2012.8.29 発行
これは大変! 埼玉県の母子医療
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今の渡部信子からのご挨拶
この頃は母子医療崩壊の
ニュースが飛び交っていましたが
新型コロナ感染拡大に伴い
病床逼迫のニユースが
そして今は、保育士集団退職のニュースが…。
人の健康に関わる職業人の
待遇が悪すぎると思う一方
皆がもっと健康増進を目指して行動しないと
医療も介護も保育も崩壊すると思っています。
さて、次号からはセミナー講師をはじめ
全国各地の様々な方々にも書いて頂きます。
お楽しみに~。
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人口10万人当たりの医師の数が139・9人(08年)と
全国最下位が続いている埼玉県。
その埼玉県で大変な事態が進行しています。
8月15日「国立西埼玉中央病院が、分娩中止」と発表。
またたく間にツイッターなどで、
ショックが全国を駆け巡りました。
同院の地域周産期母子医療センターは
新生児科専門医が不在となる可能性があり
NICU(新生児集中管理室)が
休止となる恐れがあるため
「新たな分娩予約を当分の間中止」
と発表したのです。
これに先立ち、埼玉県南部に位置する
志木市立市民病院の小児科の入院治療が
休止となったのが今年の4月。
その理由は、常勤医師3人の退職です。
志木市長は清水病院長(小児科医 64歳)の
今年3月末までの任期を更新しないことを通告。
その後、残る2人の小児科医が
退職を申し出たためです。
志木市立市民病院は小児科もある総合病院で
全病床数は100。
小児科病床はそのうち45を占め、
24時間救急に対応できる拠点病院でした。
周辺市町約70万人分の小児救急を、
人口7万人の志木市が支えていたのです。
もともと厳しい経営状態だったのに、
平成21年に利益率の高い整形外科の入院治療を
休止したことなどで、経営悪化。
22年度には小児科だけで
1億6千万円の赤字を出す事態となりました。
患児の約8割は志木市以外の子どもなのに
財政負担は志木市だけが引き受けてきたことも
赤字となった原因。
小児科医でもある清水病院長の、
小児科医療に対する熱意は
並々ならぬものがあったことは
これらの数字を見てもわかりますね。
しかし、病院長は病院の経営や
市の財政のことも考えないと
良い医療を続けることは難しいことを、
志木市の今回の事態が物語っています。
これに続いて、さいたま赤十字病院で
小児科の常勤医師4人全員が退職意向を表明。
同病院はすでに小児科専門外来への
新患受け入れを中止し
ハイリスク妊婦の受け入れも制限しました。
こうなった理由は?
同病院は平成27年度に
県立小児医療センターとともに
さいたま新都心に移転することが決定。
高度医療は県立医療センターが
引き受けることとなりました。
一方は高度な設備が整った施設で
多種多様な患児の診療ができる施設
一方は風邪や腹痛程度の患児しか診察できない施設
若くて勉強意欲にあふれる小児科医は
どちらで働きたいでしょうか?
答えは明瞭ですよね。
とはいえ、県で最も大きな
赤十字病院の小児科がなくなるなんて
産科が個人医院と同程度の妊産婦しか
取り扱えなくなるなんて
そんなことがあっていいのでしょうか?
いずれも後任の小児科医の確保は困難で
解決の糸口は見えていません。
埼玉県における母子医療の崩壊は
隣接する東京・栃木・群馬・茨城・千葉にも
及んでくることは必至です。
「日本の医療は、技術の高度化や要求水準の
上昇にもかかわらず、医療費が
削減されているために崩壊が進んでいる」
と、多くの医師は言います。
果たしてそれが母子医療崩壊の最大の原因でしょうか?
私はそうは思いません。
我々団塊の世代が、子どもを生み育てた時代と比べ
今はハイリスクの母子の割合が
はるかに多くなっています。
ハイリスクの妊産婦を生み出さないようにするには
妊娠出産に適した体を
作り上げることが最大のポイント。
そのためには、妊娠初期の妊婦のみならず
まだ妊娠していない女性も含めて
「骨盤ケアをするのが当たり前」
にならないといけないのです。
いくら税金をつぎ込んで
建物を建て、医療従事者をかき集めて
高度医療センターを開設しても
イタチゴッコにすぎませんからね。
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