読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

ナイチンゲールの沈黙 海堂尊 宝島社文庫

2008-10-15 20:02:44 | 読んだ
「チーム・バチスタの栄光」の第2弾である。
つまり医療を巡る小説である。

前作に続き舞台は東城大学医学部付属病院である。
そして頼りない主人公も前作に続いて、神経内科の不定愁訴外来の医師・田口公平である。
(映画では女性になっていて竹内結子が演じていた)

今回は小児科病棟に入院している患者の牧村瑞人、佐々木アツシと、小児科病棟の看護師・浜田小夜そして神経内科病棟に入院して余命いくばくもない歌手・水落冴子が重要な役割を担っている。

勿論、厚生労働省の役人(官僚ではない)白鳥圭輔も2巻から登場する。

このほか、魅力的なメンバーが脇を固めているが「光の剣」に登場した医学部の学生たちが登場しているのには驚いた。
というか、バチスタとこの物語に登場した人物たちの学生時代の話があの「光の剣」であったことに気づいたのである。

さてこの物語は、水落冴子という歌手と看護師・浜田小夜の歌、小児科の患者たちの病気に対する不安、そしてある殺人事件というのが、軸となっている。

歌が病人に及ぼす「良い」影響とは・・・・
子供たちを囲む社会の環境とは・・・・

病院は今多くの問題を抱えている。
医師不足と質の問題、患者の病気に対する或いは「生」に対する意識など、全ては現代人が抱えている「生きる」ということに対する姿勢の不確かさによるものである。

生きることにかかる不確かさとは、科学の問題である病院にとっては厄介な問題である。
それは哲学的であり宗教の分野でもある。
であるのに、人は科学(医学)に頼り、医学こそ万能不死と思っている。

そういうところに「悪」のつけいる隙がある。

人が人を殺すのにはそれなりの理由があった。
しかし今は推理小説やサスペンスドラマにしか「動機」はないように思える時代である。

この物語では「殺人事件」はサイドストーリーである。
ではメインストーリーはなにか?

ぜひ読んでいただきたい、と思うのである。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする