#308 ワンダ・ジャクスン「Riot in Cell Block number 9」(The Ultimate Collection/EMI)
アメリカの白人女性シンガー、ワンダ・ジャクスンによるロビンズのカバー。ジェリー・リーバー=マイク・ストーラーの作品。
ワンダ・ジャクスンは37年、オクラホマ州モードの生まれ。54年、17才にしてキャピトルよりデビュー、以来現在に至るまで活動を続けている、数々のヒットと「ロカビリーの女王」の異名を持つ、女性ロッカーのパイオニアである。2009年にはロックの殿堂入りを果たしている。
彼女は長身でスリムな正統派美人であるにもかかわらず、歌声と外見とのギャップが甚だしい。いってみれば、変声期の少年、あるいは山猫、あるいはテープの回転数を上げたかのような、奇妙な声なんである。筆者の意見では、歴代女性シンガーたちの中でも、ぶっちぎりで「ヘンな声シンガー」のトップだと思う(二番はケイト・ブッシュかな)。
でもそのユニークでワイルドな歌声こそが、ジャクスンの魅力そのものともいえる。一度聴いたら、絶対忘れられないのだ。
きょうの一曲は、50年代後半の録音。もともとは54年に、黒人ドゥワップグループ、ロビンズがヒットさせたナンバーで、ジャクスン以外にも、ジョニー・ウィンター、ジョニー・キャッシュ、ドクター・フィールグッド、ブルース・ブラザーズなどがカバーしている。筆者の世代だと、ブルブラのバージョンで初めて聴いたひとが多いんじゃないかな。
曲調は、ウィリー・メイボンの「I Don't Know」あるいはマディ・ウォーターズの「Hoochie Coochie Man」のような構成のR&B。名コンビ、リーバー&ストーラーの歌作りのセンスが溢れた、佳曲である。
これをジャクスンは、パンチのある歌声で見事にカバー。その卓越したリズム感は、白人女性とは思えないくらいだ。
彼女は60年代前半まではこういったロカビリー路線であまたのヒット曲を生み出したが、ブームが落ち着いた60年代後半以降は、カントリー、ゴスペルなど広範囲のジャンルをカバーし、ヒットは地味めながらも、後続世代の女性シンガーに影響を与えた。たとえば、シンディ・ローパーは、ジャクスンのおきゃんなキャラクターを引き継いだ代表例といえるだろうし、オリヴィアやタニヤ・タッカーなど、さまざまなシンガーが、彼女の影響下にあると思う。いわば、ロックな白人女性シンガーの原点。
40代となった80年代には、ロカビリー路線も復活。往年とはだいぶん体型は違ってしまったが、思い切りのいいボーカルスタイルはそのままに、世界中で歌い続けている。2006年には、かつて共演したこともあるエルヴィス・プレスリーに捧げるアルバムも発表した。
ワイルドだけど、あばずれっぽくはなく、かといって上品におすましでもなく、ちょっと小悪魔風。絶妙なバランスを保ったジャクスンの歌世界。日本にはこういうタイプの女性シンガーは・・・ちょっといないかな。
しいてあげれば、亡くなった本田美奈子が、あてはまるかもしれない。
それはともかく、黒人女性とは違ったスタイルで、聴きごたえのあるロックを歌えた数少ない白人女性シンガーのひとりが、このワンダ・ジャクスンだと思う。
リーバー&ストーラーの詞・曲もメチャ格好いいし、文句なしのロック・スタンダードであります。
アメリカの白人女性シンガー、ワンダ・ジャクスンによるロビンズのカバー。ジェリー・リーバー=マイク・ストーラーの作品。
ワンダ・ジャクスンは37年、オクラホマ州モードの生まれ。54年、17才にしてキャピトルよりデビュー、以来現在に至るまで活動を続けている、数々のヒットと「ロカビリーの女王」の異名を持つ、女性ロッカーのパイオニアである。2009年にはロックの殿堂入りを果たしている。
彼女は長身でスリムな正統派美人であるにもかかわらず、歌声と外見とのギャップが甚だしい。いってみれば、変声期の少年、あるいは山猫、あるいはテープの回転数を上げたかのような、奇妙な声なんである。筆者の意見では、歴代女性シンガーたちの中でも、ぶっちぎりで「ヘンな声シンガー」のトップだと思う(二番はケイト・ブッシュかな)。
でもそのユニークでワイルドな歌声こそが、ジャクスンの魅力そのものともいえる。一度聴いたら、絶対忘れられないのだ。
きょうの一曲は、50年代後半の録音。もともとは54年に、黒人ドゥワップグループ、ロビンズがヒットさせたナンバーで、ジャクスン以外にも、ジョニー・ウィンター、ジョニー・キャッシュ、ドクター・フィールグッド、ブルース・ブラザーズなどがカバーしている。筆者の世代だと、ブルブラのバージョンで初めて聴いたひとが多いんじゃないかな。
曲調は、ウィリー・メイボンの「I Don't Know」あるいはマディ・ウォーターズの「Hoochie Coochie Man」のような構成のR&B。名コンビ、リーバー&ストーラーの歌作りのセンスが溢れた、佳曲である。
これをジャクスンは、パンチのある歌声で見事にカバー。その卓越したリズム感は、白人女性とは思えないくらいだ。
彼女は60年代前半まではこういったロカビリー路線であまたのヒット曲を生み出したが、ブームが落ち着いた60年代後半以降は、カントリー、ゴスペルなど広範囲のジャンルをカバーし、ヒットは地味めながらも、後続世代の女性シンガーに影響を与えた。たとえば、シンディ・ローパーは、ジャクスンのおきゃんなキャラクターを引き継いだ代表例といえるだろうし、オリヴィアやタニヤ・タッカーなど、さまざまなシンガーが、彼女の影響下にあると思う。いわば、ロックな白人女性シンガーの原点。
40代となった80年代には、ロカビリー路線も復活。往年とはだいぶん体型は違ってしまったが、思い切りのいいボーカルスタイルはそのままに、世界中で歌い続けている。2006年には、かつて共演したこともあるエルヴィス・プレスリーに捧げるアルバムも発表した。
ワイルドだけど、あばずれっぽくはなく、かといって上品におすましでもなく、ちょっと小悪魔風。絶妙なバランスを保ったジャクスンの歌世界。日本にはこういうタイプの女性シンガーは・・・ちょっといないかな。
しいてあげれば、亡くなった本田美奈子が、あてはまるかもしれない。
それはともかく、黒人女性とは違ったスタイルで、聴きごたえのあるロックを歌えた数少ない白人女性シンガーのひとりが、このワンダ・ジャクスンだと思う。
リーバー&ストーラーの詞・曲もメチャ格好いいし、文句なしのロック・スタンダードであります。
音曲日誌「一日一曲」#1~#100 pdf版もダウンロード出来ます