#287 ザ・パワー・ステーション「Let's Get It On」(Living In Fear/Chrysalis)
ザ・パワー・ステーション、96年リリースのセカンド・アルバムより。マーヴィン・ゲイ、エド・タウンシェンドの作品。
パワー・ステーションは、デュラン・デュランのアンディ・テイラー(g)、ジョン・テイラー(b)がソロ・シンガーのロバート・パーマー、シックのトニー・トンプスン(ds)を誘って結成した、いわゆるスーパーグループだ。
活動時期は二期に分かれ、一期は84年から85年。二期は95年から96年。活動期間はきわめて短かかったが、めざましい活躍ぶりを見せている。
一期ではシングル「Some Like It Hot」「Get It On」がともに全米トップテンに食い込むヒット、アルバム「The Power Station」も全米6位に。この余勢でツアーも行うことになったが、パーマーはアルバム制作のみの参加と考えていたため、降りてしまう。代わりに元シルバーヘッドのマイケル・デ・バレスがツアーのみ参加することになった。
約10年を経過した二期は。セカンド・アルバム「Living In Fear」、シングル「She Can Rock It」をリリース。一期に比べるとセールス的にはかなりジミだったが、音楽的にさらに充実して、健在ぶりを示している。もともと、アルバム一枚こっきりという性格のプロジェクトだったから、予想外の再結成はファンを大いに喜ばせたものだ。
二期はベースのアンディが抜け、一期でのプロデューサーをつとめたシックのバーナード・エドワーズがベーシストをつとめている。アルバム制作にはファーストよりも時間をかけ、スタジオ・セッションというより、事前にじっくりアレンジを考えてから録音されたという。ファーストより音楽的に充実しているというのも、そのへんに理由がありそうだ。
そのアルバムの中でも、異色のチューンがこの「Let's Get It On」だ。
オリジナルのマーヴィン・ゲイ版シングルは73年6月リリースされ、ポップ、R&Bチャートで1位になった、スーパー・ヒット。
タイトルや歌詞の「get it on」という表現は、いいかえれば「make love」といったところ。要するに愛の行為ですな(笑)。
基本、男と女の愛や性について歌った曲だと理解して間違いはないと思うのだけれど、それはそこ、社会派ソウル・シンガーと呼ばれるマーヴィン・ゲイだから、ベトナム戦争の時代に、ラブソングのかたちを借りて世界平和を訴えているのかもしれない。
それはさておきこの曲、一期の「Get It On」みたいなストレートなロック・サウンド、あるいはヘビーなギター・サウンドこそがパワー・ステーションだと思っていたリスナーにとっては意外に感じられそうな、もろ横ノリのユル~いサウンドであるね。でも、それが結構イケるんである。
パーマーのリードボーカルだけでなく、バックのコーラス・サウンドも充実しており、パワステの音楽的な懐の広さを感じさせる。リズム隊の演奏も、文句のつけようのないくらい、ごきげんだ。
残念ながらこのアルバムの録音後、メンバーでありプロデューサーでもあったエドワーズが急逝している。その後、2003年にはパーマー、トンプスンも亡くなり、パワー・ステーションの再始動は事実上、不可能になってしまった。まことに残念である。
白人と黒人の音楽、その最も「粋(すい)」の部分を融合させた究極のプロジェクト、ザ・パワー・ステーション。すぐれたシンガー、すぐれたミュージシャン、すぐれたプロデューサーと三拍子揃って、まったく死角はない。迷わず聴くべし。
ザ・パワー・ステーション、96年リリースのセカンド・アルバムより。マーヴィン・ゲイ、エド・タウンシェンドの作品。
パワー・ステーションは、デュラン・デュランのアンディ・テイラー(g)、ジョン・テイラー(b)がソロ・シンガーのロバート・パーマー、シックのトニー・トンプスン(ds)を誘って結成した、いわゆるスーパーグループだ。
活動時期は二期に分かれ、一期は84年から85年。二期は95年から96年。活動期間はきわめて短かかったが、めざましい活躍ぶりを見せている。
一期ではシングル「Some Like It Hot」「Get It On」がともに全米トップテンに食い込むヒット、アルバム「The Power Station」も全米6位に。この余勢でツアーも行うことになったが、パーマーはアルバム制作のみの参加と考えていたため、降りてしまう。代わりに元シルバーヘッドのマイケル・デ・バレスがツアーのみ参加することになった。
約10年を経過した二期は。セカンド・アルバム「Living In Fear」、シングル「She Can Rock It」をリリース。一期に比べるとセールス的にはかなりジミだったが、音楽的にさらに充実して、健在ぶりを示している。もともと、アルバム一枚こっきりという性格のプロジェクトだったから、予想外の再結成はファンを大いに喜ばせたものだ。
二期はベースのアンディが抜け、一期でのプロデューサーをつとめたシックのバーナード・エドワーズがベーシストをつとめている。アルバム制作にはファーストよりも時間をかけ、スタジオ・セッションというより、事前にじっくりアレンジを考えてから録音されたという。ファーストより音楽的に充実しているというのも、そのへんに理由がありそうだ。
そのアルバムの中でも、異色のチューンがこの「Let's Get It On」だ。
オリジナルのマーヴィン・ゲイ版シングルは73年6月リリースされ、ポップ、R&Bチャートで1位になった、スーパー・ヒット。
タイトルや歌詞の「get it on」という表現は、いいかえれば「make love」といったところ。要するに愛の行為ですな(笑)。
基本、男と女の愛や性について歌った曲だと理解して間違いはないと思うのだけれど、それはそこ、社会派ソウル・シンガーと呼ばれるマーヴィン・ゲイだから、ベトナム戦争の時代に、ラブソングのかたちを借りて世界平和を訴えているのかもしれない。
それはさておきこの曲、一期の「Get It On」みたいなストレートなロック・サウンド、あるいはヘビーなギター・サウンドこそがパワー・ステーションだと思っていたリスナーにとっては意外に感じられそうな、もろ横ノリのユル~いサウンドであるね。でも、それが結構イケるんである。
パーマーのリードボーカルだけでなく、バックのコーラス・サウンドも充実しており、パワステの音楽的な懐の広さを感じさせる。リズム隊の演奏も、文句のつけようのないくらい、ごきげんだ。
残念ながらこのアルバムの録音後、メンバーでありプロデューサーでもあったエドワーズが急逝している。その後、2003年にはパーマー、トンプスンも亡くなり、パワー・ステーションの再始動は事実上、不可能になってしまった。まことに残念である。
白人と黒人の音楽、その最も「粋(すい)」の部分を融合させた究極のプロジェクト、ザ・パワー・ステーション。すぐれたシンガー、すぐれたミュージシャン、すぐれたプロデューサーと三拍子揃って、まったく死角はない。迷わず聴くべし。
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