#264 トニー・ベネット&レディー・ガガ「The Lady Is A Tramp」(Duets II/Sony Music Entertainment)
今週も、デュエットもので行く。先日朋友・りっきーさんからお借りしたCDを聴いているのだが、これが最高にごきげんな一枚なのである。
大御所トニー・ベネットがベテラン・若手、男女、ジャンルを問わずさまざまなシンガーと、スタンダードナンバーをデュエットするシリーズの第二弾。最初の「Duets」は2006年にリリース。デュエットのお相手はボノ、マイケル・ブーブレ、エルヴィス・コステロ、ディクシー・チックス、ファネス、ビリー・ジョエル、ダイアナ・クラール、k.d.ラング、ジョン・レジェンド、ポール・マッカートニー、ジョージ・マイケル、スティング、バーブラ・ストライザンド、ジェイムス・テイラー、そしてスティーヴィー・ワンダーだった。
この超豪華なゲスト陣は、まさにベネットでなくては到底集められなかった顔ぶれだ。アルバムは当然ながら大ヒット。5年後にこの「Duets II」が制作される運びとなった。
こちらのゲストの顔ぶれも、前作に劣らずスゴい。たとえば、マライア・キャリー、ナタリー・コール、シェリル・クロウ、フェイス・ヒル、ノラ・ジョーンズ、エイミー・ワインハウス、ジョン・メイヤーなどなど。女王・アレサ・フランクリンとの一曲などは、ホント、鳥肌モノの出来なのだ。
で、当アルバムの目玉中の目玉が、トップに収められている、今をときめくレディー・ガガとのデュエットだ。
曲はミュージカル時代の黄金のコンビ、リチャード・ロジャーズとロレンツ・ハートの作品。
37年にブロードウェイ・ミュージカル「青春一座(Babe in Arms)」の挿入曲として書かれたこの曲、2年後にはミッキー・ルーニー、ジュディ・ガーランドの主演により同ミュージカルが映画化されて、さらなる人気を獲得し、カバー・バージョンも多数生まれた。
一番ポピュラーなのはフランク・シナトラによる57年の録音だろうが、その他ジャズ系シンガーによるカバーが多く、アニタ・オデイ、バディ・グレコ、エラ・フィッツジェラルド、そしてこのトニー・ベネットも92年に録音している。
自分的に一番気に入っているのは、バディ・グレコによるライブ・バージョンで、高校生の頃から40年近く愛聴している。グレコのピアノ弾き語りが、実に粋でカッコいいんだな。
この曲は邦題として「気まぐれレディ」あるいは「レディは気まぐれ」などと訳されているが、それでわかるように、自由気ままに生きる都会の女性(たとえるならば「ティファニーで朝食を」のホリー・ゴライトリーのような)を描いた一編なのだ。
そのイメージからおそらく、当代一のフラッパー、レディー・ガガに白羽の矢が立てられたのだろうが、ガガはわれわれの予想を上回る、みごとな歌唱を披露してくれた。
一般的にレディー・ガガに関しては、その奇抜なメイクや衣装やダンス、PVの演出内容といった「けれん」の部分にスポットライトが当たることはあっても、その歌唱力について言及されることは滅多にないのだが、この「The Lady Is A Tramp」を聴くに、彼女が一歌手としても、非常にしっかりとした実力を持っていることがよくわかると思う。幅広い声域、殊に高音部での伸びと張りのある歌声、これはバーブラ・ストライザンドや、ベット・ミドラーにさえひけを取っていない。
彼女を、ただの色キ●ガイな姐ちゃんだと思っていたひと、これを聴いてよく反省しなさい(笑)。
レディー・ガガは、その出自境遇、売り出し方、肉体派路線などから、マドンナと比べられることが多いと思うが、こと歌唱力に関しては、まちがいなくガガの方が上だろう。
つまりこれまでのキワモノじみたスタイルから足を洗って、ノー・ギミックな路線に変更したとしても、十分鑑賞に足りる音楽的才能を持っているのは、ガガ様の方だと思う。
このデュエット音源を、女性歌手の名をふせて聴かせたら、レディー・ガガだと一発で見破れる人は、おそらくそういない、そう思うのだ。
ベネットという老紳士に、奔放なキャラクターで絡む気まぐれレディ、ガガ。当時ベネットは85才だったが、ガガに負けることなく、声が実に若々しいのだ。
ビッグバンドジャズをバックに繰り広げられる、とびきり粋で刺激的な、究極のデュエットをご賞味あれ。
今週も、デュエットもので行く。先日朋友・りっきーさんからお借りしたCDを聴いているのだが、これが最高にごきげんな一枚なのである。
大御所トニー・ベネットがベテラン・若手、男女、ジャンルを問わずさまざまなシンガーと、スタンダードナンバーをデュエットするシリーズの第二弾。最初の「Duets」は2006年にリリース。デュエットのお相手はボノ、マイケル・ブーブレ、エルヴィス・コステロ、ディクシー・チックス、ファネス、ビリー・ジョエル、ダイアナ・クラール、k.d.ラング、ジョン・レジェンド、ポール・マッカートニー、ジョージ・マイケル、スティング、バーブラ・ストライザンド、ジェイムス・テイラー、そしてスティーヴィー・ワンダーだった。
この超豪華なゲスト陣は、まさにベネットでなくては到底集められなかった顔ぶれだ。アルバムは当然ながら大ヒット。5年後にこの「Duets II」が制作される運びとなった。
こちらのゲストの顔ぶれも、前作に劣らずスゴい。たとえば、マライア・キャリー、ナタリー・コール、シェリル・クロウ、フェイス・ヒル、ノラ・ジョーンズ、エイミー・ワインハウス、ジョン・メイヤーなどなど。女王・アレサ・フランクリンとの一曲などは、ホント、鳥肌モノの出来なのだ。
で、当アルバムの目玉中の目玉が、トップに収められている、今をときめくレディー・ガガとのデュエットだ。
曲はミュージカル時代の黄金のコンビ、リチャード・ロジャーズとロレンツ・ハートの作品。
37年にブロードウェイ・ミュージカル「青春一座(Babe in Arms)」の挿入曲として書かれたこの曲、2年後にはミッキー・ルーニー、ジュディ・ガーランドの主演により同ミュージカルが映画化されて、さらなる人気を獲得し、カバー・バージョンも多数生まれた。
一番ポピュラーなのはフランク・シナトラによる57年の録音だろうが、その他ジャズ系シンガーによるカバーが多く、アニタ・オデイ、バディ・グレコ、エラ・フィッツジェラルド、そしてこのトニー・ベネットも92年に録音している。
自分的に一番気に入っているのは、バディ・グレコによるライブ・バージョンで、高校生の頃から40年近く愛聴している。グレコのピアノ弾き語りが、実に粋でカッコいいんだな。
この曲は邦題として「気まぐれレディ」あるいは「レディは気まぐれ」などと訳されているが、それでわかるように、自由気ままに生きる都会の女性(たとえるならば「ティファニーで朝食を」のホリー・ゴライトリーのような)を描いた一編なのだ。
そのイメージからおそらく、当代一のフラッパー、レディー・ガガに白羽の矢が立てられたのだろうが、ガガはわれわれの予想を上回る、みごとな歌唱を披露してくれた。
一般的にレディー・ガガに関しては、その奇抜なメイクや衣装やダンス、PVの演出内容といった「けれん」の部分にスポットライトが当たることはあっても、その歌唱力について言及されることは滅多にないのだが、この「The Lady Is A Tramp」を聴くに、彼女が一歌手としても、非常にしっかりとした実力を持っていることがよくわかると思う。幅広い声域、殊に高音部での伸びと張りのある歌声、これはバーブラ・ストライザンドや、ベット・ミドラーにさえひけを取っていない。
彼女を、ただの色キ●ガイな姐ちゃんだと思っていたひと、これを聴いてよく反省しなさい(笑)。
レディー・ガガは、その出自境遇、売り出し方、肉体派路線などから、マドンナと比べられることが多いと思うが、こと歌唱力に関しては、まちがいなくガガの方が上だろう。
つまりこれまでのキワモノじみたスタイルから足を洗って、ノー・ギミックな路線に変更したとしても、十分鑑賞に足りる音楽的才能を持っているのは、ガガ様の方だと思う。
このデュエット音源を、女性歌手の名をふせて聴かせたら、レディー・ガガだと一発で見破れる人は、おそらくそういない、そう思うのだ。
ベネットという老紳士に、奔放なキャラクターで絡む気まぐれレディ、ガガ。当時ベネットは85才だったが、ガガに負けることなく、声が実に若々しいのだ。
ビッグバンドジャズをバックに繰り広げられる、とびきり粋で刺激的な、究極のデュエットをご賞味あれ。
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