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音曲日誌「一日一曲」#128 ジャズ・ジラム「Key To the Highway」(Jazz Gillum: The Essential/Classic Blues)

2023-08-07 05:00:00 | Weblog
2010年7月4日(日)

#128 ジャズ・ジラム「Key To the Highway」(Jazz Gillum: The Essential/Classic Blues)





シンガー/ハーピスト、ジャズ・ジラムの代表的ヒット。40年録音。ビッグ・ビル・ブルーンジー、チャールズ・シーガーの作品。

ジャズ・ジラムことウィリアム・マッキンリー・ジラム(正しい発音はギラム)は1904年、ミシシッピ州インディアノーラ生まれ。かのB・B・キングと同郷である。

ジラムもBBと同じように故郷を出て23年にシカゴに移住、シカゴでボス的存在だったブルーンジーのもとで本格的な音楽活動を始める。34年から49年にかけて、ブルーバードやビクターにて100曲以上を録音している。

さて、きょうの一曲はエリック・クラプトンがカバーしたことで20世紀の名曲として広く知られることになったが、もともとこのジラム版が最初に世に出たのである。

完全なブルーンジーのオリジナルではなく、ピアニスト、チャールズ・シーガーのブルース(12小節)をもとに、ブルーンジーが8小節ブルースに改作している。

ブルーンジーのパーカッシヴなギターをバックに歌われるジラム版「キー・トゥ・ザ・ハイウェイ」は、実にいい意味で「いなたい」。その素朴な歌声はもとより、高音域を生かしたハーモニカ・プレイが絶品だ。

ブルース・ハーピストの多くは、「セカンド(あるいはクロス)・ポジション」といって、曲のキーより4度上のキーのハープを使うことが多い。音の配列の関係で、このほうがブルーノートが出しやすいからだ。たとえば、Gの曲を吹くときはCのハーモニカを使うといったふうに。

ジラムの場合、これをせずにキー通りのハープ(これをファースト・ポジションという)で吹いている。これがなんともひなびた味わいを出しているんである。

シカゴに移住してジャズ・ジラムなどというスタイリッシュな芸名を名乗っているわりには、田舎くささ丸出し。でも、そこがいい。

田舎に住む貧しい労働者の、大都会への憧れを歌ったこの曲には、ジラムのような素朴な味をもったミュージシャンがもっともふさわしい。そう思う。

都会(まち)にいてふるさとの心を忘れず。これぞカントリー・ブルースマンの鑑なり。ぜひ一聴を。

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