#234 スタッフ「Signed, Sealed, Delivered I'm Yours」(Live Stuff/Warner Bros.)
1970年代に活躍したフュージョン・バンド「スタッフ」の、日本でのライブ盤より。スティービー・ワンダー、シリータ・ライト、リー・ギャレット、ルーラ・メイ・ハーダウェイの作品。78年、東京郵便貯金ホールにて録音。
スタッフは76年にアルバム「Stuff」でレコード・デビューした6人組。ツイン・ギター、ツイン・ドラムスにベース、キーボードという編成だ。もともと、ニューヨークのライブハウスやスタジオで活動していたプロミュージシャンたちが集うセッション・バンドであり、メンバーは流動的だったが、70年代なかばにはほぼ結成メンバーに固まり、ジョー・コッカーのアルバム「Stingray」のバックや、モントルー・ジャズ・フェスティバルでのライブなどで注目されるようになる。
当時のフュージョン・バンドとしては、ホーン主体のクルセイダーズと好一対をなすかたちで、ギター中心のスタッフが、群を抜いて人気が高かったのを覚えている。
レコードデビューするや否や、FMラジオで連日パワー・プレイ。彼らの「My Sweetness」や「Foots」がかからぬ日はなかったと断言できる。
翌77年にはセカンド・アルバム「More Stuff」を発表、こちらも大ヒット。
その勢いに乗って、78年には初来日。きょうの一曲を含むライブ・アルバム「Live Stuff」を残すことになる。
さてそのスティービー・ワンダーの「Signed, Sealed, Delivered I'm Yours」、邦題「涙をとどけて」だが、実は6人全員の演奏によるものではない。ツイン・ドラムスのうちのひとり、クリス・パーカーはこのとき、急病のため参加できなかったのだ。
したがって、この演奏は正確には「スタッフ-1」によるわけだが、それがけっして悪い結果に向かわなかったのは、聴いていただければすぐわかると思う。
ツイン・ドラムスというのは、サウンドが多彩になるというメリットがある半面、演奏にそれなりに制御や連携が必要になり、ドラマーひとりの場合ほど好き勝手な演奏はできないということにもつながる。
今回は、もうひとりのドラマー、スティーブ・ガッドが思うがままにプレイしており、これがライブならではの魅力となっている。
曲は、終始アップ・テンポで軽快に進む。まずは、コーネル・デュプリーのギターによるテーマ演奏から始まり、リチャード・ティーのピアノがそれに絡んでいき、その後のギター・ソロが終わってからが、ホントにスゴい。
ティーの異常なまでに速いソロに、まったくひけをとることなくピタッとついていくガッドのハイハット・プレイ。お見事のひとことである。
そして、ハイライトはガッドのドラム・ソロが約1分10秒。そのハイ・テンションなプレイには、舌を巻くしかない。
その後、エリック・ゲイルの粘っこいギター・ソロが引き継ぎ、ステージは最高潮に達し「スタッフのテーマ」へとなだれこむのだが、長いので前半でカット。それでも11分30分以上におよぶわけだが。
とにかく、各メンバーの実力が最大限に発揮された一曲。
スタッフといえば、ティーのフェンダー・ローズをフィーチャーした透明感のある曲調、あるいはファンキーでやや泥臭いミディアムの曲調のものが多いようには思うが、本気を出せば、どんなバンドにも負けないハイ・テンションなアップ・テンポで演れるんだということがわかる。
ジャズの洗練とR&Bの泥臭さの絶妙なブレンド、それがスタッフという名のカクテル。
その究極のグルーヴを、味わってみてくれ。
1970年代に活躍したフュージョン・バンド「スタッフ」の、日本でのライブ盤より。スティービー・ワンダー、シリータ・ライト、リー・ギャレット、ルーラ・メイ・ハーダウェイの作品。78年、東京郵便貯金ホールにて録音。
スタッフは76年にアルバム「Stuff」でレコード・デビューした6人組。ツイン・ギター、ツイン・ドラムスにベース、キーボードという編成だ。もともと、ニューヨークのライブハウスやスタジオで活動していたプロミュージシャンたちが集うセッション・バンドであり、メンバーは流動的だったが、70年代なかばにはほぼ結成メンバーに固まり、ジョー・コッカーのアルバム「Stingray」のバックや、モントルー・ジャズ・フェスティバルでのライブなどで注目されるようになる。
当時のフュージョン・バンドとしては、ホーン主体のクルセイダーズと好一対をなすかたちで、ギター中心のスタッフが、群を抜いて人気が高かったのを覚えている。
レコードデビューするや否や、FMラジオで連日パワー・プレイ。彼らの「My Sweetness」や「Foots」がかからぬ日はなかったと断言できる。
翌77年にはセカンド・アルバム「More Stuff」を発表、こちらも大ヒット。
その勢いに乗って、78年には初来日。きょうの一曲を含むライブ・アルバム「Live Stuff」を残すことになる。
さてそのスティービー・ワンダーの「Signed, Sealed, Delivered I'm Yours」、邦題「涙をとどけて」だが、実は6人全員の演奏によるものではない。ツイン・ドラムスのうちのひとり、クリス・パーカーはこのとき、急病のため参加できなかったのだ。
したがって、この演奏は正確には「スタッフ-1」によるわけだが、それがけっして悪い結果に向かわなかったのは、聴いていただければすぐわかると思う。
ツイン・ドラムスというのは、サウンドが多彩になるというメリットがある半面、演奏にそれなりに制御や連携が必要になり、ドラマーひとりの場合ほど好き勝手な演奏はできないということにもつながる。
今回は、もうひとりのドラマー、スティーブ・ガッドが思うがままにプレイしており、これがライブならではの魅力となっている。
曲は、終始アップ・テンポで軽快に進む。まずは、コーネル・デュプリーのギターによるテーマ演奏から始まり、リチャード・ティーのピアノがそれに絡んでいき、その後のギター・ソロが終わってからが、ホントにスゴい。
ティーの異常なまでに速いソロに、まったくひけをとることなくピタッとついていくガッドのハイハット・プレイ。お見事のひとことである。
そして、ハイライトはガッドのドラム・ソロが約1分10秒。そのハイ・テンションなプレイには、舌を巻くしかない。
その後、エリック・ゲイルの粘っこいギター・ソロが引き継ぎ、ステージは最高潮に達し「スタッフのテーマ」へとなだれこむのだが、長いので前半でカット。それでも11分30分以上におよぶわけだが。
とにかく、各メンバーの実力が最大限に発揮された一曲。
スタッフといえば、ティーのフェンダー・ローズをフィーチャーした透明感のある曲調、あるいはファンキーでやや泥臭いミディアムの曲調のものが多いようには思うが、本気を出せば、どんなバンドにも負けないハイ・テンションなアップ・テンポで演れるんだということがわかる。
ジャズの洗練とR&Bの泥臭さの絶妙なブレンド、それがスタッフという名のカクテル。
その究極のグルーヴを、味わってみてくれ。
音曲日誌「一日一曲」#1~#100 pdf版もダウンロード出来ます