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音曲日誌「一日一曲」#199 アール・フッカー「The Foxtrot」(Smooth Slidin'/CLP)

2023-10-17 05:21:00 | Weblog
2012年1月14日(土)

#199 アール・フッカー「The Foxtrot」(Smooth Slidin'/CLP)





ブルース・ギタリスト、アール・フッカーによるインスト・ナンバー。フッカー自身の作品。

アール・フッカーは29年、ミシシッピ州クラークスデール生まれ。デルタ・ブルースの故郷の地から、家族と共にシカゴに移住したのが、10代はじめの41年。以降、デルタ・ブルースとシカゴ・ブルースの両方を聴いて育ち、特にスライド・ギターの名手、ロバート・ナイトホークに強い影響を受ける。

自らもスライド・ギターを弾くようになり、50年代後半からプロとしての活動を開始。おもに他のアーティスト、たとえばジュニア・ウェルズ、マディ・ウォーターズといったブルースマンのバッキングで名を上げ、自らのリーダー・アルバムもリリースするようになる。

きょう聴いていただく「The Foxtrot」は、その題名通り、ダンススタイルの一種、フォックストロットをモチーフにした軽快なシャッフル・ナンバー。初出は彼の67年のデビュー・アルバム、「The Genius Of Earl Hooker」。

ここでフッカーは、いつものスライドではなく、指弾きによるスピーディな演奏を聴かせてくれる。リズム感といい、アタックといい、スライド・プレイにまさるとも劣らぬ見事な出来映えだ。

指弾きよし、スライドよし、さらにはダブル・ネック・ギターを弾きこなしたパイオニアでもあり、とにかく彼に死角、弱点はなかったといえよう。

テクニックとフィーリング、その両方を兼ね備えた最上級の奏者のことをヴァーチュオーゾと人は呼ぶが、アール・フッカーこそはまさにその呼称にふさわしいプレイヤーだった。B・B・キングでさえ、フッカーのスライド・プレイには憧れたという。

70年に41才の若さで亡くなってしまったのが、本当に惜しまれる。彼ならば、生きていればさらにスゴい演奏を残してくれたはずだ。

ほんの2分たらずのナンバーに込められた、並々ならぬ気迫を、とくと聴いとくれ。



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