電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

呉思遠『七百萬元大劫案』

2015-01-01 00:00:00 | 呉思遠と思遠影業

呉監督が初期のころに撮った犯罪映画(1976)。

モデルとなった恒生銀行

75年の強奪事件をモチーフに刑事、犯人たちの人間模様を描いてます。

700萬元っていくらかな。えっ、米ドル札?? 

この時期の現代劇にはお約束のカーチェイスはもちろんあります。

主演はラム・マンワイ(林文偉)。彼が犯人グループの主犯格。
右:林文偉(左は劉鶴年)

「プロジェクトA2」に出演してたこちらの警官を覚えている方もいらっしゃると思います。

こちら↓

 わかりますか?

そして、ちょっと若いリー・ホイサン(李海生)がごく普通の刑事役。この時期の現代劇は珍しい。(当時はアクションも無いこんな役も演じた。)
リー・ホイサン


犯人グループのメンバーには大細眼(やっぱりこの人!)や、劉鶴年、そして若い若いチャン・ウーロンも登場してます。

チンピラ役のゴローちゃん。若いな。

75、6年は呉思遠が新しい映画を撮ろうとしていた時期で、この映画に出演と言われていたブルース・リャンは出演していません。リャンや倉田保昭の映画から離れる格好になると思います。どんな心境の変化があったんでしょうか。
世間を騒がせた事件を映画の題材にするという映画監督らしい読みがあったのかも知れませんよね。

本当の事件の方は解決したのかどうか分かりませんけど、最後は逮捕されてジ・エンド。
時代を感じるドラマでした。

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人在江湖 A Massacre Survivor メモ

2015-01-01 00:00:00 | 七十年代作品【1979】
「ドラゴン対七人の吸血鬼」などで知られる女優シー・ズーが珍しく邵氏以外の会社の映画に出演。
内容的には復讐劇を描いており、おそらく70年代後半の作品に当たると思われるが、これはオーソドックスな作りの武侠片となっている。
以前はこの映画のプリントは存在していなかったらしく見ることはできなかった。



若雪(施思)は殺された父親の復讐の為、虎の吠える寺”虎嘯寺”で大雨の中、本堂に居る大師に鶴拳指南を跪いて懇願し続ける。しかし、大師は目を閉じたまま。翌朝、大師はついに若雪の入門を認めるのだった・・。

画像:
ゲスト出演した袁祥仁も素晴らしくシー・ズーの修行の相手を演じている。


ボスの右腕に龍飛。龍飛VSシー・ズーなんて夢のような対決ですね!


シー・ズー版「蛇鶴八拳」というところか。


ちなみに「蛇鶴八拳」でニセ夫人を演じたワン・ユンも出演している。


また、ワン・チン(王青)、ワン・チュン(王鍾)兄弟の共演も実現している。


情報:
雑誌の情報によれば、銀色世界No.110号に新作紹介記事が掲載。( '79-1月号)
台湾では80年8月末に公開されており、『酔歩迷猴』などと同じでこれも香港では未公開のようです。

会社:中外公司

ソフト:未確認
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北少林

2015-01-01 00:00:00 | 嘉禾電影

アンジェラ・マオ、ノラ・ミャオと来たらもうこれは彼女しかいまへんな(笑。

その名は浅田真央・・じゃなくてマリア・イー!!

そのマリアさんが出てる結構好きな映画が『北少林』(1973)というペン・チャンクイ(彭長貴)監督の映画であります! 

ジミーさんが表紙の嘉禾電影74年新年特大号に載ってたマリアさん。

 
『唐山大兄』から成長してて、とってもかわいらしいんですよね。

笑顔がいいですね。

『北少林』(又名:『北地虎』)はテレビ放送時、「北地虎」(ガイドブック上は確か「タイガー・オブ・ノース」かな?)
 

主題歌はジョセフ・クー作曲!

オールリストを見てみると、『北少林』は』ハーベストNo38でした。随分と番号が飛びますけど、まぁいいね(笑)

映画の方は、中国北部で日本軍閥と戦った少林寺の流れを汲む北少林と呼ばれる人たちを描いたドラマ。朝鮮半島に逃れるも精神は不滅だったとするお話です。

奉納相撲で日本人に勝ってしまった中国人・李安(卜千軍 )は日本人から追われる身となるが、叔父の雷成の家に行き、その娘・雪梅(マリア・イー)と再会する。いつか故郷の中国へ帰ろうと誓う二人だったが・・・。

韓国ロケを敢行して、厳選されたトニー・リュウ、カオ・チャン、ヤン・ウェイのハーベストのスター達。そして、サモハンも参加してましたけど、あとは殆ど韓国人のような・・・。

 

この人が主演のパクちゃん。動きはサイコー。

 

このおっさんもいたんかい!

 

こちらのお姉さんも。

イケ面のトニー・リュウ(日本人役)

この作品は、香港で公開されたのが76年と遅れたようなのですが、当初から『北地虎』だったものが香港公開時に『北少林』と変わってしまったようです。

虎はどこにいったの?(そして、誰?)

まぁまぁ、これを見てください。

「虎の絵」

虎とは日本人のことなのね(?)

北の地にいる虎、ではなくてパクちゃん達、”北少林”が主役なのだからやはり題名は『北少林』でいかなきゃ。(まぁ、そんなとこかな)

あ、こんなところにタンメンの元祖がいましたか!(爆)。イケメンか。

お前に食わせるタンメンはネェ!

ジーンと来るラスト

「どこにいるのぉー」(終)


 

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悪霸

2015-01-01 00:00:00 | 七十年代作品【1975】

今回の作品は75年邵氏製作の『惡霸』。

ダニー・リー主演のカンフー映画です。

監督は同年にクイーン・ハスラー(原題:『大老千』)という映画も撮っている監督で(こちらはダニー・リーがゲスト出演。)、ポイントは武術指導にユエン・ウーピン(兼ゲスト出演。ヤクザに手をつぶされる役)とユエン・チュンヤンのコンビが当たっている点でしょうか。

あと、ロー・リエがファンにはうれしいゲストとして、刑務所長で顔を出してます。

 先日亡くなったリッキーも小さい役ながら出演。(しっかりセリフもあります)

 

リッキー・ホイ

英語題のギャンブリング・シンジケートが表しているようにカジノを舞台に組織のボス(グー・フェン)と戦う男・方達(ダニー・リー)が主人公の物語です。

主人公は刑務所長(ロー・リエ)のところに行き、スリの名人(チェン・カンイエー)と腕のたつ男(ファン・メイサン)の囚人2人を利用して組織壊滅作戦に使ってしまおうというどこかで聞いたような展開になってます(笑)
分かりやすく言えば、例えば「大福星」のようなお話。確か囚人のサモハンを出所させて利用するというプロットでしたね。

カジノディーラー役のフー・チンさん。「大福星」でいうところの西脇美智子みたいなものかな。
 

先にスリの名手が潜入します。
アクションはあまり出来ないですが、邵氏ならこの人も欠かせない存在です。

 

スリの名手チェン・カンイエー

カジノの見張り番には大きな口のワン・チンがいます。
 

王青だぁ

カジノで金品を盗まれた客が騒いで場内は大混乱。見つかってボコボコにされるが、命からがら逃げ出した。

いよいよカジノに潜入する方達ら
 

潜入する捜査官

 乱闘シーンでは、ユエン・ウーピン率いる武師たち(ユン・ピョウ、ユン・ケイ、ユン・ワー、袁信義、チン・ユーサンなど)が登場してます。

ダニー・リーと戦うユン・ピョウ


ピンチ。捕まってしまう方達
 


そして、一番の見所。ラストは上記の袁家班総動員でものすごい大立ち回りが展開されます。

このラストはとてもしっかりしていて見ごたえがありますね。
「大福星」より10年も前の作品ですが、ロー・リエのゲスト出演とか、リッキーも顔を見せたりとか細かいところも楽しいなかなか面白い映画でした。

おまけ:笑顔のフー・チンさん

 

本日のベストショット


 

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蛇鶴八拳

2015-01-01 00:00:00 | 成龍的電影

いきまっせー。怒濤のジャッキーの拳シリーズ!!

今回は「蛇鶴八拳」です!
この作品は「イイ!」と評する人も多くてある意味「笑拳」なんかより優れた映画であるかも知れませんよね。

劇場版予告編より

究極の秘伝”蛇鶴八歩”を考案した8人の長老たちが突然消息を絶ってしまったなんて、このミステリアスな展開が受け入れられるポイントだと思います。

ツルが生きてるみたいなあの動き


蛇鶴といえば、やっぱりコレ!

上から見たポーズが実にカッコよかった!

主人公が修行なしで最初から強い設定で、犯人を探し出して対決するパターンでしたね。

監督はこの映画で割と有名となった陳誌華です。そして脚本はあの『南拳北腿活閻王』や『旋風方世玉』、そして「少林寺への道」のシナリオも共同で書いた張信義という人ですからスタッフは文句なしですね。

タイプとしてはカンフー主体の時代劇(”蛇鶴八歩”という拳法がテーマの映画)で秘伝書、蛇拳(または鶴拳)がキーワードです。
この映画が時代劇として完成前に影響を受けたとすれば、割と近い時期なら協利の『萬法歸宗一少林』や『大武士與小[金票]客』や『江南八大侠』あたりがそうなるでしょうか。
複数の流派が関係する話としては、郭南宏の『八大門派』(邦題:「少林寺への道3」)と続くハーベスト作品の『四大門派』が挙げられますね。

一つ言えるのは、この頃人気が高かったのがジュディさんでした。
羅維も相当ジュディさんを使いたかったらしく(ジミーさんとの共演も一時考えていたそうですから)もしかしたら中影の『水玲瓏』(1976)を見て、蛇鶴をやらせたいとか考えていたのかも知れないですね。(半分冗談!)
『水玲瓏』から

蛇鶴っぽい動きのジュディさん


まぁ蛇と鶴を使った映画があったらベストなんですけども。

映画の作りそのものは同じ羅維影業の「少林寺木人拳」や同監督の『龍蛇侠影』などの影響も考えられますね。

背景としては、75年に羅維影業で『蛇鶴八歩』を、何と!チャーリー・チャン主演で撮るという話がありましたので、蛇鶴の企画自体はかなり早くからあったということになります。(チャーリーの映画は結局『鉄拳小子』に変更しちゃいますけれども・・。)
羅維が邵氏時代に自ら脚本を書き、監督していたことを考えると、自分のプロダクションで時代劇を作ろうというのは不思議ではありませんが、ジャッキーの『新精武門』以前に『蛇鶴』という時代劇の制作を考えていたようですね。

羅維影業では台湾でヒットした『少林寺十八銅人』のあとに作られた『少林木人巷』が76年度58位と振るわず、その『少林寺十八銅人』などで定評のある脚本家・張信義を呼びつけ、『蛇鶴八歩』を完成、78年に公開させたんですね。
ただその「蛇鶴」は彗星の如く登場した呉思遠の「蛇拳」の前に惨敗、さらに『飛渡捲雲山』よりも悪い結果に終わってしまったという皮肉な結果に・・・。

完成した『蛇鶴八歩』は最初に77年12月のはじめ、台湾で公開されました。
オープニングの羅維影業の旧ロゴ使用はこれが最後となります。(新ロゴは『拳精』から)

キズだらけのロゴ

もうボロボロのプリント


蛇鶴並用のタイミングは明らかに異なる


あと『満州人』の記事でも書きましたが、金振八が布にパンチして穴を開けるシーンと同じような場面がありますが

コレって、おそらくジャッキー考案のものでしょうね。

77年という事で、この映画の序盤やラスト、ボスの金剛との対決の前などにかかる音楽は、御存知”007”からBGMが流用されていましたね。タイムリーなのですが、「蛇拳」のオープニングでもおなじみの「私を愛したスパイ」からのものだったと思います。
ちなみに香港で77年7月に公開されたのが、そのボンド映画『鐵金剛勇破海底城』。これが超ロングランの大ヒット!!

何が言いたいのかといいますと、ヒットした映画をすぐに利用するということで、映画の完成時期を裏付けていることにもなると思います。

そういえば蛇鶴ラストは追加撮影とか噂があるようですね。じっくり検証はしていませんが、私の素直な見解としては撮影中の激しい動きによる発汗で髪質が変化したもの。それにより、見た目が変わっただけではないかと思いましたね。
ラストのシーンは画面上、小さいながらも金剛さんがピクピクと動いているので、とどめを刺された訳ではなさそうでした。この後、どうなったのかなって想像してみるのも面白いのではないでしょうか。

あと参考情報ですが、ちょっと前にメーカーの公式ページを見てみたのですが、
こちら
声の出演にちょっと違和感が。
石丸さんはいいとして、他の人に驚愕。。どこがですか?
と言いたくなる内容でした。(注:現在は削除されています)

例えば、

>>>クム・コン(滝口順平)

え?!滝口順平って赤い鼻の乞食のじいさんじゃないですか。

>>>ノラ・ミヤオ(太田淑子)

これも。。。
昔のヤッターマン見てた人ならたぶん分かるでしょうね。

最後にちょっとメモを書いておきます。ご参考まで。おわり

(付録)

役名(劇場版カナ表記)俳優名(中文名)声の出演

徐英風(ヒュー)・・・ジャッキー・チェン(成龍) 石丸博也
黄珠(ヒュアンジュ)・・・キム・チンラン(金正蘭) 太田淑子
百爺さん(乞食党パク)・・・リー・マンチン(李文泰)滝口順平
錢獅(黒竜党チェンティ)・・・カム・コン(金剛)仁内建之
唐萍兒(タンピンエル)・・・ノラ・ミャオ(苗可秀)小山茉美
黄振中(飛虎党)・・・タン・ラム([イ冬]林)千葉耕市
魯老怪(鷹の爪党ルー)・・・ウー・テーサン(武徳山)上田敏也


【作品DVD】

日本語吹き替えです。是非とも石丸ジャッキーをご堪能ください!!

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永久保存版の劇場公開テレシネ・バージョン。一家に1枚どうぞ。

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龍拳に使われた曲”「ワイルド・ギース」サントラ”

2015-01-01 00:00:00 | 映画音楽

先日と言っても震災前ですが、一枚のサントラCDがイギリスから届きました。
その名はイギリス映画「ワイルド・ギース」。音楽はロイ・バッドという人らしい。(なんか映画と同じイギリスからでうれしいですね。)広大なアフリカを舞台に、囚われた大統領を奪還するミッションを遂行しようとイギリスから送り込まれたワイルドギースの面々。
香港でも大ヒットして78年夏の公開時は「スターウォーズ」を上回る興収をあげ、香港映画にも多少なりとも影響を与えたということになるのでしょうね。

香港公開時の新聞広告『野鵝敢死隊』

たまにコンバットマガジンなんて読むこともありますが、ロジャー・ムーアの赤いベレー帽とか格好良かったですね。これのオンエアverを見てると疲れなくてかなり楽ちん。(昔は字幕のビデオもあったけどDVDとか出てないのかな?)音楽もスタッフが効果的に挿入しドラマチックに映画を盛り立てていました。
そんなサントラ曲がいっぱい詰まったCDが新たに発売されたので今なら入手もしやすいと思います。
公式サイト(購入はamazon.co.ukなどで)
http://www.silvascreenmusic.com/ishop/299/Roy-Budd/330261/The-Wild-Geese.aspx

それではこれより「龍拳」について。
龍拳のサントラは小清水ミツルのドラゴンフィストのイメージがあまりにも強烈なのですが、日本で作られた曲以外について解説してみたいと思います。

1曲目の曲”OVERTURE”はいかにも軍隊のマーチって感じの曲で、どこかで聞いたなぁと思っていたらやっぱりこれは「ドラゴン特攻隊」のオープニング曲と同じじゃあーりませんか(笑)。まぁこのドラゴン特攻隊も今では懐かしくなってきましたねー。これってジミーさんの戦争モノです!
8曲目の"RESCUE OF LIMBANI"は、えーと、ジェームス・ティエンが夜、様子を見に道場をこっそり抜け出すシーンや子供が材木置き場に付いて来るシーンに使われています。元のワイルドギースではやはり似たような暗がりで敵の様子をうかがう場面などで使用されていました。ちょっとこそこそっと敵にみつからないように(笑。
11曲目”AIRPORT”の後半には「龍拳」冒頭でチュン(任世官)が会場に乗り込んでくるときのBGMが入っています。ほんと選曲うまいなぁ。
12曲目がオープニングクレジットの曲です!「拳精」でもおなじみの台北・行天宮での武術大会・・。今じゃ龍拳見るとき必ずここから始まりますが、その昔私が東映の劇場で見たときはこの武術大会はカットされていたんですよね。きっと東映の厳しい目があったんでしょう。

あと龍拳と同時期に作られた『浪子一招』でも大量にかかってマシタ。これは例えばカンニングモンキー天中拳みたいなストーリーでアンジェラ・マオとかカサノバ・ウォンなんかも出てる活劇です。実は「龍拳」と『浪子一招』の音楽を担当したのは両方ともあのフランキー・チェンなのです!彼は「ワイルド・ギース」が好きだったのかな。
CDには入ってない曲も含め結構「龍拳」と同じ曲が流れます。もちろん音楽だけじゃないですが『浪子一招』も見てみると面白いですよ!フランキー最高。

ってことで今回は映画音楽をおおくりしました。

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龍之忍者

2015-01-01 00:00:00 | 呉思遠と思遠影業
「ラッシュアワー3」を近所の映画館で観て来ました。当然ながら事前に情報を耳に入れないようにして鑑賞しました。(もちろんビッグな2人の共演は聞いていましたが。)個人的にはハリウッドの娯楽映画として満足のいくものだったと思います。

その昔、これはもちろん共演とはいかなかったのですが、同時上映という形式を取り「龍の忍者」の真田広之と「蛇鶴八拳」のジャッキーを同じスクリーンで時間をずらして見た事がありました。その時の興奮を味わうとかそんな大袈裟なものではありませんが、それから20数年経過して待ち焦がれた夢の共演でもあったのです。

今度こそ正真正銘2人が同じ映画で対決する場面を直視し、しっかりと目に焼き付けて来ました。この「ラッシュ3」のパンフレットには興味があったのですが、やはり真田の関連記事でその「龍の忍者」に言及しているテキストは無論ありませんでした。(出演作としてのみ紹介)

しかし「龍の忍者」を再度クローズアップして忘れ去られてしまった真田の勇姿を思い出す良い機会ではないでしょうか?当の私は観たい衝動に駆られてしまいました。これは皆さんがいつも御覧になっているものでいいと思います。

てっとり早く観るには東映から出ていたビデオがいいですね。レンタルビデオでもしかしたら借りることが出来ると思います。(こちらは劇場公開版)都内の大手ショップにもありました。

今更ですが「龍の忍者」には忍者映画に香港のテイストが加味されオープニングから気合いが入っていたと思います。(ショーコスギ「燃えよニンジャ」のオープニングをも凌駕していたと思います。)ここまで斬新でスタイリッシュなオープニングがあったのかと。私が香港映画の素晴らしさを教えてもらったのは、まずこの「龍の忍者」のオープニングだったと言っても過言ではありませんでした。(若い世代を魅了する麻薬的要素を秘めていたという意味です。)

また韓国の黄正利が素晴らしい足技も披露していたと思います。彼が出演していたこともあり、この映画は韓国でも公開されましたが、ロビーカード(画像参照)を見ると、この韓国バージョンにしかないシーンが含まれている可能性が高そうですね。残念な事に未だ全貌が明かされていないのですが、もしかしたらその映像はもう現存していないのでは?と思ってしまいます。

黄が登場するあたりからコミカルな要素が強くなりますが、ここから展開が急変することになります。娯楽を追求する為、呉思遠は神打王のシーンを入れたそうです。この部分、賛否両論で意見が分かれるところですが私はどちらでもいいのではないかと思い始めています。気になるのはそうした議論よりもこの映画を現在、日本人が馴染みのある日本語バージョンでは鑑賞できないという状況が残念に思えて仕方ありません。

最近は旧作香港映画のDVDにも過去の音声や新規録音により日本語が収録されるようになってきています。この状況はメーカーサイドの理解により間違いなく変わってきています。こうした背景にはやはり視聴する側の要望が強かった為であると思うのですが、本当に良い方向性だと思います。


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邵氏『七煞』

2015-01-01 00:00:00 | 七十年代作品【1979】

本日の記事。邵氏のな監督、スン・チョンの登場です。
スン・チョン作品だと、純粋に『風林火山』がとりあえず良いですね!

邵氏ならやっぱり一番好きなのは『教頭』かな。ティ・ロンが見せるスティック技は本当に良かったです。
まぁ割とクオリティの高い作品を続出させてたと思わせるスン・チョン監督ですが、その守備範囲は意外に広く、文芸、コメディ、現代アクション、カンフー、キョンシーホラー、そして武侠片と本当に幅広い。(緊張感のある場面を撮ることに厳しい目を持っていることから、”緊張大師”と呼ばれているほど。)
本作『七煞』はですね、元華(ユン・ワー)、王龍威以外は馴染みが無いメンツではありますが、ユン・ワーはいかにも"ワル"というメーキャップをして、彼らしさを醸し出しているんです。

私が好きなユン・ピョウ主演の「急凍奇侠」(リメイクしたドニー版アイスマンも観ましたが、コレ最高っすね!!)でのユン・ワーのワルっぷりも凄まじかったですが、この「七殺」ではとにかくワルの元華が炸裂しててメッチャ面白いんです(笑)

また、この映画のボス役の王龍威も最初から最後までずっと出ずっぱりですので、龍威先生のファンにはたまらない魅力があると思います。

★ワンポイント・レッスン
七煞の読み方「チーシャ」(日本語で”地井さん”の発音でOK)

繁体字のサツという字は、本編を見ると、散々のぼりや壁などに”殺”の字を使っているのに日本語には無い文字である”煞(サツ)”を当てています。
繁体字の「サツ」は映画のタイトルにはたまに使われますよね。しかし、『大殺手』のように”殺”の方が使われるケースもあるのです。使い分けがハッキリしない「サツ」ですが、なにか微妙なニュアンスの違いでもあるのかな?

”七煞”の意味ですが、日本語にすると、七つの凶悪な神という意味になります。
そしてその裏には、スン監督の映画に対する思いが込められているんです。

というのも、この映画では7人の新人を起用して彼らの活躍を期待するという意味が込められていたんですね。映画に新しい人材を出演させて将来を期待するというスン・チョンの計らいはとても素晴らしいことではありませんか!

今回の記事のタイトルにはあえて伝統的な繁体字の方を使ってみましたが、文字化け率が高いようならタイトルを変更する予定です。

なお、『七煞』については、以前メモを書いていますので(こちら)も参照してください。 

 

◇『七煞』が影響を受けたと思われる作品

『五毒』

◇『七煞』が影響を与えたと思われる作品

『叉手』

・シーン別ストーリー解説

シーン1:本部
七煞會には教祖が制定した七つの規律があり、それを破るような行為には死が待っているという恐ろしい組織である。教祖は細い洞窟のような管を経由して、命令書を本部に送るという特殊な方法で指令を下すが、その教祖の素性は分からず全てが神秘のベールに包まれている。第一の将、ペン(王龍威)が七煞會の首領をつとめ、続く将たちの活動をコントロールする。ある日、各地より代表として選ばれた将軍、ファンタオ([登β]偉豪)、ルー(羅勝)、リャンチェ(羅軍)の三名が結集し、若手三武将としてメンバーに加わった。リャンチェが第六の将、ルーが第七の将、ファンタオが第八の将に任命される。洞窟の奥に隠された七煞會の本部には、首領を含め5人の将たちが待機、その三人を首領のペンが出迎える。

まずは腕だめしとばかりに、隠されていた捕虜を解放し、首領が捕虜に向かって将を1人でも倒せたら釈放すると言い放ったが、ルーの帽裏飛輪が炸裂、強靭な将たちのパワーの前では全く歯が立たなかった。

シーン2:女将
七煞會で働く女将・イン(劉慧玲)は侍女たちを教育し、将軍たちの世話をする立場。新しいメンバーの加入と、そして教祖のために祝杯をあげるメンバーたち。豚の頭はNo2のシーチャオ(元華)の大の好物だった。


シーン3:儀式
天からの命を受けた七煞會壊滅組織を率いるヤン将軍は、信者とともに儀式を行っていた。信者は、肉親を殺害された家族たちである。憎き悪人たちの像を並べ、復讐の機会をうかがっている。そんなある時、剣士ファン(ディック・ウェイ)より手紙が届けられた。討伐のための準備も整い、いよいよ立ち上がる反対組織。戦闘開始となる!

シーン4:客棧
本部にいる将たちに七煞會の教祖から指令が下る。その夜、七煞會も行動が開始された。途中、大興隆客棧にいた乞食たちと騒動を起こすルーたち若手三武将。ホー(元彬)とリャンイン(石崗)が客棧に泊まり込み、その夜、敵の信者を倒そうとするが、あと一歩のところで逃げられてしまった。

 
シーン5:黄石崗
教祖から指令のあった場所、黄石崗へ向かう将たち。そこには待ち伏せする信者が先にいるとも知らずに任務遂行に走る。ヤンが乗っていると思われた籠にはファンが代わりに潜伏しており、意表をつかれたファンタオは負傷してしまう。
これはヤン将軍が仕掛けたワナであり、将たちに不信感を持たせるのが目的であったこの作戦は見事成功する。これが原因で七煞會の内部には亀裂が生じはじめていた。
本部では雙腰刀使いのファンタオに疑い目が向けられていた。負傷したファンタオは土地の藩主チョウ(谷峰)に出会う。その後、本部では新たな指令が下った。隠されたスパイを探すミッションだ。その時、ファンタオが本部に帰ってきた。無敗の七煞會が負けることなどあり得ないと、首領は激怒する。
しかし、客棧での怪しげな行動からルーが疑われる羽目に。NO3のホー(元彬)がルーを処罰する形となり、ここで最初の1人、ルーが倒れた。


シーン6:次の指令
次の指令が下った。宝石を輸送する一行を襲撃せよ、との指令だったが、3つの班に分かれて決行することとなった。
大雨の中、将たちは大勢の客がいる店に来ていた。そこにスパイが現れ、乱闘、その場は大騒ぎに。雨が上がり、古い家屋に集まって密書を持っていた捕虜の男(黄志明)に詰め寄る首領たち。密書にはスパイの出身地を表す暗号「魯」が記されていた。魯とは山東の旧名だった。その結果、No5リャンインの弟、山東出身のリャンチェが次の標的となり、持ち味であった雙手鋼環を駆使するもリャンインの得意技である飛び道具・背箭を受けてその場に倒れてしまう。

 


シーン7:8年前の出来事
今から8年前、七煞會には10人の将がいたが、ヤン将軍ら敵の部隊に9人が倒され、教祖が1人だけ生き残った。その後、七煞會は復活し現在の状況まで回復していたのだった。事実を知り、愕然とする将たち。その後、首領たちはファンタオの紹介で藩主チョウの家へ行き、話をつける。目的は資金の調達で、それはファンタオの進言であったが、七煞會の危機を感じた首領が取った行動でもあった。
夜、本部にいた女将インはファンタオの部屋を訪れ、シーチャオが怪しいと吹き込む。一方で、首領とシーチャオはリャンインがスパイではないかと疑いはじめていた。その2人が話している横から侍女たちに盗み聞きさせていたインは、シーチャオに見つかってその訳を問われるが、全く怯む様子がなかった。2人は完全に敵対する格好となり、もはや七煞會は崩壊寸前の状態となった。


シーン8:マスクの男
密かにインは馬に乗って本部から離れた場所へ移動する。そこは山に住む謎の親子と連絡を取るため場所であり、横たわった大きな木の幹が秘密のメモが入った小箱の隠し場所だった。
しかし、ヤン将軍の信者が現れ、隠し場所も見つかってしまった。その時、マスクを付けた男がインを助けた。この謎の男はインの味方だったのだ。途中から剣士ファンも出てきたがマスク男の槍に倒された。



シーン9:客棧ふたたび
次の指令を受けた首領たち6人の将は大興隆客棧へ向かう。今回の内容はヤン将軍の首だ。客棧に到着した一行は様子がおかしいことに気付き、敵の罠と思い込む。
しかし、そこに現れたのは教祖から派遣された3人のマスクの男たちだった。
そこでマスクの男からシーチャオの裏切り行為が暴露されるが、シーチャオをそれを認めずシーチャオ以外の5人の将VSシーチャオの戦いに突入する。高度なワザ・鷹爪手の持ち主シーチャオはそう簡単にはやられない。ホーが倒され、屋外へ逃れたシーチャオは追っ手の首領たちと応戦。勝負はつかず首領は教祖の判断に任せることに。本部に戻り、教祖からの命令書を読むイン。その内容を知ったシーチャオはインの喉を瞬く間に刺し、No.4のチュアン(マン・ディンゴー。当初、この役には麥徳羅が予定されていた)まで片付けるも、最後には反撃をくらい消滅してしまった。

 

 

シーン10:最終決戦
残った七煞會の将は首領ペン、リャンイン、ファンタオの3名となった。最も重要な教祖はいったい誰なのか!そして、ヤン将軍の行方や藩主チョウ、マスクを被った男たちの正体は・・・、謎はいくつも残る。このあと、最終局面をどう迎えるのか・・・!?

 

とにかく最後まで、ややこし過ぎるストーリー展開が続くので何度見ても何がどうなっているのかちょっと理解に苦しみますよ。この難解なストーリーでは下手すれば構築したせっかくの世界観すら失われてしまうではないでしょうか。結局、回りがすべてワルばかりとはいかず、真のワルはただ一人なのだけど(笑)

タカの鋭い爪を使う元華には最後まで頑張ってもらいたかったが、身軽なアクロバティックなカンフーを見せ(装着してる武器が本当に良かったね!)かなりしぶとい、相当なワルっぷりだったので、まぁまぁその点は満足できました。

珍しいエピローグで余韻に浸ってみてはいかが。

 

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ジャッキー・チェンが端役出演。邵氏『黒店』(1972)について

2015-01-01 00:00:00 | 成龍的電影

今回の記事ですが、『黑店』という作品について書いてみます。

この『黑店』という映画は1972年に製作され、邵氏にて葉榮祖が監督、女優シー・ズーや康華名義の董力(トン・リー)が主演した映画です。

 

ロシア語音声、日本語字幕バージョン

董力が主演と言いますと、帝國影業の『過關斬將』(74)や蛇女ゴーゴンのような美女が登場する蛇群拳~殺人スネーク対飛剣カンフー(74)がありますね。私が最初に彼を見たのが「少林寺秘伝拳」(76)というヤツでして、ボスのタイコーが繰り出す毒龍掌が印象的で、序盤にそのボスの魔手にやられてしまった董力の黒い手形の付いた背中を治療するオババが現れてダラダラと黒い血が流れ落ちて見事に復活するというシーンがとにかく強烈でした!。全体的にまとまっていて同時期の少林寺モノとしてはカーター・ワンが不在でもそれなりに楽しめましたし、なかなか良く出来たカンフー映画でした。面白くてハマっちゃいますよ!(笑)

この董力ですが、私は昔から井上順にそっくりに見えてしまったので、勝手に順さんと呼んでいましたね(笑)

井上順トンリー

ちょっと似てませんか?顔の造りがそっくりなんです。特に鼻がね(笑)。もしかして年齢的にも近いんじゃないでしょうか。

冒頭、”酔楽酒楼”で一杯やっている連中。ここで飲んでいる輩の大勢いる中で目立つ剣士・査小魚(この董力)と張彩屏(シー・ズー)の前に、酔いどれ和尚(石天)が登場します。

『黑店』という映画は、内容としてはキン・フーの『龍門客棧』(67)のエピゴーネンと思われがちですが、実は同じキン・フー監督が邵氏で撮った『大酔侠』(66)から受け継いだ要素も相当盛り込まれていたりしますよね。キン・フーを相当意識した、つまりキンフーが気に入らなかった要素も存分に持ち込んだミックスしたような映画になるのではないでしょうか。

そもそも”黑店”とは、旅人を殺したりその金銭を奪うために開いた宿屋・・・と辞書には書いてありましたが、この映画では金銀財宝を持って任期を終えた省の長官が帰郷する噂を聞いて、獲物を狙う店側の人間と”黑店”にやってくる多彩な訪問客のドラマが展開されます。

それではちょっと、馴染みのある顔ぶれから紹介してみたいと思います。まずは午馬演じる白塗り浪人ですが、これは『大酔侠』で陳鴻烈が演じた玉面虎を意識したキャラクターでしたね。午馬は今年の2月に肺癌で惜しくも亡くなってしまいましたが、(葬儀にはサモ・ハン夫妻や成龍、張徹一家の姜大衛やティ・ロン、そして石天の顔もありました。)この映画では役者として出演していました。キョンシーもどきの湘西五通鬼を引き連れていましたね。

 ピョンピョン跳ねる湘西五通鬼の連中

今回、鄭壽山という名のボスとなった谷峰も『大酔侠』では盗賊の一味に扮していただけだったので相当出世しましたね(笑)。あと例の「空中必殺・雪原の血闘」(71)では雪の上を歩いても足跡が残らなかったのですが、今度は逆に客棧内の階段を昇ると足跡がつくという、何という術なのか分からない点は同じと言えば同じですね。今回は剣をムチに持ち替えた神鞭鬼王となって堂々とした”ムチの鬼”ぶりを見せつけています。

ところで石天さんは、一見何者か分からないのですが、ひょうたんを持った和尚ですね。冒頭から登場しストーリー的には重要な役目を果たしますが、最終的にどんな人物だったのかは読めてきます。見た目は『大酔侠』の酔猫(岳華)をややイメージした感のある乞食のような役柄となっています。

七小福のメンバーだったユン・ワーもちょっとだけ顔を出します。先の湘西五通鬼の一人としてですが、キョンシーのようなのにまだキョンシーとは呼ばれていないのが特長で、このキョンシー軍団(ニセ)を使ったアイデアは時期的にも驚異ですし、どこで仕入れたネタなのでしょうか?

 不気味な顔のユン・ワー。どこから持ってきたの??

そして、何と言っても同じく『大酔侠』で悪和尚を演じていた楊志卿が、今回はストーリー上、最重要人物の海剛峰に扮しているのでニヤニヤせずにはいられませんでしたね。

この映画のように客棧を舞台にした映画は、キン・フー監督が何本も撮っていたように最も得意とした映画であり、監督曰く客棧を用いれば脚本さえ要らなくなるとかで、映画が撮りやすくなるパターンなのでしょうね。つまり客棧はキンフー映画のジェネレータの役目なんですね。

そして、当然ながら葉監督はキンフーの影響を受けたということになると思うのです。客棧を使うものは大抵は京劇の立ち回り代表作である『三岔口(さんちゃこう)』から来ているそうですから、この黑店も多分そうなのでしょうね。あと、鍾馗嫁妹という姉妹の話を扱った京劇もあったりしますが、要するにみんな最初は京劇からとなっちゃいます。セリフが少なくて映像を見せるという作劇方は京劇の影響を受けたキンフー映画の特徴だった訳です。京劇ってやっぱり凄いですね。

王侠扮する初代店主・高三風の店、”高家客店”にやってくる客は多く、この店の料理も有名らしく料理人が作る料理は、なんと人肉饅頭であるのでした!

人肉饅頭というとアンソニー・ウォンのスプラッター映画『八仙飯店之人肉饅頭』を連想してしまいますが、シナリオライター葉逸芳(葉榮祖監督の父上様)は人肉好きで、『女侠賣人頭 』(70)でも女剣士が斬った生首を売ろうとするビックリ仰天映画の脚本を書いていたりしています。『黑店』劇中にも名前が出て来た『鍾馗娘子』も同氏の書いたシナリオですね。(葉逸芳は引退間際だったのですが、この『黑店』で初めて親子共同製作が実現しました。)

この人肉饅頭プロットの元ネタとなっているのは、古くは伝奇小説の「西遊記」にも似たようなものがあるようですが、おそらく「水滸伝」に出てくる母夜叉と呼ばれた孫二娘がモデルとなっていると思います。孫二娘は武芸の達人という設定で、夫の張青と経営している店にやってくる客に痺れ酒を飲ませ、果ては人肉饅頭にしてしまうという恐ろしい人物です。『黑店』においては、于楓が二娘ではなく三娘という役名で登場していますので、これはもう明らかですよね。葉親子はキンフーが好まなかった人肉饅頭を使い、つまりキンフーとはまったく逆の描写をこの『黑店』で持たせた訳なのです。

店にやって来た鉄腕ゴールデン・アイこと劉通(演じているのは李皓)。どこで噂を聞きつけてきたのか席につくなり「人肉饅頭を出せ」と言うが、そんなものはある訳ないときっぱり否定されてしまう。このあとのセリフが重要で、誰が店にやってくるのか、またどんな宝を持っているのかを彼が説明しています。

鄭壽山の一行が到着し、店を乗っ取り、店主になりすまします。店主らが変わった事を不審に思う輩もいたりするのですが、そして付き人と2人の守衛を連れた一行の馬車が店に・・・。そこから降りてきたのは噂の人物・海剛峰だったのです。という具合にあとから続々と登場する客人たち。姜南のおっさんやら、三頭蛇(小麒麟ら)に続いて胡(フー)というバイキング・ヘルメットをかぶった男が現れます。周りが”大哥”と呼ぶ実力者です。しかし、これらの登場人物たちはあまり重要ではありません。大して重要ではない人物を次から次へと登場させてハラハラさせられるという具合。ムチの餌食となってしまいますが。

そして、忘れてはならないこの人。小鍾馗こと張彩屏を名乗るシー・ズーは、チェン・ペイペイ正に”鍾馗娘子”のあとを継いだ素晴らしい武侠女星です。(この映画では痛々しい姿でしたので見ていられませんでした。)

 

残酷な相手の攻撃に歯を食いしばるシー・ズ-!!!

もう一人、まったく良いところを見せずに結局、董力の剣士に倒されてしまう意外な人物が!途中から店の番頭さんに扮していた衛子雲ですね。荊虎という役でしたが、2人の娘も荊緑、荊紅と同じ荊が付きますから兄弟の設定なのかも知れません。衛子雲は当時、おそらく本名の章恆と呼ばれており、(私が見た功夫片ですと『中國人』(72)や『一條龍』(73)という主演作もありましたね。)台湾のTVドラマで活躍した武侠明星であります。現在は、台湾截拳道アカデミーにて總館長としてジークンドーを指導されています。

若き衛子雲

そして物語後半、海大人の付き人としてマースとのペアリングでジャッキー・チェンが出演していますね。これは『金毛獅王』と同じパターンであり、『黒店』でも武術指導している徐二牛の下についていた時期であることが分かると思います。

最終的に胡大哥の相棒(陳贊剛:右)に殺されてしまう役であるのですが、途中のアクションを含めた登場シーンでは相変わらず顔を極力映らないようにする姿勢は変わっていません。この点、マースは顔映りがジャッキーとは対照的ですね。剣を使ったアクションシーンや素早い動きのシーンもあり、しっかり仕事してるよなぁジャッキー!

ラスト、政府の役人たちが黑店にやって来ます。罪人の二人の娘を捕まえるためです。『黑店』の時代設定はおそらく明代ですから錦衣衛ではなくて青い服を着ていることから東廠の人間となるのでしょうか。石天にしてもそうだったと想像できますね。そして、謎の人物・海剛峰は何者だったのでしょうか?

男女の剣士をうまく引き込んで、悪者を退治して民衆を守るという、すべては海大人が計画した一掃策であったのではないかと。また、巡撫という地方官だったのではないか(?)と思っています。

 長々と書いてしまいました邵氏『黑店』。キン・フーのアレンジにして、葉親子のコラボレーションの映画ですから面白い訳ですね。

おまけ:

徐二牛関連作品で火星が出演しているものをリストアップしておきます。
”火星の近くにジャッキー在り。”by醒龍

★金毛獅王 The Golden Lion
★黑店 The Black Tavern
洋妓 Virgins of the Seven Seas 
★埋伏 Ambush 
鬼太監 The Eunuch 
★惡虎村 Village of Tigers 

注)★は出演確認済み作品。 

 

 

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ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳

2015-01-01 00:00:00 | 成龍的電影

ちょっと懐かしくなる1本です。この映画は劇場ではなくテレビで放送されただけだったのですが、映画雑誌ロードショーにも放送予定が載っていて、当日の放送を楽しみにしていました。(もちろんナイターの代わりではありません。。)
本編終了後、ミニ番組「ジャッキー・チェンの魅力のすべて」も放送してジャッキーの簡単な紹介をしてました。当時はこんなおまけまで放送してくれるのかと喜んで見ていたのです。ナレーターは石丸さんでしたね。(某伝説に書かれていた「ジャッキー・チェン魅力のすべて」は惜しい、”の”が抜けてた。。)
ちなみに今、ニコ動にアップされてるのは初回放送時のものですね。(時間は8分間でした!)いろいろ探してみると、予告編とかもあって面白いですね。

予告編より

あと、吹き替え入りのDVDもあとから格安で発売されましたけど、その前は北京語の夜バージョンが特典に入ってるのとかもあったりして、昼と夜のバージョンがあるなんてこんなの他にはないですね。胡散臭いある意味特別な映画ですからね(笑)

そういえばこれのVCDに入っている音声の右のチャンネル(広東語の方)には、聞き慣れたいつもの曲とはまったく違うBGMが使われいて違和感があったりしました。「酔拳」のフィルムが挿入されている特訓シーンでは「八つ墓村」(77)より「惨劇・32人殺し」の曲が使われていますね。

「必殺鉄指拳」いま見るととても懐かしいですが、昔はこんな放送もあったということで・・・。今じゃ、ありえないありえない。当時の豪華な声優さんによる月曜ロードショーの映像を引っ張り出してと。(終)


コメント (4)
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