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音盤日誌「一日一枚」#158 エリック・クラプトン「ERIC CLAPTON」(ポリドール/RSO P33W 25020)

2022-04-21 05:07:00 | Weblog

2003年5月17日(土)



#158 エリック・クラプトン「ERIC CLAPTON」(ポリドール/RSO P33W 25020)

エリック・クラプトン、記念すべき初ソロ・アルバム。70年リリース。

スーパー・グループ、ブラインド・フェイスが短期間で事実上解散となり、クラプトンは新たな活動へと踏み出す。

ブラインド・フェイスとともに全米ツアーを行ったディレイニー&ボニーと意気投合、彼らを加えてソロ・アルバムのレコーディングに入ったのだ。

メンバーは他に、レオン・ラッセル、のちにデレク&ドミノスのメンバーとなるボビー・ウィットロック、カール・レイドル、ジム・ゴードン、ホーンのジム・プライス、ボブ・キーズ、CSN&Yのスティーヴン・スティルスなど、実力派が勢ぞろい。

ギターも従来のギブソンからフェンダー(ストラト)に持ち変えている。クリーム的なハード・ロックから大転換し、アメリカン・ミュージック指向を前面に出しており、現在のクラプトン・サウンドの原点ともいえる一枚だ。

<筆者の私的ベスト4>

4位「BAD BOY」

ここはやはり、いかにブルース・スピリットが感じられるかで、選んでみよう。

まずは、ディレイニー・ブラムレットとクラプトンの共作ナンバーから。

ホーン・アレンジを導入したそのサウンドは、まさにR&B。ブラムレットの嗜好が色濃く出た一曲に仕上がっている。

クラプトンも、ブラインド・フェイスではヴォーカルをウィンウッドに大半持っていかれてしまったか、そのうっぷんを晴らすかのように、思い切りシャウトしている。

3位「LONESOME AND A LONG WAY FROM HOME」

ディレイニーとラッセルの共作。こちらも重厚なホーン・アレンジが、サウンドの重要な決め手となっている。

もともとは彼らがアトコ所属のサックス奏者、キング・カーティスのために書き、彼のヴォーカルでレコーディングしたという曲。(残念ながらカーティス版はレコード化されていないようだ。)

クラプトンをこの難しい曲を見事に歌いこなし、さらにワウ・エフェクトをかけたギター・ソロもバッチリと決めてくれる。

ここにはもはや、クリームの頃の、シャイなギター青年の面影は見られない。野太く、たくましいシンガーへと、成長したのだ。

2位「DON'T KNOW WHY」

これもまた、ディレイニーとクラプトンの共作。

知名度は低いが、なかなかの名曲。なんとも濃ゆーいR&Bチューン。ホーンのいなたい響きもナイスです。

テクニックはいまいちなれど、いかにも「真情」が伝わってくるのが、クラプトンのヴォーカル。

やはり、聴き手を感動させる決め手は「ハート」なんだなと、感じます。

カッコつけじゃない、ホンマモンの歌。これぞ「ソウル・ミュージック」でありましょう。

1位「AFTER MIDNIGHT」

白人シンガー、J・J・ケイルの作品。ケイル自身の、ボソボソッとしたシブめのヴォーカル・スタイルとは好対照に、クラプトンはいかにも威勢がいい、ベランメエ調の歌いぶりだ。バックのノリも最高。

ここでの彼のギター・ソロはかなり控え目だが、ヴォーカルだけでも十分に「聴かせられる」ようになったのが、よくわかる。

曲のスタイルはいわゆるブルースとは違うのだが、その精神は十分にブルースな一曲だと思う。

もちろん、他にもすぐれた曲が多い。惜しくも選には漏れたが、アコースティック・アレンジの「EASY NOW」、クラプトンとラッセルの共作「BLUES POWER」、シングル・ヒットしたディレイニーとの共作「LET IT RAIN」など、いずれも上の4曲に劣らぬ佳曲だと思う。

つまり、非常に「粒の揃った」一枚。今聴いても、聴きごたえは十分。多分あなたのライブラリーにも眠っているだろうが、ぜひ引っぱり出して聴いてみてほしい。

<独断評価>★★★★☆


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