NEST OF BLUESMANIA

ミュージシャンMACが書く音楽ブログ「NEST OF BLUESMANIA」です。

#83 レッドベリー「Leaving Blues」

2009-07-19 09:31:38 | Weblog
#83 レッドベリー「Leaving Blues」(Leadbelly/Virgin)

四週間ぶりの更新は、この一曲であります。フォーク/ブルース・シンガー、レッドベリーの40年代の録音より、自身のオリジナルを。

レッドベリーは1888年ルイジアナ州ムーアリングスポート生まれ。49年、ニューヨークにて61才で亡くなっている。

テレビはおろか、ラジオ放送もまだ始まっておらず、レコードも普及していなかった20世紀の前半、庶民はどうやって音楽を楽しんでいたか?

各地を回って、生の弾き語りで歌をうたいきかせるシンガーが、そういったメディアのかわりに存在していたのだ。彼らはソングスター(Songster)と呼ばれていた。

レッドベリー、本名ハディ・レッドベターもそのひとりで、12弦ギターを手に、さまざまなジャンル(フォーク、ブルース、ワークソング、スピリチュアルなど)の音楽を、ひとりで歌って旅をしていた。

1930年代以降、国会図書館用や商業レーベルへの吹き込みも始まり、彼の名前は全国区的に有名となる。

白人、黒人を問わず人気を博し、後代にも大きな影響を与えている。たとえば、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル。彼らの4枚目のアルバム「ウィリー&ザ・プア・ボーイズ」では、A面、B面で一曲ずつ彼の代表曲「コットン・フィールズ」「ミッドナイト・スペシャル」がカバーされていて、その影響度がよくわかる。

きょう聴いていただく「Leaving Blues」も、アメリカのみならず、海を渡って英国のミュージシャンたちにもカバーされている。スキッフルのスター、ロニー・ドネガン、それからロリー・ギャラガー率いるバンド、テイストも録音しているのだ。

レッドベリーの歌の魅力といえば、なんといってもその円熟味あふれる「声」だろうな。きょうの一曲でも、ちょっと鼻にかかった高めの声でウェイルする、いかにもレッドベリーらしい歌唱を聴くことが出来る。そのひなびたムードは、いかにもルイジアナなんだよな~。

ギターのほうも結構達者で、そのプレイは実にリズミカルでスピード感があふれている。

明るい曲、メランコリックな曲、しみじみとした曲、どんな曲を歌っても、レッドベリーの個性がそこににじみ出ているのだ。

20世紀前半のアメリカ民衆音楽を象徴するシンガー、レッドベリーの歌う「Leaving Blues」。これぞカントリー・ブルースの粋(すい)だと思います。必聴。