大きい本が「漫画少年版 ジャングル大帝 普及版」小学館の1と2、各2,160円です。手前右が「ぼくのマンガ人生」岩波新書 864円、左が「手塚治虫の描いた戦争」朝日文庫 864円です。
(→”吉本隆明と手塚治虫”)の番組を観たものの、手塚治虫さんのマンガは、「ブラックジャック」をちょっと文庫で読んだぐらいしかないので、少し手塚治虫さんのことを知ろうと買ってみました。
「ジャングル大帝」は上記番組内で紹介されていたので、最初のマンガとして読んでみたくなりました。ただ、当初の「漫画少年」に連載された原稿の一部が所在不明になり、のちに描き直されてそれが定本になっているとのことです。ですが、マンガを連載し始めた頃の手塚治虫さんの表現が見たくなり、復刻本にしました。
子どもの頃に観たTVアニメ版のヒーロー的な記憶とは全く違い、とても複雑な設定とストーリーが地道に展開されていく感じがいいです。「ぼくのマンガ人生」の方で書かれてますが、「生命の尊厳」がテーマであり信念とのことで、大阪の空襲の経験を経て敗戦の日に感じられた「生きていたという感慨、生命のありがたさ…」から、「自然に出てしまう」テーマとのことです。
手塚治虫さんが22歳の頃に「ジャングル大帝」は描き始めたのだと思いますが、人と動物、人種の違い、都市とアフリカ、親と子ども…など、生きることを中心にこれらのテーマも取り上げ、それを一編のストーリーにまとめて、個性的なキャラクターでマンガに描く…と、冷静にすごいと思ってしまいますが、読み応えがあるので感動というかなるほどとハマっていく感じです。
私の慣れているマンガとは違って、初期の連載は、均等なコマ割りにセリフも読みづらく、ちょっと苦労しました。激しい描写もまだ無いので、色々盛りだくさんなストーリー展開の割に各シーンが淡々と進んでいく感じで、時代を感じます。その分、描画の演出に左右されず、純粋にストーリーを読む感じになるのが好きです。
さらに、「ジャングル大帝」とは別に?連載していた?「漫画教室」を、手塚治虫さんが「ジャングル大帝」の本編に組み入れて描かれている回があります。これを完成度高くやれてしまう…というのにすごさを感じてしまいました。