米国民が広島市を訪れて一番驚くのが広島市民が常に温かく自分たちを迎え入れてくれることである。
過激な日米安保闘争直後の1972年にアメリカ大使館の職員になったので幸いだったのかもしれないが、広島の方々、特に中国新聞社、広島商工会議所、広島市役所、広島大学、広島日米協会、ほか各種団体・組織には感謝しきれないほどに大変お世話になった。大阪の総領事館が広島を管轄(jurisdiction) していたので、3~4ヶ月に一回のペースで35年間、広島を行き来した。米国からの要人・著名人(大使、政府高官、ビジネスマン、大学教授から、ジャーナリスト、文化人、音楽家、芸術家に至るまで)が広島訪問の際は「カバン持ち(private secretary)」として彼らに同行した。現職の米大統領の広島訪問は長年、計画されてはいたが政治的な諸問題でなかなか実現できなかった。【参考ブログ「原爆・原子爆弾」(8/11/2015)・「水爆(水素爆弾)(1/9/2016)】
71年目で広島訪問が実現したことは人類の歴史に残る画期的な出来事である。日本では大統領の謝罪がなかったとか、滞在の時間が少なかったこととか、また平和記念資料館の視察時間が短かったことなど様々な批判はあるが、長年の日米両国の懸案である「核兵器廃絶(abolition of nuclear weapons) 」への新しい道への第一歩として見るべきであり、最大の評価を与えるべきである。世界における米国大統領の影響力は絶大であるし、この訪問をバネにし、より一層の核兵器廃絶キャンペーンを日本政府ならびに核反対リーダーたちに頑張って世界で推進してほしい。
一つ大変気になったのが、大統領は演説の中で『普通の人たちは、科学の驚異は人の生活を奪うのではなく、向上させることを目的にしてもらいたいと思っている。 Ordinary people would rather that the wonders of science be focused on improving life and not eliminating it. 』と述べたことである。すぐに福島原発事故の問題が頭に浮かんだ。確かに原子力で発電出来るのはすごい事である...でも、それによって出てくる核の廃棄物の処理は?今の科学では負の産物(negative products) として人類の永遠のお荷物になってしまう。そんなことだったら、我々にとって、特に放射能の影響で未だ元の家に戻れず避難生活を送っている人々にとって、原子炉は「無用の長物(a white elephant) 」である。原子炉を推進している人々は、今の科学では解決できない人類滅亡への道を許している人々と考えられても仕方がないだろう。「原子力の平和的利用」なんてあるのか、大変疑問である。■YS
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