日本福音ルーテル二日市教会 筑紫野市湯町2-12-5 電話092-922-2491 主日礼拝 毎日曜日10時半から

ルーテル教会は、16世紀の宗教改革者マルチン・ルターの流れを汲むプロテスタントのキリスト教会です。

12月17日

2023-12-22 12:03:42 | 日記
二日市教会主日礼拝説教 2023年12月17日(日)
待降節第3主日
イザヤ61:1~4,8~11,Ⅰテサ5:16~24,ヨハネ1:6~8、19~28
クリスマスツリーの謎
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私たちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安が皆さま一人ひとりの上にありますように。アーメン。

 突然の入院で大変ご心配とご迷惑をおかけしました。退院後も体調の回復は意外と時間がかかっていますが、無理だけはしないように努める所存なのでよろしくお願いします。
 ところで先日テレビに、外側から見たドジャース球場が映り、その隣りには天をも突きそうな巨大なクリスマスツリーが立っていました。アメリカは何でも大きいことが好きな国のようです。大型ツリーは、公共施設前の広場やショッピングモールにもあり、大きいだけでなく色々趣向が凝らされていて、見飽きることがありません。一方各家庭ではミニサイズのもみの木が立てられ、家族総がかりで飾りつけをすることがこの国の風習になっています。いまやアメリカは世界的に見てもクリスマス大国であります。

 けれどもアメリカも、最初からそうだったわけではありません。メイ・フラワー号という船でヨーロッパから移住してきた人たちは誰も貧しく、お腹を空かしていたからです。アメリカ人が今のようにクリスマスが祝えるようになるまでには、それから長い時間を要しました。

さて、その時期、ヨーロッパでは興味深いことが起きていました。ひとことで言えば、それはクリスマスツリーの誕生でした。つまり、それまでの人類はクリスマスツリーを見たことがなかったのでした。さて、その出来事はドイツで起きていました。
ところで、それまでも世界の人々は クリスマス自体は祝っておりました。ただそこにクリスマスツリーがないだけでした。そういうことで、ドイツ人はドイツ人なりにクリスマスを祝っていました。ドイツの人たちは、クリスマスになるとお芝居を楽しんでいました。ドイツ人はお芝居が大好きでした。しかし、芝居好きということだけですと、日本人も同じでした。たとえば、今でも島根県や広島県の山間部に行けば、お神楽という見事な伝統のお芝居を観ることが出来ますし、江戸時代には全国各地に芝居小屋が建てられ、旅の役者たちがやってきて、たとえば国定忠治のような出し物で人々を楽しませていたからです。

ただ、ドイツ人の芝居好きにこんな特徴がありました。芝居の出し物は聖書の話と相場が決まっていたからです。そういう芝居が、ドイツではクリスマスの夜に行われたのでした。しかし、聖書ものと言っても聖書には無数の話があります。その中で、民衆がいちばん好んで見ていたのは「失楽園」の話でした。失楽園といえば、エデンの園でアダムとエバが禁じられていた果実を蛇にそそのかされて食べたため、神の怒りに触れ楽園を追放される物語です。そういうお芝居は、何から何まで村人たちの手で運営され、従ってアダムにしてもエバにしても村の人が演じ、蛇も、サタンも、エデンの東の門番のケルビムも誰かが演じていました。そして、それは昔からの長い伝統だったので、舞台にも決まり事があって、失楽園が演じられるときには、赤い実をつけたリンゴの枝が立てられていなければなりませんでした。なぜなら、当時の人々は、アダムとエバが食べた木の実はリンゴであると信じていたからでした。
ただ、そのことには少々難点がありました。なぜなら、芝居が演じられる頃のリンゴの木は葉っぱも全部落ちて丸裸だったからです。しかし、聖書の楽園はみどり豊かな情景だったので、その解決策を人々は密かに考えていました。そしてある日ある人が「木の枝はリンゴでなくてもよいのではないか?」と言いだしました。いちばん大事なことは真っ赤なリンゴが青々と葉が茂る枝になっていることなのだから。

この発想の転換は、多くの人の共感を得ることになり、しばらくするとどの舞台でも、立てられているのはもみの木になっていました。それほど、ドイツではもみの木は誰でも手に入れられたからでした。

ということで、最初のハードルはクリアできましたが、もうひとつのハードルがとありました。それは「リンゴ問題」で、なぜならリンゴはドイツに豊富な果物でしたが、それでも栽培されない地域もあり、かつリンゴもまた不作の年ということがよくあったからです。つまり、全国のどこででも、天候に左右されず安定供給されなくてはこまるということあったからです。それにもうひとつの問題もありました。あのずっしりしたリンゴをもみの若木に取りつけるときの不安定感、正直言って重たすぎる・・・。

しかし、この問題もドイツ人は解決しました。それはガラス製のボールを作り、それをリンゴに見立てることでした。彼らはガラスのボールの内側を硝酸銀でコーティングし、とても軽くてしかも丈夫なボール球(だま)を開発し、最後に赤色で表面加工することで、イミテーションであっても立派なリンゴを造り上げたからです。
すると各国からこの「リンゴ」の注文が入りました。中でも世界一大量の注文をしてきたのはアメリカでした。その時のアメリカはもう貧しさからは脱却していて、豊かさを求め始めていました。だから、クリスマス関連にしても、物質的な面だけでなく、「真のクリスマス」つまりキリスト教信仰にふさわしいグッズが求められ、その白羽の矢を、ドイツ人が開発した「緑のもみの木に赤いリンゴ」という組み合わせに当てたのでした。つまり、これこそ御子の降誕を迎えるクリスチャンにふさわしいものだと直感したからです。

以上が、私たちがよく知るクリスマスツリーの起源(=はじまり)の話でした。もちろん、ドイツ人やアメリカ人が大事にした赤いリンゴは(失楽園の)禁断の木の実をあらわしますが、ういういしい緑のもみの木は、失楽園での人類の罪が生まれた神の子によってあがなわれ、その結果人類は楽園を再び回復するであろう・・・というメッセージとして受け取られたのでした。
なお、あとひとつ、このもみの木にキリストの十字架を見いだしている人もすくなくないことを付け加えたいと思います。(日本福音ルーテル二日市教会牧師:白髭義)
次週12月24日 主の降誕主日
説教題:迫害される音楽
説教者:白髭義牧師

クリスマスイブコンサート
女声合唱団:クール・クール
12月24日:18時30分~
   あなたのおいでをまっています 。
コメント
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