読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

エコノミック恋愛論 山崎元 ちくま新書

2008-11-07 21:55:37 | 読んだ
週刊朝日の書評欄で見かけて面白いと思い購入した。
そうしたら面白いではないか。

著者は「まえがき」で

電車の中やトイレの中で、細切れに読んで、時々くすくす笑ってくれるような読者がいると、著者としては、いちばん嬉しい。

と書いていたので、ポケットに入れちょっとしたあき時間に読んでいた。

この本は「恋愛のコツ」と「経済学のコツ」を同時に読者にお伝えしようという、ものらしいのであるが、小難しい経済学を恋愛にたとえて解説している、というように私は読んだ。

わずか30ページにも満たないうちに次のようなフレーズがでてくる。
「囚人のジレンマ」「劣等財」「競争的エスカレーション」「勝者の呪い」「プラシーボ効果」「窮乏化法則」「パレートの法則」「実証的経済学の方法と展開」etc

これって恋愛論の本ではないですよね。
明らかに経済学の本です。

したがって、この本を熟読して「恋愛のコツ」をつかみ、これから連戦連勝するんだなんて思っている人には「向き」ではないような気がする。

もっとも、世に多くの恋愛本があり、また多種多様のハウツー本があるが、ダイエットを含めて多くの人がそれで成功したというのを聞いたことがないのと同じで、『フムフム、そうね、大体ねー』
と読み流せばいいのである。

著者はあとがきで

もともとは経済学的な発想を解説する真面目なコラムのはずだった。

と書いているが、そちらのほうが本書の説明として正しいような気がする。
ただし「恋愛」をたとえとして持ってきて、それが成功しているがゆえに、そちらにどうしても比重が傾いているのである。

いずれにしろ、経済学や恋愛について理屈っぽく考えたい人には「超お勧め」であり、本書を元に実践しようとする人には「いまいち」のように思えるのである。

情報源としてや経済学の初歩としては大変素晴らしいので、再読しようと思っているのである。

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