楽しい酒宴を過ごした住友役員は上機嫌でした。
しかし佐川本部長はその上を行く饒舌に辛辣さが加わっています。
住友役員が喋れば普通はその話を聴くのが社員の宿命です。
しかし佐川本部長は違いました。
ことごとく反発して来ます。
『今日は中々有意義な日だったねぇ』後部座席で座るなり住友役員は口を切りますと…
『いゃあ高川課長のお膳立ては良かったよ…あれがなけりゃあ駄目かもね…そうでしょ役員』
『ああ…』
『しかし先週来た時にはだいぶてこずったからなぁ…』『そうなの…』
人の良い住友役員は頷くだけです(笑)
『それで…』『だから…』『やっぱり…』あーでもないこーでもないと狭い車内は佐川本部長の独演会となりました(笑)
私はルームミラーで住友役員の様子を伺いますと、やっぱりシラ~とした顔であります(笑)
『ねぇ!役員!』そんなことを知ってか知らずか佐川本部長は何度も住友役員の同意を求めて来ます。
『ああ…』その度に返事を返されますが、並んで座っている二人は顔さえ合わせません。
誠に笑可しな話ですが、会食場所から名古屋駅までは20分程度です。 たぶん住友役員は佐川本部長に言わせたいだけ言わせてもたかが知れたいるから…と役員の貫禄で自重していらっしゃった事と思われます。
しかし私の横(助手席)にいた高川課長はどきまぎしていました。
何せ気配りの人ですからね(笑)
直接の上長の佐川本部長に同調しながら神様にも気を使っているのが良く分かりましたから(笑)
それでも佐川本部長の舌は絶好調です…
幸いにも道路は空いていましたからあっと言う間に名古屋駅の灯が見えてきました。
やれやれ…横の高川課長はほっと一息をついたときでした。
住友役員がポツリと『しかし高川君名古屋は美人があまりいないねぇ』『…』
一瞬車内は水を打ったような静けさになりました。
ここへ来る途中で住友役員と佐川本部長の話していた中で佐川本部長が 『うちの女房は名古屋なんですよ』と言われたことがありました。その時は住友役員も『そうなの』
で終わっていました。
それが今頃さり気なく出て来るとは…
私はもちろん高川課長も黙ったままだったのは当然でしょう(笑)
1分…いやもっと短かったかも知れませんが佐川本部長が口を切りました。
『そうなんですよ名古屋は昔御三家のお膝元でしたから美人はみんな江戸にご奉公に出たんですってね』
『ほう~』
短く住友役員は感心した振りで相槌を入れられました。
…車は無事名古屋駅に到着しました。
私の仕事はここまでです。
住友役員は東京へ…佐川本部長は京都へと新幹線でそれぞれ帰られます。高川課長は名古屋在住ですからやっぱりここまででした。
『お疲れ様でした』『お疲れ様でした』
私が挨拶をしつつお見送りをしていきます。
お二人が見えなくなると『お疲れ様…』振り向くと
高川課長が缶コーヒーを下げていました。
『お疲れ様でした』私は笑顔で返します。『お家まで送りましょうか』と愛想をしますと、
高川課長は首を振りながら
『ほんと疲れましよ(笑)ちょっと飲(やっ)てから帰ります』
なるほど…
私は頷きました。 上司が仲たがいしていた車内で高川課長はすっかり参っていた様子でした。
帰り道で私は思い出しました。
確か佐川部長が本部長に昇進の面接試験を受けた時例の饒舌が住友役員の逆鱗に触れて一年見送りになった事を…
あれは確か根本常務が宥(なだ)めて 治まったと裏話で聞いていましたから(苦笑)
確執か意地っ張りなのか…『変に意識しないでお仕事頑張ってチョ』
私は聞き覚えのある名古屋弁でつぶやいていました(笑)
しかし佐川本部長はその上を行く饒舌に辛辣さが加わっています。
住友役員が喋れば普通はその話を聴くのが社員の宿命です。
しかし佐川本部長は違いました。
ことごとく反発して来ます。
『今日は中々有意義な日だったねぇ』後部座席で座るなり住友役員は口を切りますと…
『いゃあ高川課長のお膳立ては良かったよ…あれがなけりゃあ駄目かもね…そうでしょ役員』
『ああ…』
『しかし先週来た時にはだいぶてこずったからなぁ…』『そうなの…』
人の良い住友役員は頷くだけです(笑)
『それで…』『だから…』『やっぱり…』あーでもないこーでもないと狭い車内は佐川本部長の独演会となりました(笑)
私はルームミラーで住友役員の様子を伺いますと、やっぱりシラ~とした顔であります(笑)
『ねぇ!役員!』そんなことを知ってか知らずか佐川本部長は何度も住友役員の同意を求めて来ます。
『ああ…』その度に返事を返されますが、並んで座っている二人は顔さえ合わせません。
誠に笑可しな話ですが、会食場所から名古屋駅までは20分程度です。 たぶん住友役員は佐川本部長に言わせたいだけ言わせてもたかが知れたいるから…と役員の貫禄で自重していらっしゃった事と思われます。
しかし私の横(助手席)にいた高川課長はどきまぎしていました。
何せ気配りの人ですからね(笑)
直接の上長の佐川本部長に同調しながら神様にも気を使っているのが良く分かりましたから(笑)
それでも佐川本部長の舌は絶好調です…
幸いにも道路は空いていましたからあっと言う間に名古屋駅の灯が見えてきました。
やれやれ…横の高川課長はほっと一息をついたときでした。
住友役員がポツリと『しかし高川君名古屋は美人があまりいないねぇ』『…』
一瞬車内は水を打ったような静けさになりました。
ここへ来る途中で住友役員と佐川本部長の話していた中で佐川本部長が 『うちの女房は名古屋なんですよ』と言われたことがありました。その時は住友役員も『そうなの』
で終わっていました。
それが今頃さり気なく出て来るとは…
私はもちろん高川課長も黙ったままだったのは当然でしょう(笑)
1分…いやもっと短かったかも知れませんが佐川本部長が口を切りました。
『そうなんですよ名古屋は昔御三家のお膝元でしたから美人はみんな江戸にご奉公に出たんですってね』
『ほう~』
短く住友役員は感心した振りで相槌を入れられました。
…車は無事名古屋駅に到着しました。
私の仕事はここまでです。
住友役員は東京へ…佐川本部長は京都へと新幹線でそれぞれ帰られます。高川課長は名古屋在住ですからやっぱりここまででした。
『お疲れ様でした』『お疲れ様でした』
私が挨拶をしつつお見送りをしていきます。
お二人が見えなくなると『お疲れ様…』振り向くと
高川課長が缶コーヒーを下げていました。
『お疲れ様でした』私は笑顔で返します。『お家まで送りましょうか』と愛想をしますと、
高川課長は首を振りながら
『ほんと疲れましよ(笑)ちょっと飲(やっ)てから帰ります』
なるほど…
私は頷きました。 上司が仲たがいしていた車内で高川課長はすっかり参っていた様子でした。
帰り道で私は思い出しました。
確か佐川部長が本部長に昇進の面接試験を受けた時例の饒舌が住友役員の逆鱗に触れて一年見送りになった事を…
あれは確か根本常務が宥(なだ)めて 治まったと裏話で聞いていましたから(苦笑)
確執か意地っ張りなのか…『変に意識しないでお仕事頑張ってチョ』
私は聞き覚えのある名古屋弁でつぶやいていました(笑)