日本には、約10000社の旅行業者が存在すると言われてます。
私が在籍してるのは、世界中の幅広い地域を取り扱う旅行会社で、
現在は法人担当の営業をしています。
一般のお客様や他の旅行会社の人と関わる機会は多くないですが、
そんな私にも旅行業界の先輩と呼べる人がいます。
南国リゾートのセミナーで隣の席になり、色々とお話をしている間に
仲良くなったまんぼ~先輩。
たまに会って世間話などをする間柄ですが、今日は珍しくオフィスに
来てほしいと連絡があったので、やってきたところです。
たしかここだったな。 ピンポーン♪ ガチャ。
「おぉ、良くきてくれたね。久しぶりじゃないか」
「早速だけど、営業のネタでビーチ沿いのホテルを探してたよね?」
「いいホテルを知ってるし、営業マンとも仲良しだから、この名刺の
人に連絡をすれば良くしてくれるはず」
「デリケートな人だから、横柄な態度は取らないでよ」
「同じ旅行業界で頑張る仲間として、困った時にはお互いに助け合う
べきだと思うんだ」
えっ! ありがとうございます!
課長からガミガミと催促されてたので、凄く助かります。
同じ旅行業界の仲間として助け合う。 心に響く名言ですね。
まんぼ~さんが困ってる時には、僕も全力でサポートをしますから。
「それとさ、これから本格的に寒くなるでしょ」
「外回りの営業は大変だと思うし、ダウンが欲しいと言ってたから、
君のために買ってきたよ。クリスマスプレゼント」
「何もロゴがついてなくて、シンプルなデザインが好きだって言う
から、アチコチのお店を探して見つけてきた」
えーっ! わざわざダウンを買ってくれたんですか。
そうなんですよね。こんな感じのデザインが好きなんです。
これまでに色々なコートを試しましたけど、やっぱりダウンが最強
だなと思ってたんです。
軽くて温かいし、これで真冬の外回りも頑張れますよ。
何よりも、まんぼ~さんの心が温かいです。
「それからさ、毎日ちゃんとご飯は食べてるか?」
「忙しいからって、ついつい食事が適当になってるのでは」
「営業マンなんだから、ちゃんと体力をつけておかないとダメだぞ」
「君のために、出前でお寿司を取ったから食べてよ」
えーーっ! お寿司を取ってくれたんですか。
僕は毎日お寿司でも大丈夫なくらい、お寿司が大好きなんです!
営業は体力勝負ですから、ここは遠慮なく頂きます。
美味しいですね! お腹もいっぱいになりました。
ほうれん草を食べて、無敵になったポパイの気持ちが分かります。
今なら何でも出来るような気がするな。
それでは、そろそろ失礼しようかな。
「まぁまぁ、お茶を入れるから、まだゆっくりして行ってよ」
「知り合いからとても美味しいクッキーを頂いたからさ、君にも是非
食べて欲しいと思ってね」
「遠慮はしなくていいから、このクッキーを食べてごらん」
「美味いか? 美味しいか? どっちだい?」
クッキーまで頂いていいんですか。 至れり尽くせりだな。
これは美味しいです。花の形が可愛いですし、甘酸っぱいオレンジ
のジャムも濃厚なチョコクリームも最高です。
「美味しいでしょ。こんなにも美味しいクッキーは1人でも多くの人に
知ってもらうべきだと思ってるんだ」
「それでさ、ここにお土産のパンフレットが5000冊もあるんだよな」
「どうしても、僕が配らないといけないことになってしまってね」
へ~、それは大変ですね。 5000冊って凄い量ですよ。
「そう思うだろ。とても1人で配れる量じゃない」
「僕は困ってる。 果てしなく困ってる」
そりゃ困るでしょ。 2ヵ月はかかるんじゃないですか。
「今日から全力でサポートをしてほしい」
「僕が先輩だから1000冊で、君が4000冊なんだよ」
「旅行業界の仲間だし、ダウンで真冬も大丈夫だし、お寿司で無敵」
いや、それはそれですから、僕が配るのは違う・・・。
「一緒に頑張ろうぜ。 ポパイ」
おかしいと思ったんだ。 なにがポパイだよ。
さんざん恩を売って、断れない状況にしたかったんじゃないか。
自分が1人で5000冊を配るのが嫌だから、俺を呼びつけたな。
百歩譲って、2000冊と3000冊で分けるならまだしも、なんで俺が
4000冊になるんだ。
世の中、美味しい話には裏があるもんだ。
色々な意味で、いっぱい食わされた。
クソっ! 旅行だけに、道連れにしやがって。
南太平洋・モルディブ旅行専門店・お問い合わせはこちらへ