読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

触身仏-蓮杖那智フィールドファイルⅡ- 北森鴻 新潮文庫

2008-11-13 22:29:22 | 読んだ
蓮杖那智シリーズ第2弾である。

「秘供養(ひくよう)」「大黒闇(だいこくやみ)」「死満瓊(しみつるたま)」「触身仏(しょくしんぶつ)」「御蔭講(おかげこう)」

の5編が収められている。

主人公は「美貌で異端の民俗学者」である蓮杖那智とその助手である内藤三國。
蓮杖那智は「端正ではあるが、時には彫像の冷たさを想像させるほど無機質な美貌」である。
男のような言葉使い、冷たいともいえる感情を表さない性格。
どこにもつけいるようなところは見当たらない「女」なのである。

こういう人は、避けて通るに限る、と思うのである。
なのにしかし、小説の主人公としては非常に魅力的である。
これくらいハッキリした性格というのは小説向きである。

さて、今回も「民俗学」と事件が絡んで一つの物語となっている。

ところで「民俗学」というのはなんだろう?と思う。
ウィキペディアによれば
『民俗学は、風俗や習慣、伝説、民話、歌謡、生活用具、家屋など古くから民間で伝承されてきた有形、無形の民俗資料をもとに、人間の営みの中で伝承されてきた現象の歴史的変遷を明らかにし、それを通じて現在の生活文化を相対的に説明しようとする学問である。』
となっている。

つまりまことにもって広い分野などである。
人の営み全てを取り扱っているのである。

だから、民俗学と事件の推理は似たようなものなのである。
蓮杖那智は民俗学者であるが、シャーロック・ホームズのような探偵でもあることは不思議でもない、と思うようになったのである。

フィールドファイルⅠでは「完全無欠」のようであった蓮杖那智は、このファイルⅡでは、雪山で崖から転落し『右大腿部複雑骨折、全治2ヶ月』で入院したり、行方不明になって発見されたときは死体と一緒だったり、脅しを受けて襲われたりする。
ちょいと「隙」を見せたりするのである。

このファイルⅡから「事務室の狐目の男」と「佐江由美子」が蓮杖ファミリーのような形でさまざまな事件に関わりあうことになる。

このファイルⅡは著者から「この物語はマダマダ続く」「そして話の種は広く深くなる」ことを宣言されているようである。

よってファイルⅢの「写楽・考」も読んだのである。

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