#252 ジューダス・プリースト「Johnny B.Goode」(Ram It Down/Epic)
「概念的に言って、ロックンロールより優れたものはない」「ロックンロールに別の名前を与えるとすれば、それは"チャック・ベリー"だ」ジョン・レノン
ジューダス・プリースト、88年リリース、11枚目のアルバムより。チャック・ベリーの作品。
ジューダス・プリーストといえば、ヘビーメタルのパイオニア的存在。おおよそオールド・スタイルなロックンロールとは対極のところにある、と思われていた彼らが、映画会社から映画の挿入曲としてこの「ジョニー・B・グッド」のレコーディングを依頼されたのが、異色の楽曲が収録されたきっかけである。
86年の前作「Turbo」ではギター・シンセサイザーを導入、やや進歩的なサウンドに移行したことが、ファンからはあまり支持されなかったこともあって、本作ではよりシンプルでストレートなヘビーメタルに軌道修正をしている。ロックファンなら誰もが知っているチャック・ベリーの名曲を取り上げたのも、ともすればマニア向けバンドと思われやすい彼らなりの、一般リスナーへのアピールでもあったのだろう。
とはいえ、そこまでコマーシャルなことをするからには、彼らにとってチャック・ベリーのロックンロールが、重要かつ魅力あるものでなくては、このカバーはありえなかったろう。
60年代にロックバンドを始めた白人の若者たちにとって、チャック・ベリーは間違いなく、「父親」であった。
雛鳥が初めて目に入ったものを自分の親と思うように、チャック・ベリー(あるいはボ・ディドリーなどでもいいのだが)を聴いて夢中になった少年たちは、ベリーのことを音楽的な意味での「父親」だと思ったのである。
ベリー、ディドリーが親父なら、プレスリー、バディ・ホリーはカッコいい兄貴、そして彼らに絶大なる影響を受けたビートルズ、ストーンズは学校の先輩か同級生ってところか。
そうやって、少年たちは先人たちの音楽を真似しつつ、次第に彼らなりのオリジナリティを生み出していった。
ゴリゴリのヘビーメタルバンド、ジューダス・プリーストも例外ではなく、さまざまなスタイルのロックを聴き込んだうえで、彼ら自身のスタイルを確立させていったのだ。
基本はロックンロール・ビート。しかし、サウンドは常に最新のものをとりいれていく、これがロックの「進化」なのである。
ジューダスのきょうの一曲も、けっしてチャック・ベリーのオリジナルの再現を目指したものでなく、かなり大胆なアレンジを加えており、一聴して原曲とはだいぶん雰囲気が異なるが、でもこれもまた80年代版ロックンロール。
トリビュートとかカバーとかいうと、原曲に忠実に(下手するとアドリブまで再現とか)演るのが唯一のやりかただと思っている手合いが(プロにさえ)多いのだが、それではあまりに主体性のない「猿真似」ってもんだろう。
カバーするからには、オリジナルとは違うアイデア、アレンジがあってこそ、プロの仕事だと思いますぜ。
その意味でこの「ジョニー・B・グッド」は、しっかりとジューダス・プリースト流に料理、消化されていて、お見事のひとことだ。
そのビートの安定感は、超一級品。そしてロブ・ハルフォードの超高音ボーカルが、まるでこの曲が彼自身のオリジナルであるかと錯覚させるほど、ハマっている。
職人芸の域まで達したカバー・バージョン、大いに楽しんで味わってほしい。
「概念的に言って、ロックンロールより優れたものはない」「ロックンロールに別の名前を与えるとすれば、それは"チャック・ベリー"だ」ジョン・レノン
ジューダス・プリースト、88年リリース、11枚目のアルバムより。チャック・ベリーの作品。
ジューダス・プリーストといえば、ヘビーメタルのパイオニア的存在。おおよそオールド・スタイルなロックンロールとは対極のところにある、と思われていた彼らが、映画会社から映画の挿入曲としてこの「ジョニー・B・グッド」のレコーディングを依頼されたのが、異色の楽曲が収録されたきっかけである。
86年の前作「Turbo」ではギター・シンセサイザーを導入、やや進歩的なサウンドに移行したことが、ファンからはあまり支持されなかったこともあって、本作ではよりシンプルでストレートなヘビーメタルに軌道修正をしている。ロックファンなら誰もが知っているチャック・ベリーの名曲を取り上げたのも、ともすればマニア向けバンドと思われやすい彼らなりの、一般リスナーへのアピールでもあったのだろう。
とはいえ、そこまでコマーシャルなことをするからには、彼らにとってチャック・ベリーのロックンロールが、重要かつ魅力あるものでなくては、このカバーはありえなかったろう。
60年代にロックバンドを始めた白人の若者たちにとって、チャック・ベリーは間違いなく、「父親」であった。
雛鳥が初めて目に入ったものを自分の親と思うように、チャック・ベリー(あるいはボ・ディドリーなどでもいいのだが)を聴いて夢中になった少年たちは、ベリーのことを音楽的な意味での「父親」だと思ったのである。
ベリー、ディドリーが親父なら、プレスリー、バディ・ホリーはカッコいい兄貴、そして彼らに絶大なる影響を受けたビートルズ、ストーンズは学校の先輩か同級生ってところか。
そうやって、少年たちは先人たちの音楽を真似しつつ、次第に彼らなりのオリジナリティを生み出していった。
ゴリゴリのヘビーメタルバンド、ジューダス・プリーストも例外ではなく、さまざまなスタイルのロックを聴き込んだうえで、彼ら自身のスタイルを確立させていったのだ。
基本はロックンロール・ビート。しかし、サウンドは常に最新のものをとりいれていく、これがロックの「進化」なのである。
ジューダスのきょうの一曲も、けっしてチャック・ベリーのオリジナルの再現を目指したものでなく、かなり大胆なアレンジを加えており、一聴して原曲とはだいぶん雰囲気が異なるが、でもこれもまた80年代版ロックンロール。
トリビュートとかカバーとかいうと、原曲に忠実に(下手するとアドリブまで再現とか)演るのが唯一のやりかただと思っている手合いが(プロにさえ)多いのだが、それではあまりに主体性のない「猿真似」ってもんだろう。
カバーするからには、オリジナルとは違うアイデア、アレンジがあってこそ、プロの仕事だと思いますぜ。
その意味でこの「ジョニー・B・グッド」は、しっかりとジューダス・プリースト流に料理、消化されていて、お見事のひとことだ。
そのビートの安定感は、超一級品。そしてロブ・ハルフォードの超高音ボーカルが、まるでこの曲が彼自身のオリジナルであるかと錯覚させるほど、ハマっている。
職人芸の域まで達したカバー・バージョン、大いに楽しんで味わってほしい。
音曲日誌「一日一曲」#1~#100 pdf版もダウンロード出来ます