2008年3月2日(日)
#25 ホームシック・ジェイムズ「The Cloud Is Crying(alt.)」(Windy City Blues/Stax)

ホームシック・ジェイムズが1960年代、プレスティジ・レーベルに残した名盤といえば「Blues on the South Side」(64)だが、当時のレコーディングの別テイクが、なんと2004年になって発表された。
アルバート・キング、オーティス・スパン、ウィリー・ディクスン、ビリー・ボーイ・アーノルド、サニーランド・スリムとともに名を連ねるコンピアルバム、「Windy City Blues」がそれである。
そこに収められているジェイムズの未発表音源は3曲。「Gotta Move」「Homesick's Shuffle」、そしてこの「The Cloud Is Crying」である。
「The Cloud Is Crying」の曲名はもちろん、彼の従兄弟であるエルモア・ジェイムズのナンバー「The Sky Is Crying」をもじったもの。
本曲で聴かれるのは、ロバート・ジョンスンに強く影響を受けたに違いない、特徴的なひきずるようなビート。耳を直撃する、重心の低いスライド・ギター・リフ。そしてがなるような、あるいは泣き叫ぶようなボーカル。まさにホームシック・ジェイムズ節全開なのだ。
洗練さの感じられるエルモアのサウンドとはひと味違い、あくまでも泥臭くダウンホームな味わい。ファンキー極まりない。
彼をサポートするラファイエット・リークのピアノ、リー・ジャクスンのベース、クリフトン・ジェイムズのドラムス。いずれも見事なバッキングぶりである。特にベースが強力なグルーヴを生み出すことに成功している。
アーシー、でも一面、非常にモダンなサウンドでもある。
ワン・アンド・オンリーな、ホームシック・ワールドを味わってくれ。