NEST OF BLUESMANIA

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#72 THE BAWDIES「EMOTION POTION」

2009-04-05 07:31:05 | Weblog
#72 THE BAWDIES「EMOTION POTION」(THIS IS MY STORY/Getting Better)

今週も和モノだ。まずはMySpaceへの投稿映像を観ていただこう。彼らのメジャーデビューアルバム「THIS IS MY STORY」からのシングル、「EMOTION POTION」である。

いやー、びっくりした。見た目はフツーの日本のバンドなのに、生み出しているサウンドがものスゴく洋楽っぽいし、クロいんである。

揃いのスーツに身をつつんだ彼らがたたき出すビート、そして歌声は、60年代の英国R&Bバンド、たとえばヴァン・モリスン率いるゼムあたりを彷彿とさせる。

これまでの日本のバンドで言えば、パブ・ロック系ということで、ミッシェル・ガン・エレファントの流れか。でもボーカルの黒さ、太さということでいえば、サザンとかウルフルズとかにも近い。リード・ボーカル兼ベースのROYこと渡辺亮は、ひさびさの逸材といえそう。

しかも、リード・ボーカルだけでなく、バッキング・コーラスも黒い。モシャモシャ頭のギター&ボーカル、TAXMANこと舟山卓も、実にヘビーな歌声の持ち主。いうなれば、桑田が二人、あるいはトータスが二人いるようなスゴいバンドなのだ。

レノン&マッカートニーがソウルフルになったような亮・卓コンビをバックアップするのは、ギターのJIM(木村順彦)、ドラムスのMARCY(山口雅彦)。この4人はともに学生時代からの友人で、卓以外は小学校の同級生、そして卓が高校のとき以来の付き合いで、一緒にバスケをやりながらバンドも始めたとか。つまり、完全に自然発生的なバンドなのだ。

すでに海外(オーストラリア)でもライブを行い、大好評を得たというTHE BAWDIES。日本のバンドというと、オリエンタリズムを表に出さないとウケない時代があったものだが、モロに洋楽指向、それもルーツミュージックに根ざした、かなーりレトロな音作りにもかかわらず、すんなりと受け入れられたということである。なんか時代の変化を感じるねぇ。

ま、どこの国の人間がやっているかなんて意識させないくらい、ごくごくストレートな王道ロックンロール/R&Bなんだな。

それから、THE BAWDIESというネーミングも、実に大胆だ。直訳すれば「スケベエズ」だぜ。これ以上スゴいバンド名はなかなか付けられません(笑)。

ロックンロールという言葉の意味はメイクラブ、つまり●ックスだということは、洋楽に通暁したひとならご存知かと思うが、まさにその通りのバンド名を名乗ってしまったTHE BAWDIES。あっぱれ!という他ない。

まだ20代の若者たちが、40年以上前のサウンドを追求し、しっかりと自分たちのものとして消化している。これには驚きを禁じ得ない。

欧米の影響を受けること50数年、ようやくにして日本人も、ロックの本質を体得したのかもしれない。

THE BAWDIES、今後がメチャ楽しみなバンドだ。ぜひ名前を覚えておいてほしい。

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