百合とオレンヂ城Ⅱ

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少林サッカー

2006-06-16 11:32:00 | 映画
■少林サッカー
 
 考えるな感じるんだ
DONT THINK FELL!!


小林泰三のサッカー、小林サッカー(こばやし)
ではない、少林(しょうりん)サッカーである!!
 


■監督の明鋒(フォン)のドラマ

 サッカーの名選手で「黄金右脚」の名を持つ
フォン(明鋒)は強雄(ハン)の八百長の誘い
にのり、怒ったファンに袋叩きにされ足も折られて
しまう。

 ハンの元でこきつかわれていたフォンだが監督
の話しも反故にされ、足を折らせたのもハンのしわざ
と知る。

 自暴自棄になって町に出たフォンは大力金剛膝
(鋼鉄の足)の星(シン)と出会う。

 
 この後小ブルース・リー、ハゲ、リーマン、デブ
オヤジの兄弟子たちをメンバーとして集めていく
わけですがまんじゅう屋の前でなぜか踊るシーン
と兄弟子たちが集合するシーンが好きです。
 
 一見するとダサいんですが、計算され洗練
されており(?)ウケを取れるってこってす。
「くりえいちぶ」とか目に炎が浮かぶのも愛敬w


 良いところあげるときりがないんですが、
上げるなら、フォンがハンを恨むでなく、
八百長をした自分自身が悪い、と認めた
シーンです。

 それでいて再びハンから八百長を
持ちかけられても断るところに
人間的な成長を見た気がします。



■どうしてサッカーなのか?

 ミラーマン、るろうに剣心でアクション監督を
務める谷垣健治さんが、

「最近は香港も豊になって子供たちはサッカーを
してるのは日本とかわらない。拳法はマフィア
のやるものというイメージが親たちにはあるので
学ばせたがらない」

みたいな事を言っていました。

 
 それをふまえたかはわかりませんが

「今の子供たちはカンフーをしないでサッカー?
をしてるのか!なら小林拳を広めるには
サッカーしかない!」

と周星馳が思ったかどうかは知りませんw



■阿梅(ムイ)

 ヴィッキー・チャオ演じる阿梅(ムイ)がすばらしい。
 
 最初はあばただらけで無口、シンにさそわれ自信を
持ち妖しいオカマ(笑)なエステに行き美しく変身。
 
 ですがシンのムイに持ってる気持ちは恋ではなかった。
 
 その後人数の足らない小林チームに助っ人として
登場。
 
 得意の太極拳を駆使して魔鬼隊の強力なシュートも
止めます。
 
 
 
 あのちんちくりんなクリリンみたいな格好で
よく出たものです。
 
 足長いし細いのに、あの小坊主みたいな格好
になるとちんちくりんになるんですね。
 
 間違えて相手チームへ行ったり、とてとて走りは
可愛かったですw
 
 藤原紀香似の美人さんですがよくやります。
 
 阿梅の阿は中国語で「~ちゃん」みたいな
ニュアンスだそうですが、
 じゃあなんだ「阿Q世伝」はQちゃんなんかい?
 (曹操も幼名は阿瞞ですが、ややからかうみたいな
ニュアンスもあるんでしょうね)
 

ムイ役のヴィッキー・チャオは
「ヘブン・アンド・アース」で中井貴一と
共演しましたが、ヘブン~は良い作品です。
 感想書きたいな。



■チャウ・シンチーのトリビア

 周星馳は姉ひとり、妹ふたりの女系家族で
すが、ムイに対する態度って絶対妹をかわいがる
お兄ちゃんに近いですよね。

 誕生日は1962年6月22日生まれ
もうすぐバースディなんですね。

 1962年といえば町山智浩氏や松田聖子と
同じですなw


 ブルース・リーとかジャッキー・チェンなどの
英語名はキリスト教の洗礼名だそうですが、
(ハイジもそうですね)
周星馳はスティーヴンだそうです。

 ただし、この名前がイヤで使っていない
そうです。

 もし使ったらスティーヴン・チャウ
語呂悪w

 マンガが好きでよくパロディをやる。
DBも好きだそうです。
 
 

■字幕で雰囲気を出すのは難しい

 ロード・オブ・ザ・リングでも問題になりましたが
やっぱりあった小林サッカー字幕問題。

 これは他人の受け売りなんで簡単にいきますが
チンピラサッカーのキャプテンが
空を見上げるシーンがありますが吹き替えでは

「天気が」

みたいなことを言ってましたが実際は


フォン「有名なようで」

「いえ、名声ははかないものです。そうあの雲のように」


と続くそうです。

 その後チンピラどもに、やられパンツをかぶる
なんて屈辱的なことをされたあと

シンが「みんな戻ってきた」

と言うシーンで空の雲が映しだされるシーンは

「そう、あの雲のように」と

かけているのでしょうね。象徴的なシーンです。

 

 周星馳は広東語のギャグや難しいギャグが得意だそう
ですが今回誰が見てもわかる笑いを目指したそうです。
 シンチ-の地声はけっこうカン高いですよw
志村けんがもっと高くなったような。
山ちゃんとは違います。 
「人間夢を持たなければ、塩漬け魚とかわりない」
シンチ-は広東語でよく塩漬け魚という言葉を使う
そうですが、
吹き替えでこういうニュアンスを出すのは難しい
のでしょうね。



■少林サッカーと恐怖の外人球団

 『恐怖の外人球団』は韓国の1986年の映画で
アン・ソンギ(シルミド、墨攻、武士MUSA)も
出ています。


 この映画はヒットしたそうで『冬のソナタ』
にも似たようなシーンがあるそうです。


 『恐怖の外人球団』と『少林サッカー』にも
似ている点があります。


 まずどちらの作品も「監督の足が悪い」
「選手がまともな人間じゃない」
「復讐が目的」という共通点があります。


 ただし『恐怖の外人球団』の監督が復讐を
遂げた後に悲惨な最後が待っているのに
対して『少林サッカー』の監督は自分の非を
改め八百長にものらず、成長したから
良いラストになったのでしょう。



■精神修行としての少林拳法

 中国の古い考えに「体を動かすことは下品なこと」
というのがあります。

 その考えをふまえていると思いますが
『恐怖の外人球団』で集められた選手は
まともな人間ではありません。
(それは…もう)

 
 『恐怖の外人球団』ほどではありませんが
『少林サッカー』で集められた人たちも
落ちこぼれです。


 結論から先に言いますが、中国の映画では
まともではない人が少林拳法を通じて精神的に
成長する、という展開がよくあります。


 儒教では「強い」ことは否定され強いだけの
人はただの野蛮人でしかありません。


 『カンフーハッスル』の主人公がクズでしか
なかったのは上の儒教の考えを踏まえている
からでしょう。
(ジェット・リーの『スピリット』も同じ)



 また中国には「いい鉄は釘にしない」という
ことわざがあります。
 
 意味は「まともな人は兵隊にならない」
です。
 中国では兵隊はロクでなしなのです。


 いい例がジャッキー・チェンの『新少林寺』
に出てきたアンディ・ラウの軍人でしょう。



 『少林サッカー』の選手も
『カンフーハッスル』の主人公も
『スピリット』のジェット・リーも
『新少林寺』のアンディ・ラウの軍人も
最初はまともな人ではありません。


 ですが彼らは少林拳法を学ぶことで
強いだけでなく精神的にも成長ができた
のでしょう。


 少林拳法とは精神修行なのでしょう。