「投資家が『お金』よりも大切にしていること」藤野英人著 星海社 820円+税、です。この国の、およそ資本主義の国とは思えない変な?考え方が、的確に捉えられているように感じ共感します。(→
”経済ってそういう?”)のあたりから、社会というか資本のことを考え始めたのですが、現在の社会に対する自分の役割というものを意識させてもらえます。
前半で日本人の変な?思想を、後半では社会で役割を担う考え方が書かれています。私は、前半の変な?思想を自分で自覚して、その変なしばり意識を取り払うことで、十分に視野や行動も広がると思います。
「…日本は先進国のなかでもっとも寄付をしない国です。ほとんどの先進国では、家計の2〜3%くらいの金額を寄付します。アメリカは3%です。ところが日本人は、家計のたった0.08%しか寄付しないのです。
寄付主体における個人の比率を見ると、日本は36%です。残りの64%は企業や団体になります。一方、イギリスでは個人の比率が60%、アメリカでは76%も占め、いかに一般の人々が寄付を行っているかがわかります。…」
「…『あなたの社会では、新しい事業や会社を始めることは、立派なこととして認められていますか?』という質問に対して、アメリカでは91%の人が『イエス』と答えたそうです(フランスでは83%、ドイツでは73%の人がイエスと答えたの対して、日本ではたった8%の人しかイエスと答えませんでした)。…」
「…税金という管理されたお金を使って、官がパブリックなことをするという意識が強すぎるし、逆に民間はお金儲けの世界だという意識が強すぎます。ひとりの民間人である自分が、自らのお金を投じて進んで社会貢献しようとは、誰も思わない。
…、現金と預金を大切に抱え込んで、1円も失いたくないと思っている。世の中の人に渡したら、絶対に戻ってこないと思っている。
『世直し』は、どこかの将軍や代官様がやってくれると信じている。そして、『清貧の思想』を後生大事にして、汗水たらして真面目に働いたお金にだけ価値があって、投資や金儲けでラクに稼いだお金は汚く、価値がないと考えている。…」
「…デフレ経済にうまく対応をするためには、消費者に対する価格を下げなければなりません。なぜなら、消費者がより安いものを望んでいるからです。生産者や販売者に売値を下げたい動機はほとんどありません。価格を下げるには、厳しい経営努力が必要になるからです。…従業員に過重労働を強いる『ブラック企業』を生み出しているのは、私たち消費者である、…」と。
「世の中は、みなが使ったお金で成り立っています。…日本の地方や郊外は『ファスト風土』と呼ばれるように、どこに行っても同じような風景(…)が広がっていますが、それは、みんながそういうお金の使い方をしたから、そうなっているだけのことです。…消費をすることは、大げさではなく、社会を『創造すること』でもあるのです。…」
「…衝動買いはあまりステキなお金の使い方ではありませんが、ではなぜそういった買い物をしてしまうかといえば、私たちが無意識のうちに孤独を感じているからです。…、私たちは、孤独を埋めるための商品やサービスに、思わずお金を使ってしまっているんですね。」
「…『余暇が減っても常に仕事を第一に考えるべきだ』という考えに賛成する日本人の割合は、たったの20.3%でした。これは、調査した47ヵ国中最下位であり、15歳から29歳の若年層にかぎってみると、その割合はさらに下がって10.5%です。
日本人はめちゃくちゃ働くのに、心の中では、仕事のことはそんなに好きではなんですね。ドイツでは62.4%、中国でも55.8%、あまりあくせく働かなそうなイタリアでさえも47.0%の人が、『仕事が第一』だと考えているのとは、じつに対照的です。」
「NPOやNGO活動のキモは、人に奉仕するために頭を下げ、罵倒されてでもお金を集めていくことです。ここを理解していない人が、いかに多いことか。…日本のNPO・NGOの問題は、ひと言でいえば、担い手がアマチュアだということです。資金調達に対する知識と知恵と責任感が乏しすぎるので、結果的に、中間支援団体もなかなかお金を出すことができません。…」と。