まんぼ~任三郎 フィジー編(2)

2022年05月06日 | その他

※ まんぼ~任三郎と部下の今池君

「今回はさすがにリーダーではないのかも知れませんね」

「彼の言うように19番に鍵がかかっていた以上、ゲストは誰も入ること
なんて出来ませんよ」

「集合前の証言に曖昧な部分がありますけど、20番で準備を済ませて
ビーチに行ったとしか考えられないのですが」

たしかに、今回は一筋縄では行きそうにないね。
モルディブやタヒチの時よりも手口が巧妙になってる気がする。

まぁ、心配することはないよ。

もし仮にリーダーが犯人でなかったとしても、私が全力で犯人にする
から任せておきなさい。

「そのような捜査は冤罪・・・。 いえ、何でもありません」



「それに今回はリーダーに余裕があるような気がしますし、どこか捜査
を楽しんでいるような表情でした」

彼の表情がいつもと違うことには私も気付いてます。

私くらいのベテラン刑事になれば、犯人のどのような些細な表情の変化
も見逃さないからね。

5年前に都内で連続放火事件があったでしょ。

このまま迷宮入りするかと思われたところで犯人を逮捕したのは私だよ。
私がどのようにして犯人に気付いたか知ってる?

「いえ、特に知りませんけど」

ペットボトルにガソリンを入れて、ライターを持ってたんだよ。

「それは表情の変化と何も関係ないですよね」
「犯人は自首したかっただけなのでは」



放火で思い出したけど、フィジー旅行が終わったら祐輔さんにお礼の
メールを送っておいてね。

「なんで放火で祐輔さんを思い出すんですか」
「そんなことばかり言ってると、祐輔さんに火がつくかも知れませんよ」

今池君にしては上手いこと言うじゃない。
彼も私と似たような感じだから大丈夫だよ。

「思い返すと、南国の旅行は全て近藤トラベルさんで参加しましたね」

「日本に帰ったら、モルディブもタヒチもフィジーも楽しかったですって、
メールを送っておきます」





「捜査はさておき、フィジーも素敵なところですね」

「お天気は素晴らしいし、南国の花が咲き乱れて、フィジーの人も笑顔
で迎えてくれているし」

「こうしてリゾートを散歩してるだけでも癒されるじゃないですか」

「フィジアンの大らかな気質や飾らない笑顔に魅せられて、フィジーに
ハマる人がいるのも納得です」

「近隣の村から働きに来ている人が多いためか、1軒のリゾートに長く
在籍するスタッフが多いのもフィジーの特徴だそうです」

「スタッフと仲良くなって、何年も同じリゾートに通うリピーターのゲスト
も多いそうですよ」



「それから、たしか祐輔さんが言ってました」

「今でも現地の人はフィジー語を話しているそうで、フィジー語で挨拶
をしたりすると、グっと距離が近くなるそうです」

「だから、積極的にフィジアンにフィジー語で話かけてみると、旅行が
より楽しくなるのだとか」

「おはようはヤンドラ、ありがとうはビナカ、僕も少しだけフィジー語を
覚えました」

「ブラ~ ブラ~ ほら、まんぼ~さんもフィジー語で挨拶して下さい」

「恥ずかしがってたら損ですって」



今池君さ、あれは何をしてるんだろうね?

「メケショーの練習じゃないですか。フィジーのリゾートでは観光客に
伝統や文化を楽しんでもらうために、色々な催しをしているそうです」

「ゲストを歓迎する歌や踊りがあったり、村で行われているカバの儀式
を実演したり、帰る時にはイサレイと言う歌で見送ったり」

「綺麗な歌声のイサレイに感動して泣いてしまう人もいるらしいです」

「ダイビングやウォータースポーツだけでなく、このようなイベントが
あるのもフィジー旅行の魅力の1つではないでしょうか」

「南国でも、モルディブやタヒチとは違った雰囲気があるなと思います」





「我々にはメケショーを観る時間はなさそうなので、せめてフィジアンと
記念撮影だけでも撮りたいです」

「まんぼ~さんが、僕のスマホでフィジアンとの写真を撮って下さいよ」
「旅行後に近藤トラベルさんに送る写真にしたいので」

しょうがないね君は。  ほら、スマホを貸しなさい。

コラコラ、偉そうに腕を組むんじゃないよ。
腕を組んだ写真が似合うのは、ラーメン屋さんの大将だけなんだから。

ピシっと背筋を伸ばして、アゴをもっと引いて。
ダメだ、それだと表情が硬い。 もっと楽しそうに笑って。

そうそう、自然な感じで。 いいね、完璧、そのままそのまま。

3,2,1 カシャ!  はい、頂きました。

ちゃんと撮れてると思うけど、念のためにチェックしてみて。

「プロカメラマンのような意気込みで撮影して頂いて恐縮です」
「これでフィジーに来たことが永遠に思い出として・・・」

「ちょっと、何ですかこれっ!」

「僕が写ってないですよ~」



「ねぇ、ちょっと待って下さいって」

「まんぼ~さん、疲れたからスパでマッサージを受けましょうよ」
「元々は休暇で滞在してたんだから、スパくらいいいじゃないですか」

君は何を考えてるの。スパなんかやってる場合じゃないでしょ。
そりゃ私だって、ウォータースポーツやスパをやりたいさ。

でもね、事件や捜査に全く関係のないアクティビティを楽しむことは、
道義的に問題があると思うから、仕方なく我慢してるわけ。

こち亀の両津勘吉じゃあるまいし、刑事が捜査中にスパをやるなんて、
バレたら大変なことになる・・・。

じゃなくて、やってはいけないんだよ。



「じゃあ、シュノーケリングをしましょう」

「研修のメンバーだってシュノーケリングをしたわけですし、僕らも海に
入ってみると何かヒントがあるかも知れません」

「シュノーケリングなら捜査に関係のあることだと思います」

「ビーチにあるスポーツセンターでシュノーケルセットをレンタル出来る
ことも確認してますし、これなら文句はないでしょ」

もう分かったから、サッサとシュノーケルセットを借りてきなさい。

「はいっ、全力で走って借りてきます!」

「さぁ、事件解決のために思いっきり泳ぐぞ」









「いや~、熱帯魚が沢山で凄く楽しかったですね~」

「チョウチョウウオとか小さい魚の群れにも会えましたし、あの黄色と
白黒のシマシマの魚も可愛かったな」

「アッチの岩場に入ったかと思ったら、コッチの岩場から顔を出したり
して、鬼ごっこをしているみたいでしたよ」

「事件解決のヒントになるようなことは見つからなかったけど、南国の
リゾートらしい体験が出来て良かったです」

「こちらのリゾートも捜査本部として空いているお部屋を貸してくれる
そうですから、入ってシャワーや着替えをしましょう」

「お部屋の鍵は僕が預かってきてますから」 ガチャ



「うわー、凄いお部屋ですね。 めちゃくちゃ広いですよ」

「ベッドもリビングもバスタブも2つずつありますし、プールも大きくて、
まるで2部屋を1部屋にしたようなお部屋じゃないですか」

「これしか空いてなかったのかな」
「つまみ食いの捜査本部として使うにはもったいないくらい」

「そう言えば、スポーツセンターに行った時に少しだけ気になった事が
あったので、スタッフにコピーを貰っておきました」

「まんぼ~さんも見て下さい。 コレは事件と何か関係ありますかね」

「どうしたんですか。 さっきから、ずっと黙ってますけど」

・・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・・・・・・・。



今池君さ、コレは間違いないんだね。

「はい、たまたま風で紙がめくれた時に、この2枚目が見えたんです」

20番と19番のお部屋について、リゾートに確認して欲しいことがある
から行ってきてくれるかな。

それから、もう一度だけ20番にも行ってきてくれる。

リーダーと大した会話をする必要はないけど、さり気なくアレをチェック
してきてね。  たしか、バッグの中に入ってたと思うから。

ストレートに見せて下さいと言うと警戒されると思うから、間抜けな感じ
で油断をさせて、その隙に何とかチェックするんだよ。

「間抜けな感じとか言われても、そんなの急に出来ないですよ」

演技をしなくても、いつものままで大丈夫だから。

「どういう意味ですかっ!」



※ まんぼ~任三郎から画面の前の皆さまへ

えー、やはり犯人はリーダーで間違いなさそうです。

今回も彼が食べたことは証明できませんから、別の角度から追い込む
ことにしましょう。

19番の部屋に鍵がかかっていたことで、誰も部屋に入ることは不可能
だと思われましたが、果たしてそうでしょうか。

彼は20番からビーチに行ったことを主張していますので、それがウソ
であることを証明できれば良いのですが。

今池君が色々と確認してくれていますから、私はスパでも楽しみながら
彼の帰りを待つことにします。

次回の解決編をお楽しみに。 まんぼ~任三郎でした。

まんぼ~任三郎 フィジー編(3)へと続く






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