NEST OF BLUESMANIA

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#256 ビッグ・ジョー・ターナー「Shake, Rattle and Roll」

2013-02-24 00:00:06 | Weblog
#256 ビッグ・ジョー・ターナー「Shake, Rattle and Roll」(The Very Best of Big Joe Turner/Rhino)

ビッグ・ジョー・ターナー、54年の大ヒット。チャールズ・キャルフーン(ジェシー・ストーン)の作品。

ビッグ・ジョー・ターナーを取り上げるのは三回目だが、やはりこの一曲ははずせまい。彼の最大のヒット曲であり、もっとも他のアーティストにカバーされた曲であり、ロック史上に残る名曲のひとつだからである。

この曲を発表した当時、ターナーは42歳。前年、自作の「Honey Hush」(以前、フォガットのカバー版を取り上げた、あの曲である)をスマッシュ・ヒットさせた彼が、その勢いに乗って出したのがこの「Shake, Rattle and Roll」。「Honey Hush」を大きく上回るヒットとなり、ビルボードのR&Bチャートで3週連続1位、総合チャートにも22位まで食い込んだ。

このヒットのおかげで、ターナーは40代にして、10代向けの芸能雑誌の表紙まで飾る人気スターとなったのだった。同年にはビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツがカバーして、オリジナル以上にヒット。56年にはエルヴィス・プレスリーも取り上げている。

ジャズ・シンガーとしては鳴かず飛ばず状態だったターナーの、シャウターとしてのセンスを見抜き、彼を遅咲きロックンローラーとして再生させようとした、アトランティックの敏腕プロデューサー、ジェリー・ウェクスラー、アーメット・アーティガンの仕掛けは見事に成功したのである。

そして、この「Shake, Rattle and Roll」は、ロックンロール・スタンダードの地位を不動のものとした。

ところで、「Shake, Rattle and Roll」にせよ、「Honey Hush」にせよ、ロックンロール・ソングの魅力というものは、そのビートと同じくらい、歌詞に負うところが大きい。建前重視のオトナたちへのアンチテーゼとして、若者たちの普段着の言葉によって紡ぎ出されるホンネ。これなのである。

「Shake, Rattle and Roll」も結構きわどい性的な比喩が盛り込まれたナンバーだ。これをいちいち対訳で説明するのは野暮の骨頂なので、興味のある人はこのサイトで歌詞を確認してみてほしい。妙な直訳がついてるのは、まあご愛嬌ということで(笑)。

とにかく、ターナーの抜群のリズム感、言葉の歯切れのよさが、この曲の魅力を最大限に引き出している。

いってみれば、ターナーはロックンロールのシャウト唱法を確立したシンガーだ。ジャズから得たアドリブのセンスを生かして、ロックンロールという音楽にビビッドな魅力を与えたのである。

加えて、バック・サウンドもご機嫌だ。ころがるようなピアノのフレーズ、厚みのあるホーン・サウンド、そして賑やかしのコーラス。まさに気分がハイになる曲だ。中盤のサム・テイラー(ムード・ミュージックで日本でも有名なあの人ね)によるテナー・サックス・ソロもイカしている。

どう聴いても、ヒットしないわけがない、完成度の高い一曲。後続のアーティストへは、売り上げ枚数以上に大きな影響を与えている。いま一度、この完全無欠の名曲をチェックしてみて欲しい。

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