スペイン語で遊ぼう!みんなの広場_since2004

スペイン好き、ラテンアメリカ好き、スペイン語好き、スペイン語をやってみようかなぁと思っているヒト、寄っといで!

旅立ち

2005-10-02 | EL PRINCIPITO
王子さまは、花の望むとおり、夜になるとガラスのフードをかけてあげました。そして毎日水をあげました。花の美しさをながめ、香りを楽しむだけではなく、花の話を聞いてあげました。とるにたらない言葉のひとつひとつを真にうけて、悲しくなることもありました。

花を愛おしく思う気持ちはわくのに、花を理解することができないのでした。

ある日、王子さまは花に告げました。
>あなたのおかげで幸せです。でもボク、しばらくここを離れたほうがいいようですね。

>ガラス・フードのことならもういいわ。わたくしがバカでしたの。ごめんなさい。ああ、わたくし、あなたを愛しているのに。気づいてくださらなかったのね。悪いのはわたくし。もう、どうでもいいことですわ。

>でも、風や動物たちが。。。

>風にあたるのも悪くないわ。それに、蝶々と知り合うためには、青虫くらいがまんしなくてはね。

小さな星から旅立つことを決めた王子さまは、星の中をかたづけはじめ、火山のおそうじをし、花に最後の水をあげました。

花は言いました。
>出て行くとお決めになったなら、さっさとお行きなさいな。

とてもプライドの高いその花は、王子さまに涙を見られたくなかったのです。

>さようなら。1年で戻ってきます。

つづく。

今日の表現:
「1年で戻ってきます。」
Regresaré en un año.
en の後ろに時をあらわす言葉があったら、「時点」または「所要時間」を意味します。

小さな星に咲いた花

2005-10-01 | EL PRINCIPITO
むかしむかし、ある小さな星に、小さな王子さまがひとりで住んでいました。その星には、バオバブの木と、朝咲いてはすぐ消える「はかない花」くらいしか、植物らしきものはありませんでした。

あるとき、どこからか飛んできた種が、王子さまの星に根をおろしました。いったいこれは、何なのでしょう。王子さまは、芽が出るのを待ちました。この新しい植物を観察するのが、王子さまの日課になりました。

つぼみがふくらみ、花びらがいまにも開きそうなのに、まるでじらすかのように、そのまま何日も過ぎました。つぼみは、念入りに化粧をして、ゆっくりとシワをのばし、ようやくある朝、日の出とともに花を開きました。

>いま起きたばかりなのよ。髪がみだれているかしら。

花が咲くのを待ち望んでいた王子さまは、その美しさに声をあげました。
>ああ、なんて美しい!

>そうかしら? わたくし、お日様とともに生まれたのよ。 あら、朝食のお時間ね。わたくしのこと、気にかけてくださるわね?

あまり謙虚とはいえない花の態度にとまどいながらも、王子さまは水を汲んできて、やさしく花にかけてあげました。こうして、すぐに王子さまの心をとらえた花は、意味ありげな言葉を投げかけ、色っぽい香りを星中にただよわせながら、王子さまを苦しめはじめたのです。

>爪をとがらせたトラが来ても、わたくしには「トゲ」というものがあるわ。

>この星にはトラなんていませんよ。それに、トラは草なんか食べません。

>わたくし、草ではなくってよ。

>ごめんなさい。。。

>トラなんて恐くなくってよ。でも風がふくと倒れてしまうわ。ガラスのフードをかけてくださるかしら?

なんて気難しい花なんだろう。王子さまはそう思いながらも、花を放っておくことはできないのでした。

つづく。

今日の表現:
「わたくし、草ではなくってよ。」
No soy nunguna hierba. = No soy una hierba.