#129 MY LITTLE LOVER「Hello, Again ~昔からある場所~」(evergreen/トイズファクトリー)
MY LITTLE LOVERのサード・シングル。95年リリース。小林武史プロデュース。
同年5月デビューしたMY LITTLE LOVERは、akko、藤井謙二、小林武史の3人によるユニット。
「Man & Woman/My Painting」「白いカイト」の2曲のあとを受けてリリースされた本シングルは、彼らの最初のスマッシュ・ヒットとなった(オリコン2週連続1位)。
テレビドラマ「終らない夏」の主題歌という初タイアップの効果もさることながら、決めてはやはり楽曲の出来の素晴らしさ、そういうことじゃないかと思う。
マイラバの特徴というか最大のウリは、リードボーカルakkoの「声」にあることは間違いないだろう。決して「美声」とか「うまい歌」じゃないんだが、耳に妙に残る声なのだ。舌っ足らずで中性的、やや甘ったるいあの声なくしては、マイラバのサウンドは成立しなかったに相違ない。
「Hello, Again ~昔からある場所~」はこれまで美吉田月、Mi、JUJUの3アーティストによってカバーされていて、最近ではデジカメのCMソングとなったJUJUのバージョンがよく知られていると思うが、JUJUの美声や歌唱力をもってしても、この曲についてはどうしてもakkoに軍配が上がってしまう。
思春期の少年の心境をうたった歌詞に、akkoの中性的な歌声が、このうえなくフィットしているのである。
ある意味、ZARD坂井泉水にも通じる、ヘタウマの系譜といいますか。本当は下手なんていっちゃ失礼なんだが、いわゆる実力派シンガーとは違った魅力があるということですわ。
この曲、歌詞は小林が担当。曲は最初に藤井がプロトタイプを作ってきて、それを小林とで揉んで完成形にしたという共作。
筆者的に一番シビれた箇所といえば「記憶の中で ずっと二人は 生きて行ける」の転調のところだな。これが曲最大のフックといっていい。ちなみにこれは藤井作のプロトタイプ段階で既にあったという。
前半(いわゆるAメロ、Bメロと呼ばれるところ)がわりと淡々と進んできていたが、そこに来てグッとひきしまる。作曲者の見事なセンスを感じるところだ。
そしてもちろんバックグラウンドの音も見過ごすことは出来ない。藤井のギターリフやソロ、小林のアコースティック基調の緻密なアレンジ。こういったものが渾然一体となってマイラバらしさを生み出している。
それはひとことでいえば「清冽さ」ということになると思う。
男と女のドロドロ、みたいな世界は、マイラバには似合わない(その後、図らずもそういう問題に直面してグループは空中分解するという皮肉な道をたどるのだが)。
ファーストアルバムのタイトル「evergreen」そのままに、永遠に青春な音楽、それがMY LITTLE LOVERの世界なのだ。
芸術とは従来誰も気づかなかった「価値」を発見すること、というふうに筆者は考えているのだが、さしずめマイラバは、akkoのような歌声の魅力を発見したといえる。美声や圧倒的な声量を誇るシンガーよりもリスナーをひきつけてやまないものが、akkoにはあるのだ。
15年経っても、名曲はやはり名曲。必聴です。
MY LITTLE LOVERのサード・シングル。95年リリース。小林武史プロデュース。
同年5月デビューしたMY LITTLE LOVERは、akko、藤井謙二、小林武史の3人によるユニット。
「Man & Woman/My Painting」「白いカイト」の2曲のあとを受けてリリースされた本シングルは、彼らの最初のスマッシュ・ヒットとなった(オリコン2週連続1位)。
テレビドラマ「終らない夏」の主題歌という初タイアップの効果もさることながら、決めてはやはり楽曲の出来の素晴らしさ、そういうことじゃないかと思う。
マイラバの特徴というか最大のウリは、リードボーカルakkoの「声」にあることは間違いないだろう。決して「美声」とか「うまい歌」じゃないんだが、耳に妙に残る声なのだ。舌っ足らずで中性的、やや甘ったるいあの声なくしては、マイラバのサウンドは成立しなかったに相違ない。
「Hello, Again ~昔からある場所~」はこれまで美吉田月、Mi、JUJUの3アーティストによってカバーされていて、最近ではデジカメのCMソングとなったJUJUのバージョンがよく知られていると思うが、JUJUの美声や歌唱力をもってしても、この曲についてはどうしてもakkoに軍配が上がってしまう。
思春期の少年の心境をうたった歌詞に、akkoの中性的な歌声が、このうえなくフィットしているのである。
ある意味、ZARD坂井泉水にも通じる、ヘタウマの系譜といいますか。本当は下手なんていっちゃ失礼なんだが、いわゆる実力派シンガーとは違った魅力があるということですわ。
この曲、歌詞は小林が担当。曲は最初に藤井がプロトタイプを作ってきて、それを小林とで揉んで完成形にしたという共作。
筆者的に一番シビれた箇所といえば「記憶の中で ずっと二人は 生きて行ける」の転調のところだな。これが曲最大のフックといっていい。ちなみにこれは藤井作のプロトタイプ段階で既にあったという。
前半(いわゆるAメロ、Bメロと呼ばれるところ)がわりと淡々と進んできていたが、そこに来てグッとひきしまる。作曲者の見事なセンスを感じるところだ。
そしてもちろんバックグラウンドの音も見過ごすことは出来ない。藤井のギターリフやソロ、小林のアコースティック基調の緻密なアレンジ。こういったものが渾然一体となってマイラバらしさを生み出している。
それはひとことでいえば「清冽さ」ということになると思う。
男と女のドロドロ、みたいな世界は、マイラバには似合わない(その後、図らずもそういう問題に直面してグループは空中分解するという皮肉な道をたどるのだが)。
ファーストアルバムのタイトル「evergreen」そのままに、永遠に青春な音楽、それがMY LITTLE LOVERの世界なのだ。
芸術とは従来誰も気づかなかった「価値」を発見すること、というふうに筆者は考えているのだが、さしずめマイラバは、akkoのような歌声の魅力を発見したといえる。美声や圧倒的な声量を誇るシンガーよりもリスナーをひきつけてやまないものが、akkoにはあるのだ。
15年経っても、名曲はやはり名曲。必聴です。