ぼくは日頃、ラブコメと呼ばれるジャンルの話を書いているのだが、当然ながらプロ・アマを問わず他の作家の書いたラブコメも読む。
これは一種の「敵情視察」といえるが、純粋に面白いラブコメを探したいということでもある。
読んでいてプロの作家にはおおむね違和感を覚えないのだが、アマチュアの作家の書いた作品を読むと、いろいろ気になる点がある。
それらについて、しばらく書いていくことにしたい。
自戒の意味も込めて、アマチュア作家の陥りやすい問題点について、アトランダムに上げていく。
その一。
これは、プロの作家にすらしばしば見受けられることだが、
「『美少女』いう言葉を、無自覚に乱用する作家が多すぎる」
これである。
美少女という単語は、若い作家はたぶん知らないと思うが、もともと辞書には載っていなかったのである。
オタク文化が興隆し、一般化することによって広まった「スラング」であるのだ。
それを知らずに、使っている作家が多すぎる。
詳しくはPixivの「美少女とは」の項を読んでいただきたい。
「美少女」はかつて、現在スラングとして流通している「美魔女」みたいな立ち位置にあったのだ。
美しい女性を指す言葉は、本来「美女」しかなかった。
それは、成年(と言っても昔は十五過ぎでもそう言われたが)以後の成熟した女性を主に指していた。
次第に人間の寿命が延び、成年イコール二十歳以上をさすようになって、新しい成年以前の美しい女性を指す言葉が必要になって来た。
そこで「美少女」という言葉が生まれたのである。
現在、歴史の長い「美女」という言葉の方が、市民権を失いつつある。
三十歳前後の女優にさえ(例えば新垣結衣さん)、あるいはアイドル(例えば坂道系のグループ)にまで「美少女」という表現を使ってしまう言語感覚、これはどう考えてもおかしいと僕は思うのだが、世の中の大半のひとはどうやらおかしいと思っていないみたいだ。
まずはこのあたりから、「ここが変だよ、今のラブコメ」と申し上げたい。(続く)