読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

孤独のグルメ 原作:久住昌之 作画:谷口ジロー 扶桑社文庫

2008-12-07 20:47:10 | 読んだ
題名「孤独のグルメ」という割には、B級グルメにもならないような食べ物の話である。

画が谷口ジローとお気に入りであったので、本屋でチラチラっとみて、題名とあわせて「これ購入!」と決定したのであった。

物語は(物語というほどものではないのであるが・・・)主人公・俺の一人語りである。
名前のある人物は登場しない。
主人公の俺も名前がわかるのは第3話である。
それも「井之頭」というだけである。

あとがきで原作者は「井之頭五郎」と書いたり「井の頭五郎」と書いたりしているので、どうでもいいのかもしれない。

その井之頭五郎は、輸入雑貨の貿易商を個人でやっている。
店を持っていないので、いろいろな場所に商売に行くわけで、そこで出会った店または食べ物の話である。

この「話」というのも、たとえば「美味んぼ」や「酒のほそみち」などのように「ウンチク」のあるはなしではない。

なにしろ「うまい」という感覚が、「美味んぼ」や「酒のほそみち」などとは違うのである。

とりあえず腹が減っている。
なにか食べ物屋はないか。
で、ぐずぐず迷って店に入る。
店を決めた理由はそこの看板を食べたいからなので、メニューではあまり迷わない。
出てきたものを食べる。
腹のすき具合とおいしさと量によって食べる量がきまる。
食べながら思うのは、別のものにしておけばよかったかなあ、ということが多い。

井之頭五郎は酒が飲めないので「白い飯」がなくてはならない。

スッキリとして「こく」があってパンチの効いているような話ではなく、またこの漫画を見てそこに出てきたものを食べたくなるほどでもなく、なんとなくグズグズのオチもない話をきかされているようである。
でも、それがなんとなく心地よいのである。

その原因は原作者の「あとがき」を読んでわかった。
原作者の食べ物屋に対する思いとか態度とか私と似ているのである。

つまり食べ物屋に入って「食べてやる!」という思いではなく「いただく」という思いなのである。
ゆえに、まずかろうが店員の態度が悪かろうが、内心では腹が立ってもとりあえずそっと出てくる。
もちろん大層うまくたって店で褒めることもしない。

漫画は淡々と読んだが、あとがきは非常に面白く読んだ。

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