自画自賛なんて言葉がありますが、そばで聞かされる者にとって迷惑ではないでしょうか(笑)
最初の臼井本部長(当時)の話はほとんどが自画自賛でしたね(笑)
私たち運転士にはそれを黙って聞く義務…う~ん(笑)義務よりも職務でしょうが、とにかく聞き役に徹しなければなりません。
よく回顧録がありますが、あれとよく似ています。
昔自分のやった手柄話に終始します。
「○年にあの工場で今の技術を開発したのは俺だったんだよ」
「台湾の合弁を立ち上げたのは俺なんだよ」
最初は「なるほど…」と聞いていたのがいくつも重ねて聞かされると正直うるさくなってきます。
家庭内の話も同じで、 「娘が今度A大(お嬢様学校)に入ってさぁ…」
「うちの奥さんがさぁ映画が好きでさぁ…」書いていてこの辺りの言葉のニァンスが上手く表現できませんが、サラッとした言い方でそれ自体は嫌みはありませんが、
同じような話を聞いていると「こいつ自慢話ばかりじゃあないか!?」
と思いますよ。
何かこう自分はこれだけの人物で家庭環境は抜群で…
だから君たちは俺を敬(うやま)わなきゃあだめなんだよ! そんな感じを受けました。
だから私は「へいへい、ごもっともでございます」
と神妙に拝聴しています(笑)
役員さんの話で共通するのはまず失敗の話は出てきません。
私は一時間も我慢すれば通りすぎる馬鹿な話を頭を低くして聞き流しているのです。
「ですが…」とか「それは違います」
など否定したりはマナー違反と心得ていますから…(笑)
話を戻しますが、
臼井本部長(当時)の予定が入っているのを見て私はため息が出ました。
又あの自慢話を聞かなくっちゃあならないかと考えただけでうんざりです。
おまけに関西人の私にとってあの標準語はどうも馴染めません 。「だってさぁ…」「それでさぁ…」
なんてのを繰返しやられた日にはも「ええ加減にしろよ」
と怒鳴りたくなりますよ(笑) (東京の人ごめんなさい)
ところが今回…つまり二回目でしたが、ご乗車された臼井本部長(当時)は違いました。
ハナから雰囲気が鋭く尖った感じで内面に怒りのマグマが沸き上がっていました(笑)
そしてご乗車されたらいきなりタバコを取り出してスパスパですよ。
これは新幹線が全面禁煙という原因もありますが…確か一回目はおもむろに「この車、タバコ吸ってもいいかなぁ…」断られていらっしゃいましたから…
「どうぞ♪」
私は気軽にお答えしましたが、大体役員車でタバコの吸えない車なんて考えられませんね(笑) それくらいこの会社の役員さんは愛煙家が多いので、
タバコが吸えないと偉くなれないのじゃあ…と私たち運転士は密かに思っているくらいです(笑)
…それで臼井本部長(当時)もやはり愛煙家でした。
キャスターの三ミリが定番で乗るなり火をつけていらっしゃいましたが、その間は黙っていらっしゃいます。
今日は静かでいいわい(笑)と思うより前と全然違う雰囲気に面食らったのが正直な感想です。
しばらく沈黙がありましたが、
この場合に限らず私たち運転士から声を掛けるのは御法度であります。
それは余程仲良くなったとしてもです(笑)
役員さんは冗談や無駄話の好きな方もいらっしゃいますが、絶えず会社の事をかんがえていらっしゃいますから(経営者でありますから…) ふと、思いつくことがあれば考え込んでしまうタイプがいらっしゃいます。
どの方がどうと言うわけじゃあありませんが、そんな理由で私たちはこちらからは話しかけないのです。
そしてタバコを吸い終わってからでした。 ポツリと「工場で事故があってね…一人大怪我をしたんだよ」
顔は窓の外方向を見ていらっしゃいました。
こんな時どう答えてよいものか… 私は悩みます。
気軽な冗談話なら「へいへい」で通りますが、トラブルの話題ですと、簡単には答えられませんね。
今回みたいな沈痛な面持ちでいらっしゃった場合はとくに気を使います。
「大変ですね」
私は当たり障りのない言い方で済ませましたが、正解がどうかわかりませんが…。
「そうなんだよ。肋骨が折れているらしいんだょ…」
肋骨!? こりゃあ重傷ですよ。
「それは大変ですね」 私はまたもや大変と言いましたが(笑)
何とも気の利かないことでしょう… 「ピピピ♪」
そこへ携帯が鳴りました。
「あぁ、どうだった!?」 早かったですよ… 携帯を取られたのは(笑)
「うん、うん、うん…」何事が携帯にうなずき硬い表情は変わりません。
「それで…」「うん、うん」
一通り聞き終わると二三指示されて携帯を切られましたが、
この間一分くらいでしょうか…
車中は又沈黙になりました。
電話の様子ですとかなり深刻な様子です。特に工場の人身事故は労災に関わる重大事故で工場の統括責任者の臼井本部長(当時)が渋い顔をされるのは当然でした。
臼井本部長(当時)はそれから携帯でどこかに電話されましたが、 多分鬼塚専務あたりでしょうか。
手短にかつ明瞭な報告はさすが!と思わせる内容です。
「はい、はい」
鬼塚専務からの指示なのか返事にも緊張感が漂っています。
この電話も一分足らずでした…
臼井本部長(当時)は足を組み換えタバコに火を点けられます。
「フゥ~」白い煙りが車内に広がり一息つかれたご様子…
バックミラー越しにチラッと見える臼井本部長(当時)の横顔は男の寂しさが漂っていました。
高速道路からの景色は次から次と流れるように変わっていきますが、微動だにせず臼井本部長(当時)はながめていらっしゃいました。
その時の様子が印象的で私は「この方は以外とマジな人だなぁ」
と思いました。
工場の事故で人災は大変なことで、労働基準局あたりがうるさく指導してきます。
しかし臼井本部長(当時)の横顔を見ているとそんな役所のことよりも、社員の重傷の方がショックだったみたいで、 深いため息を幾度となくつかれていらっしゃる様子からかなり心を痛めていらっしゃるのがわかりました。
そして「家族の人も心配しているだろうなぁ…」
ポツリと漏らされました。
「…」
あまりに実直な感想だけに私も返答に窮したのですが、この場合黙って聞いているしかありませんが…
目的地に着くまで臼井本部長(当時)は嘆きのおじさんでいらっしゃいました。
そして目的地に着きました。
当時まだ本部長でしたから、玄関にお迎えはそうありませんが、(役員になると工場であれ事務所であれ必ずお出迎えが揃います)
次期役員ともなるとさすがでしたね。
総務課長が米付きバッタみたいにして迎えに出てきました(笑)
「お疲れ様でした」
私の到着時のあいさつです。
「ありがとう」
手短にお礼を返されると臼井本部長(当時)は颯爽と車を降りられます。
車内でへたり込んでいた姿からは想像もできないほどです。
さっきの人災はそれとして、ここはここの解決すべき懸案があるからです。一時は落ち込んでいても、他の問題点は待ってくれません…むしろこの本部長のお手並み拝見の輩(やから)が大勢待ち構えています。「弱味は見せられない!」私は車を移動させて観察するつもりもなかったのですが、
その颯爽と玄関に向かわれる足取りは凛としていらっしゃいました。
「おお!千両役者!」声をかけたくなるほどそれはもう見事なものでした。
最初の臼井本部長(当時)の話はほとんどが自画自賛でしたね(笑)
私たち運転士にはそれを黙って聞く義務…う~ん(笑)義務よりも職務でしょうが、とにかく聞き役に徹しなければなりません。
よく回顧録がありますが、あれとよく似ています。
昔自分のやった手柄話に終始します。
「○年にあの工場で今の技術を開発したのは俺だったんだよ」
「台湾の合弁を立ち上げたのは俺なんだよ」
最初は「なるほど…」と聞いていたのがいくつも重ねて聞かされると正直うるさくなってきます。
家庭内の話も同じで、 「娘が今度A大(お嬢様学校)に入ってさぁ…」
「うちの奥さんがさぁ映画が好きでさぁ…」書いていてこの辺りの言葉のニァンスが上手く表現できませんが、サラッとした言い方でそれ自体は嫌みはありませんが、
同じような話を聞いていると「こいつ自慢話ばかりじゃあないか!?」
と思いますよ。
何かこう自分はこれだけの人物で家庭環境は抜群で…
だから君たちは俺を敬(うやま)わなきゃあだめなんだよ! そんな感じを受けました。
だから私は「へいへい、ごもっともでございます」
と神妙に拝聴しています(笑)
役員さんの話で共通するのはまず失敗の話は出てきません。
私は一時間も我慢すれば通りすぎる馬鹿な話を頭を低くして聞き流しているのです。
「ですが…」とか「それは違います」
など否定したりはマナー違反と心得ていますから…(笑)
話を戻しますが、
臼井本部長(当時)の予定が入っているのを見て私はため息が出ました。
又あの自慢話を聞かなくっちゃあならないかと考えただけでうんざりです。
おまけに関西人の私にとってあの標準語はどうも馴染めません 。「だってさぁ…」「それでさぁ…」
なんてのを繰返しやられた日にはも「ええ加減にしろよ」
と怒鳴りたくなりますよ(笑) (東京の人ごめんなさい)
ところが今回…つまり二回目でしたが、ご乗車された臼井本部長(当時)は違いました。
ハナから雰囲気が鋭く尖った感じで内面に怒りのマグマが沸き上がっていました(笑)
そしてご乗車されたらいきなりタバコを取り出してスパスパですよ。
これは新幹線が全面禁煙という原因もありますが…確か一回目はおもむろに「この車、タバコ吸ってもいいかなぁ…」断られていらっしゃいましたから…
「どうぞ♪」
私は気軽にお答えしましたが、大体役員車でタバコの吸えない車なんて考えられませんね(笑) それくらいこの会社の役員さんは愛煙家が多いので、
タバコが吸えないと偉くなれないのじゃあ…と私たち運転士は密かに思っているくらいです(笑)
…それで臼井本部長(当時)もやはり愛煙家でした。
キャスターの三ミリが定番で乗るなり火をつけていらっしゃいましたが、その間は黙っていらっしゃいます。
今日は静かでいいわい(笑)と思うより前と全然違う雰囲気に面食らったのが正直な感想です。
しばらく沈黙がありましたが、
この場合に限らず私たち運転士から声を掛けるのは御法度であります。
それは余程仲良くなったとしてもです(笑)
役員さんは冗談や無駄話の好きな方もいらっしゃいますが、絶えず会社の事をかんがえていらっしゃいますから(経営者でありますから…) ふと、思いつくことがあれば考え込んでしまうタイプがいらっしゃいます。
どの方がどうと言うわけじゃあありませんが、そんな理由で私たちはこちらからは話しかけないのです。
そしてタバコを吸い終わってからでした。 ポツリと「工場で事故があってね…一人大怪我をしたんだよ」
顔は窓の外方向を見ていらっしゃいました。
こんな時どう答えてよいものか… 私は悩みます。
気軽な冗談話なら「へいへい」で通りますが、トラブルの話題ですと、簡単には答えられませんね。
今回みたいな沈痛な面持ちでいらっしゃった場合はとくに気を使います。
「大変ですね」
私は当たり障りのない言い方で済ませましたが、正解がどうかわかりませんが…。
「そうなんだよ。肋骨が折れているらしいんだょ…」
肋骨!? こりゃあ重傷ですよ。
「それは大変ですね」 私はまたもや大変と言いましたが(笑)
何とも気の利かないことでしょう… 「ピピピ♪」
そこへ携帯が鳴りました。
「あぁ、どうだった!?」 早かったですよ… 携帯を取られたのは(笑)
「うん、うん、うん…」何事が携帯にうなずき硬い表情は変わりません。
「それで…」「うん、うん」
一通り聞き終わると二三指示されて携帯を切られましたが、
この間一分くらいでしょうか…
車中は又沈黙になりました。
電話の様子ですとかなり深刻な様子です。特に工場の人身事故は労災に関わる重大事故で工場の統括責任者の臼井本部長(当時)が渋い顔をされるのは当然でした。
臼井本部長(当時)はそれから携帯でどこかに電話されましたが、 多分鬼塚専務あたりでしょうか。
手短にかつ明瞭な報告はさすが!と思わせる内容です。
「はい、はい」
鬼塚専務からの指示なのか返事にも緊張感が漂っています。
この電話も一分足らずでした…
臼井本部長(当時)は足を組み換えタバコに火を点けられます。
「フゥ~」白い煙りが車内に広がり一息つかれたご様子…
バックミラー越しにチラッと見える臼井本部長(当時)の横顔は男の寂しさが漂っていました。
高速道路からの景色は次から次と流れるように変わっていきますが、微動だにせず臼井本部長(当時)はながめていらっしゃいました。
その時の様子が印象的で私は「この方は以外とマジな人だなぁ」
と思いました。
工場の事故で人災は大変なことで、労働基準局あたりがうるさく指導してきます。
しかし臼井本部長(当時)の横顔を見ているとそんな役所のことよりも、社員の重傷の方がショックだったみたいで、 深いため息を幾度となくつかれていらっしゃる様子からかなり心を痛めていらっしゃるのがわかりました。
そして「家族の人も心配しているだろうなぁ…」
ポツリと漏らされました。
「…」
あまりに実直な感想だけに私も返答に窮したのですが、この場合黙って聞いているしかありませんが…
目的地に着くまで臼井本部長(当時)は嘆きのおじさんでいらっしゃいました。
そして目的地に着きました。
当時まだ本部長でしたから、玄関にお迎えはそうありませんが、(役員になると工場であれ事務所であれ必ずお出迎えが揃います)
次期役員ともなるとさすがでしたね。
総務課長が米付きバッタみたいにして迎えに出てきました(笑)
「お疲れ様でした」
私の到着時のあいさつです。
「ありがとう」
手短にお礼を返されると臼井本部長(当時)は颯爽と車を降りられます。
車内でへたり込んでいた姿からは想像もできないほどです。
さっきの人災はそれとして、ここはここの解決すべき懸案があるからです。一時は落ち込んでいても、他の問題点は待ってくれません…むしろこの本部長のお手並み拝見の輩(やから)が大勢待ち構えています。「弱味は見せられない!」私は車を移動させて観察するつもりもなかったのですが、
その颯爽と玄関に向かわれる足取りは凛としていらっしゃいました。
「おお!千両役者!」声をかけたくなるほどそれはもう見事なものでした。