読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

シモネッタの男と女 田丸公美子 オール読物10月号

2008-10-05 10:19:35 | 読んだ
10月号から連載が開始されたのである。
注目の「シモネッタ」こと田丸公美子のエッセイである。(『注目の』というのは私的に注目していることである)
このところ立て続けに、田丸さんのエッセイ集を読み、故米原万里を思い出し、そして通訳というのは比較文化論を実感している人たちなんだなあとうらやましがっていたのである。

通訳の世界、というだけで興味津々なのに「シモネッタ」なのである。

このシモネッタというのは米原万里さんが田丸さんに与えた(つけた)あだ名である。
田丸さんはイタリア語の通訳である。従って通訳の相手はイタリア人である。
このイタリア人がシモネタのオンパレードのようである。
従って好むと好まざるとにかかわらず、或いは朱に交われば赤くなる、悪貨は良貨を駆逐するの例えのとおり、田丸さんもシモネタには平気ならざるを得ない、いやそれを通り越して自らが「シモネッになってしまったのである。

こういう人が書くエッセイだもの面白くないはずがない。

第1回の今回は「ローマの白い奴隷」という題である。

ローマから日本観光に来たときに知り合った「クララ」という女性、30年あまり友情を育んでいる親友の話である。
そのクララには不思議な能力があるらしい。その能力はヨガを始めてから強くなってきた。
ちょうど「ゆめつげ」を読んでいるときだったのでこちらも不思議な思いがしたのであるが、クララは「夢告」の能力があるというのである。

そして「夢」でみたことが現実になってしまう。
という話である。

シモネッタ的なところもあるが全体としては真面目な話である。

次回以降どのような話が出てくるのか、オール読物の楽しみが増えた。
「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゆめつげ 畠中恵 角川文庫

2008-10-02 21:35:15 | 読んだ
実は「しゃばけシリーズ」だと思って買ったものなのである。
だから、読み始めてびっくり。

とはいえ、読み進めばいつもの「畠中ワールド」である。

辻斬りに襲われるところからはじまり、ピンチの連続で、結構ひやひやものなのだが、主人公の弓月は度胸がいいというかのんびりしているので、サスペンスなのに「ほんわか」している物語なのである。

時代は幕末期である。
『夢告』という占いの特技を持つ上野の小さな神社の神官・弓月(ゆづき)が主人公である。
この夢告という占いがあたるのかあたらないのか不可思議なのであるが、その特技を見込んで行方不明になった大店の一人息子を探す占いを頼まれる。

ところがこの一人息子を探すということが幾重にも複雑に入り組んだことなので、大混乱、となるのである。

江戸から明治という時代の移り変わりは、幕藩体制から天皇親政になったということだけではなく、仏教から神道へというあまり大きく取り上げられない動きもあった。

この物語はそのあたりについても言及している。
というより、この物語はそのことが根幹にあるといっても良い。

市井の出来事であると思って読んでいたら、突如として大きな話になって、なるほどそうなのかあ、ということになってしまったのである。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする