福岡市民劇場2月例会で、無名塾の「ボブソンズ・チョイス ~ボブソンの婿選び~」を観劇しました。
この芝居は英国ビクトリア朝後半の片田舎での出来事を描いています。登場人物達は当時の商人階級で、彼らがコミカルに描かれています。
靴屋のボブソンには年頃の3人の娘達がいます。彼は豪放磊落で陽気な風を装っているけど、本当は頑固でとても寂しがり屋、毎日のように酒屋に入り浸りで、仕事は放りっぱなし。
長女のマギーはそんな父親の面倒をみながら、二人の妹と店を取り仕切っています。まだ大量生産の時代は到来しておらず、職人が一つ一つの靴を作っていた、この芝居の背景はその様な時代です。
ある日、「おたくの店の職人、ウィリーの腕はピカ一」という上流夫人の一言を聞いた長女マギーは、この腕の立つ若い職人と結婚し、独立した別の靴屋を開くという少々強引とも思える決断をします。
この事を知ったボブソンは怒り狂うが、マギーはあっという間に実行に移します。それは三姉妹が幸せになる為の反乱だった様で、最後は皆納まるところに納まり、ボブソンも受け入れざるをえません。マギーがこの決断をするところからボブソンがそれを受け入れざるを得なくなるまでが、観客の笑いを誘いながら、舞台上でコミカルに演じられていました。
英国には「ボブソンズ・チョイス(ボブソンの選択)」という諺があるそうで、「選択の余地がない」という意味なのだそうです。この物語のボブソンも、そういう選択の余地がない状況に陥ったんだ、と私なりに解釈しました。
三姉妹の衣装は典型的なビクトリア朝のファッションで、特にフォーマルファッションは中間色でまとめられ素敵でした。それをまとった役者さんの身のこなしも自然で、舞台全体に時代(イメージの中の)が上手く表現されていたと思います。
主役のボブソン役の仲代達矢さんの演技は、昨年の2月にも「炎の人」を観ましたが、その時のゴッホ役と重なる感じがして、少し物足らない気持ちになりました。
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