり急勾配な方で、手すりも実用的ではありません。階段によって、エリアや動線を区分していた時代の建物であることを実感しますね。


3階は、平面の半分が2階上の屋上になっており、この屋上も芸術祭の会場になっています。ここのアクセスにも、L字型の8段の階段があります。屋上は防水の関係でなんらかの段差は必要ですが、ここは、床スラブのレベル自体が切り替わってます。


手動車いすの方を持ち上げて、屋上までの上げ下ろしもしてみました。幅が狭く曲がっているので、本当にギリギリです。そこがなんとかなれば、このような広い屋上空間を堪能できます。


地下には、このようなステージと固定座席のある小ホールがあります。地下も、客席側とステージ側の2つの床レベルがあります。客席側は階段によるアクセスのみで、ステージ側は搬入エレベーターが着床するものの、客席側へは行けません。

車いす利用の方が搬入エレベーターを降りてくると、写真のようにステージに出てしまいます。そこで、ステージと客席との間にスロープ板を渡して、ステージを経由して客席へ行くルートも前提にするそうです。一部の固定座席も外して、車いす利用の方の観覧や転回のスペースとするようです。


さらに、このホールは、床全体が斜めに仕上げられており、水平部分がありません。そのため、客席とホール外周の来客通路との間にも、様々な段差があります。こういうところでも、稼働座席の無かった時代の小ホール…感じたりです。


エントランス脇には、逆に貴重な古い "車いす対応トイレ" がありました。11月に改修され、現在は最新式のユニバーサル対応のトイレになっています。

改修前の便器は、私も実物は見たことが無かったタイプなので調べてみると、まだ特定の施設向けに、このタイプのいわゆる「バリアフリー便器」は、製品としてあるようです。介助者が付く重度の人向けで、両肢で挟んで(足を床に着けて?)前後どちらでも座れ、細長い形状から介助の人の手が入る、というモノのようです。しかし、車いす利用の人にとっては、色々思い出しても、今では使える人は思い当たらないです…。


先月の2回目の時は、"旧大宮図書館" 館内をRPGにしてまわりながら、バリアを考えるワークショップでした。


少し身体の大きい方と一緒だったのですが、ドア1つを通るのでも、なにかとギリギリの建物です。


この時は、建物の外へ少し出かけるプログラムも用意されていて、私のいたグループは、"氷川だんご屋" まで行き「あげまんじゅう」を買ってきました。どうするか考える前に、しばしバリアのことは忘れて、揚げたてを美味しくいただきました。

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LVLねこじゃらし

2019-09-23 | デザイン建築の活動

少し前に、芝浦工業大学の先生をしてる友人の設計による住宅の、見学会へ行ってみました。住宅の平面の真ん中を、LVL(単板積層材)の存在感と表情のある壁が斜めに横断しています。ですが、空間は明確に分かれるわけではなく、緩やかにつながっていて、単純な壁の面の広がりは、かえって広さを感じてイイです。


断面でも同じ斜めの勾配の天井・屋根が合わさり、床のレベル差も組み合わせた、とても動きのある空間です。この中に居ると、私はなんだかアクティブな気持ちにさせてもらえます。


階段や壁面の書棚は、見える部分はとてもシンプルに、かつ、サイズ的にギリギリの細さや薄さで納めていました。


外観は、筒状に張り出した2階部分が特徴的です。この形状に、無機的な表情と色のガルバリウム鋼板をまとっています。撮った時は、筒状部分の窓の外付ブラインドが閉まってしたので、こういう表情になりました。

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その時に、少し通った 九品仏浄真寺 の参道です。背の高い松が、上空に覆いかぶさるようにそびえているのが不思議な感じです。浄真寺には、都指定天然記念物のイチョウとカヤの大木があるそうですが、この日は寄ってみるのを忘れてしまいました…。


世田谷区の「ねこじゃらし公園」にも寄ってみました。「区民の要望からワークショップ形式による本格的な住民参加の方法でつくりあげられた公園」と、"玉川まちづくりハウス" さんのサイト にあります。その結果、都内では珍しい "草っ原" の公園が実現したとのことです。その "草っ原" 感は、夏を過ぎた時期でもあり、とても見事でした。写真は載せてませんが、ドーム型?の公園のトイレも、緑に覆われて何だか分からない雰囲気になっていてイイです。


この "草っ原" を維持管理するために「グループねこじゃらし」という住民組織ができ、25年に渡り活動を続けているそうで、すごいと思ってしまいます。自分たちの生活の場、という意識が、その地域に対してしっかりあるということなんですよね。かつての九品仏池や、暗渠になっている九品仏川のイメージもあってか、このような水遊びできる流れが造られています。


そのまま、九品仏川緑道を歩いて自由が丘駅へ向かいました。暗渠上の緑道ですが、とても緑が多く、舗装も上等な印象の暗渠です。

途中には、こんなアーチ状の花と緑のトンネルもありました。

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丁寧こだわりの住宅

2019-05-20 | デザイン建築の活動

先月ですが、以前お世話になった、草加市の "アンザイ工務店" の大工さんの、ご自宅見学会へおじゃましてきました。以前(→”127_埼玉会館の小ホール棟と、手刻み軸組を見せていただいて”)の時に、一度現場を見させていただいてます。


軸組の手刻みから始まり、仕上げも各部分がこだわりを持ってしっかり考えて造られている印象で、とてもイイです。"アーリーアメリカン" の意匠やカラーと、建具や設備のパーツ・小物など、見ていてそれぞれが楽しいです。外装の米杉の "シングル葺き" も、とても良い雰囲気で気になります。つい色々と夢中で長居になり、失礼いたしました…。

換気の特集とメンテ

2018-12-28 | デザイン建築の活動

最近、建築の仕事をしていながら、建築の雑誌をあまり買わなくなりました。本屋に行く機会が減ったこともありますが、たまに寄った本屋で「わかっているつもりだけの換気」特集 k-gijutsu.co.jp/.../product_id=936 が目に止まり、買ってきました。最近、本業でも副業でも、屋内環境のことから"換気"の話しになることがよくあるので、少し知識を更新しておかないと、ということで。

室内温熱環境・省エネから高断熱 → 高断熱には高気密必要 → 高気密なら室内環境のためにキッチリ計画換気必要 → 計画換気の実効性確保には、居住者による正確なメンテナンスと運転が必要…ということだと思います。

ですが住宅の場合、肝心のメンテナンス部分は居住者に依存しており、ほとんどメンテされないのが実情のようです。なので、"対談"の見出しも「熱交換vs第3種…の前に保守管理」です…。フィルターレスのメンテフリーの熱交換給排気システムが、住宅レベルでも実現すると良いのですが…掃除機のサイクロン?みたいに。

さらに、建築としての計画的な換気で想定されない要因は、焼肉や鍋料理・加湿機・感染症・ペット・ファンヒーター・たくさんの布製品・家具など障害物設置・煙草…などなど、普通の生活の中に多々あります。それゆえ、温熱環境・省エネも当然ですが、"過剰な換気"も実行可能となる計画をしときたい設計者です。

ちなみに、写真の右は、たまたま購入していたパイプファンで、メンテさぼり埃負荷?によりモーターがビービー鳴き始めた、24時間換気の交換用です。ロフトレベルの第3種換気の排気用です。