#91 カール・ウェザズビー「Come To Papa」(Come To Papa/Evidence)
今年56才の中堅ブルースマン、カール・ウェザズビーの4枚目のソロ・アルバムからタイトル・チューンを。ウィリー・ミッチェルとアール・ランドルの作品。
ウェザズビーは53年、ミシシッピ州ジャクスン生まれ。係累にミュージシャンが多いこともあってか自らもギターを弾き始め、父親がアルバート・キングと懇意にしていたことからそれがキングの目にとまり、20代の後半にはキングのバック・バンドに一時参加することになる。
彼の本格的なプロ・ミュージシャンとしてのキャリアは、ハーピスト、ビリー・ブランチが率いるバンド、サンズ・オブ・ブルースから始まる。
80年代前半から90年代半ばまではそのグループに在籍、96年、ソロ・デビューを果たす。
以来、病気によるブランクをはさみながらも2004年まではコンスタントにアルバムを発表。2005年以降はふたたび録音が休止状態となっているものの、玄人筋では非常に評価の高いひとだ。
まずは、きょうの一曲、聴いてみよう。この曲はもともと、ベテラン・ソウル歌手アン・ピーブルスが「Come To Mama」のタイトルで歌い、ヒットしたナンバー。それを男性版バージョンで出すに際して、わざわざオリジナル・シンガー、ピーブルスを引っ張り出してレコーディングしたあたり、ウェザズビーの相当な意気込みが感じられる。
このアルバムではおまけに同じピーブルスの代表曲、当コーナーでも昨年の9月21日に取り上げた「(I Feel Like) Breaking up Somebody's Home」までカバーしてるんだから、すごい気合いだ。ソウル・シンガーとして、一歩前に出てやるぜ、みたいな。
とはいえ、シャウトな歌姫、ピーブルスとは対照的に、ウェザズビーの歌声はわりとソフトで、ほとんどシャウトしない。師匠格にあたるアルバート・キングにも通じるところのある、スモーキーな声が印象的だ。
これがよくも悪くも、彼の個性といえるだろう。「クルーナー唱法」というのがソウルにもあるとしたら、彼はその見事なサンプルといえそうだ。
バック・ミュージシャンに目を転じてみると、これがなかなか。ベースにウィリー・ウィークス(クラプトン、ジョー・ウォルシュのバックなどでおなじみですな)、キーボードにラッキー・ピータースン、そしてメンフィス・ホーンズと豪華豪華なのだ。当然、音には文句のつけようがない。
ウェザズビー自身のギター・ソロは控えめで、そちらを期待したムキには肩すかしだったかもしれないが、これも彼の、ギターよりあくまでも歌を前面に出そうという姿勢のあらわれなんだろうね。
アルバート・キング亡きあと、そのソウル・ブルースのラインを引き継ぐ稀少なひとり、カール・ウェザズビー。
派手さはないが、自分の気に入った曲をじっくりと歌いこんでいくウェザズビーには、隠れたファンも多い。
ふたたび新作で、その味わい深い歌声とギターを聴かせてほしいものであります。
今年56才の中堅ブルースマン、カール・ウェザズビーの4枚目のソロ・アルバムからタイトル・チューンを。ウィリー・ミッチェルとアール・ランドルの作品。
ウェザズビーは53年、ミシシッピ州ジャクスン生まれ。係累にミュージシャンが多いこともあってか自らもギターを弾き始め、父親がアルバート・キングと懇意にしていたことからそれがキングの目にとまり、20代の後半にはキングのバック・バンドに一時参加することになる。
彼の本格的なプロ・ミュージシャンとしてのキャリアは、ハーピスト、ビリー・ブランチが率いるバンド、サンズ・オブ・ブルースから始まる。
80年代前半から90年代半ばまではそのグループに在籍、96年、ソロ・デビューを果たす。
以来、病気によるブランクをはさみながらも2004年まではコンスタントにアルバムを発表。2005年以降はふたたび録音が休止状態となっているものの、玄人筋では非常に評価の高いひとだ。
まずは、きょうの一曲、聴いてみよう。この曲はもともと、ベテラン・ソウル歌手アン・ピーブルスが「Come To Mama」のタイトルで歌い、ヒットしたナンバー。それを男性版バージョンで出すに際して、わざわざオリジナル・シンガー、ピーブルスを引っ張り出してレコーディングしたあたり、ウェザズビーの相当な意気込みが感じられる。
このアルバムではおまけに同じピーブルスの代表曲、当コーナーでも昨年の9月21日に取り上げた「(I Feel Like) Breaking up Somebody's Home」までカバーしてるんだから、すごい気合いだ。ソウル・シンガーとして、一歩前に出てやるぜ、みたいな。
とはいえ、シャウトな歌姫、ピーブルスとは対照的に、ウェザズビーの歌声はわりとソフトで、ほとんどシャウトしない。師匠格にあたるアルバート・キングにも通じるところのある、スモーキーな声が印象的だ。
これがよくも悪くも、彼の個性といえるだろう。「クルーナー唱法」というのがソウルにもあるとしたら、彼はその見事なサンプルといえそうだ。
バック・ミュージシャンに目を転じてみると、これがなかなか。ベースにウィリー・ウィークス(クラプトン、ジョー・ウォルシュのバックなどでおなじみですな)、キーボードにラッキー・ピータースン、そしてメンフィス・ホーンズと豪華豪華なのだ。当然、音には文句のつけようがない。
ウェザズビー自身のギター・ソロは控えめで、そちらを期待したムキには肩すかしだったかもしれないが、これも彼の、ギターよりあくまでも歌を前面に出そうという姿勢のあらわれなんだろうね。
アルバート・キング亡きあと、そのソウル・ブルースのラインを引き継ぐ稀少なひとり、カール・ウェザズビー。
派手さはないが、自分の気に入った曲をじっくりと歌いこんでいくウェザズビーには、隠れたファンも多い。
ふたたび新作で、その味わい深い歌声とギターを聴かせてほしいものであります。