すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【CL 2019/20】圧巻、アントニオ・コンテの完勝劇 F組第3節 ~インテル2-0ドルトムント

2019-10-27 08:58:56 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
グループ最下位で迎えた一戦である

 今シーズンのヨーロッパ・サッカーで、実はいちばん注目しているのはイタリアのインテルだ。プレシーズンマッチでアグレッシブかつダイナミックな「大きいサッカー」をやっていたので強く印象に残った。アントニオ・コンテ監督の気迫が乗り移ったようなサッカーをする。

 で、予想通り彼らは国内リーグで開幕6連勝を飾るなど「やっぱりな」だったのだが、他方、チャンピオンズリーグではどうも冴えない。このドルトムント戦は1分1敗のグループ最下位で迎えた一戦だった。

 バルセロナ、ドルトムントと同居するただでさえ「最も厳しい死のグループ」だ。もしここで負けたらすべてが終わる。そんな土壇場でインテルは強豪ドルトムント相手に圧巻の完勝劇をやってのけた。しかも2-0のクリーンシートで。これで勝ち点4とし、一気にグループ2位に躍り出る。やっぱりインテル、さすが見込んだだけのことはある。

変幻自在の3バック、守備時5-3-2が付け込む隙を与えない

 インテルのフォーメーションは基本3-5-2、守備時5-3-2なのだが、後ろの3-1だけが完全固定で、あとは局面に合わせて変幻自在に変化する。アンカーを使ったビルドアップから、ウイングバックが下りて絡んでひと仕事し、フィニッシュになればまた前へ突っ込む。最前線のルカクが器用にポストをこなす。

 この試合でインテルは前半22分にラウタロ・マルティネスのゴールで1点先行するや、相手ボールになればスルスルと自陣にリトリートして5-3-2の堅いブロックを組む。

 ドルトムントはしきりにショートパスを繋いでポゼッションするが、最後は結局インテルの守備組織に寸断される。インテルのホームだけに、インテルの守備の局面でさかんに歓声が沸く、といういかにも守備の国イタリアらしい展開だ。

 そんなうまい試合運びで終了間際までインテルは1-0で引っ張り、後半44分にはカウンターからアントニオ・カンドレヴァが抜け出してとどめの2点目。終わってみればインテルのいいところだけが目についた完勝だった。勝ったインテルのポゼッション率は49%である。

 これで勝点1差で2位につけている国内リーグはもちろん、チャンピオンズリーグでもにわかに2位抜けの芽が出てきた。やっぱり今季のインテルからは目が離せませんな。

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【CL 2019/20】アンチェロッティ、してやったり E組・第1節 ~ナポリ 2-0 リバプール

2019-09-18 09:36:22 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
攻守の切り替えが速い好ゲーム

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)は各地でグループリーグが開幕した。E組のナポリ対リバプール戦は内容的には接戦だったが、ナポリがPKとパスカットで2点を上げてラッキーな快勝をした。

 両チームともプレースピードとボールスピード、攻守の切り替えが非常に速く、息もつかせぬスペクタクル劇が展開した。これぞCL、という白熱した極上のエンターテインメントだった。

 ナポリのフォーメーションは守備時4-4-2、攻撃時3-4-3。スタメンはGKがメレト。最終ラインは右からディ・ロレンツォ、マノラス、クリバリ、マリオ・ルイ。セントラルMFはアランとファビアン・ルイス。SHは右がカジェホン、左がインシーニェ。2トップはメルテンスとロサーノだ。

 一方、リバプールのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがアドリアン。最終ラインは右からアレクサンダー・アーノルド、ファン・ダイク、マティプ、ロバートソン。アンカーはファビーニョ。インサイドMFは右がヘンダーソン、左がミルナー。3トップはサラー、フィルミーノ、マネだ。

激しいプレッシングとカウンターの応酬

 ナポリはビルドアップ時に左SBのマリオ・ルイが高い位置を取り、最終ラインの残り3枚が左へスライドして3バックを形成する。両SHのインシーニェとカジェホンは互いにバランスを取るつるべの動きをし、片方が最前線に上がり3トップのWG化すれば、他方が引いてSHを務める。

 特に守備の際インシーニェは、時には最終ラインに入って左SBのカバーリングまでこなす。非常に運動量が多い選手である。また最前線のメルテンスは、攻撃時には適宜、中盤に下りてゲームメイクもする。

 これでナポリは攻撃時には3-4-3に可変し、ショートパスをつなぎながら目まぐるしくボールを動かして攻める。他方、守備時には美しい4-4-2になる。

 一方、リバプールのビルドアップは両SBを高く上げ、2-5-3のような形で攻める。ナポリのビルドアップに対しては、3トップが激しくハイプレスをかけ組み立てを壊そうとする。

 かたやナポリもそれは同じで、時にはインシーニェが1列上がった3トップの形でハイプレスをかけてハメようとする。プレッシングサッカー信者にはこたえられない展開だ。

2つのミスが勝敗を分けた

 試合が動いたのは後半37分。リバプールのロバートソンがボックス内でカジェホンを倒し、ファウルを取られてPKに。キッカーのメルテンスは冷静にゴールへ沈めた。

 続くナポリの2点目は後半47分だった。ファン・ダイクの迂闊なバックパスを途中出場のジョレンテがダイレクトでさらい、右足で鮮やかに決めた。

 かくて激しいカウンターの応酬になったオープンな好ゲームは、2回のミスで2ゴールが決まって終わった。力が拮抗している試合はミスで決着がつく。そんな法則を絵に描いたようなゲームだった。

 アンチェロッティはしてやったり。晩酌の1杯はさぞかし美酒だろう。

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【CL準決勝1stレグ】バルサがサッカーを「つまらなく」している

2019-05-03 16:10:51 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
やる前から結果がわかっている味気なさ

 チャンピオンズリーグの準決勝1stレグ、バルセロナ対リバプールの「3-0」という結果を苦々しい思いで見終えた。

 この試合が事実上の決勝戦だと思っていただけに落胆は大きい。アヤックスがバルサに勝てるわけがないから、今季のチャンピオンズリーグは準決勝の1stレグでもう終わったも同然だ。

 やる前から結果がわかっているサッカーほど、つまらないものはない。

 バルサがサッカーをつまらなくしている。
コメント (1)
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【CL準決勝1stレグ】アタッキングサードの差 ~バルセロナ 3-0 リバプール

2019-05-02 08:49:59 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
決定力で大差がついた

 内容的にはボールを支配したリバプールのほうがよかったくらいだが(特に前半)、アタッキングサードでの決定力とイマジネーションで結果的に大差がついた。

 スアレスの動物的な裏抜けはすばらしかったし、メッシが沈めたフリーキックは芸術以外の何物でもない。

 リバプールは何度も決定機があったが決められず、特にゼロトップとして攻撃の核になるフィルミーノをケガで欠いたのが痛かった。飛車落ちだ。

 いずれにしろ、この結果には大きな衝撃を受けた。

 呆然としている。

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【CL 18/19 H組第3節】0-1で勝ち切るイタリアの美学 〜マンチェスター・ユナイテッド0-1ユベントス

2018-10-30 08:26:49 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
ユーベが勝ち点9でダントツの首位に

 UEFAチャンピオンズリーグのグループH第3節は、プレミアリーグで不調のマンチェスター・ユナイテッドとユベントスの対戦になった。ユーベは前半17分にアンカーのピアニッチが右サイドへ展開し、右へ流れたロナウドがクロスを入れる。これにクアドラードがゴール前でつぶれ、そのこぼれ球をディバラが押し込んで先制した。

 このあとユベントスはボールを失えば丁寧に自陣に守備ブロックを作る横綱相撲でマンUを寄せ付けず、0-1でキッチリ勝ち切るイタリアのチームらしい試合運びで勝ち点3を重ねた。

 この結果、グループHはユベントスが勝ち点9でダントツの首位。これを勝ち点4の2位マンチェスター・ユナイテッドが追う展開になっている。

いやらしく時間を使うイタリアらしさ

 ユベントスのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがシュチェスニー。最終ラインは右からジョアン・カンセロ、ボヌッチ、キエッリーニ、アレックス・サンドロ。中盤3センターはアンカーがピアニッチ、右がベンタンクール、左がマチュイディ。3トップはクアドラード、ディバラ、ロナウドだ。

 ユーベはMFベンタンクールが右SBとCBの間に落ちてビルドアップする。彼らは前半17分に先制するや、とたんに後ろ半分でじっくり安全にパスを回して時間を使い始めた。まさかこんな早い時間帯から0-1の勝ち切りを見ているのか? 有利に立った局面で、いやらしく時間を使うイタリアのチームらしい試合運びだ。徹底した遅攻がサマになっている。

 一方、マンUは1点を先制されると、まるで目が覚めたかのように自陣に引いて4-4のブロック守備に移行した。相手にボールを持たせてカウンターを狙う作戦だ。リードはされていてもこれ以上の失点を防ぎ、じっくりチャンスを待つ狙いだろう。

 マンUはユーベのビルドアップに対し、ルカクとマタが前で縦関係を作って中へのパスコースを切っているが、さりとてボールをサイドに誘導しハメて回収しようというような組織性は感じられない。

 彼らはボールを奪っても緻密にビルドアップするというよりも、最終ラインから最前線に長い縦パスを当てるダイレクト攻撃か、アバウトなロングボールを放り込むことが多い。ボールを保持してもパスがつながらず、ボールを失ってはまたブロックを作って守備に回り、という悪循環を機械のように繰り返している。

 マンUはボールを奪ってもポジティブ・トランジションが致命的に遅く、モタついている間にユーベにリトリートされブロックを作られてしまう。そのユーベの守備ブロックは岩盤のように固く、引かれてブロックを作られる前に速攻をかけないと得点機は作れない。結局、ユーベのうまい試合運びに、90分間を空転させられた感じで試合は終わった。

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【CL 18/19 F組第3節】シティの攻撃力が大爆発 〜シャフタール0-3マンチェスターC

2018-10-28 09:45:04 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
ズルズル下がるシャフタール

 リヨンとの試合(2-2の引き分け)が非常にいい内容だったのでシャフタール・ドネツクには期待したのだが、残念な結果に終わってしまった。

 シャフタールはマンチェスター・シティの攻撃をこわがりラインが徐々にズルズル下がり、カウンター狙いのような形になった。狭いスペースでも存分にプレイできるシティに対し、ラインを下げて守っても意味はない。もっとラインを高く保ち、ライン裏でなくむしろ中盤のスペースを殺すべきだった。

 それでもシャフタールはシティのビルドアップに対し、4-4-2でミドルプレスし、最初はベタ引きはしていなかった。そしてボールを奪うと2タッチ以内の速いパスワークでいい攻撃をする。

 とはいえボールポゼッションは圧倒的にシティが高く、立ち上がりからずっと彼らが押し込んでいる。だが前半から何度も決定的なチャンスを迎えるが、シティは決めきれないーー。

偽SBの予防的カバーリングでカウンター対策も万全

 シティのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがエデルソン。4バックは右からストーンズ、オタメンディ、ラポルト、メンディ。中盤3センターはアンカーがフェルナンジーニョ、右がケガから復帰したデ・ブライネ、左がダビド・シルバ。3トップはマレズ、ジェズス、スターリングだ。

 シティは攻撃時には左SBのメンディが上がり、ディフェンスラインが左にスライドして3バックで攻める。一方、守備に回ると4-1-4-1になる。

 試合が動いたのは前半30分だ。ジェズスのシュートのこぼれ球をダビド・シルバが詰めた。これでシティの攻撃力が一気に爆発する。5分後の前半35分には、シティの左CKからラポルトがヘディングシュートを決めた。

 そしてシティの3点目は後半26分。途中出場したベルナルド・シウバが中央をドリブルで進み、ゴール左スミに強烈なシュートを叩き込んだ。

 3点リードし安全圏に入ると、シティは左右SBのメンディとストーンズが偽SBのポジショニングを取りアンカーの両脇を埋め、2-3-5でビルドアップ。これで予防的カバーリングがバッチリで敵のカウンターへの備えも万全だ。

 尻に火がついたシャフタールは両SBを高く上げ、2-2-3-3で攻め始めるが果たせず。終わってみればシティのいいところばかりが目立つワンサイドゲームになった。シティの快進撃が止まらない。

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【CL 18/19 C組第2節】ナポリ流、ゴールの作り方 〜ナポリ1-0リバプール

2018-10-06 09:21:16 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
流れるような華麗なパスワーク

 チャンピオンズリーグのグループC・第2節は、アンチェロッティのナポリとクロップのリバプールとの対戦になった。ナポリがポゼッションし、リバプールがボールを奪ってショートカウンターをかける展開だ。

 ナポリのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがオスピナ。最終ラインは右からマクシモビッチ、アルビオル、クリバリ、マリオ・ルイ。中盤はアンカーがハムシク、右インサイドMFはアラン、左インサイドMFはファビアン・ルイス。3トップはカジェホン、ミリク、インシーニエだ。

 試合冒頭からリバプールはありえないようなパスミスが目立ち、「変調」を感じさせる。しかも前半19分にはMFのナビ・ケイタが負傷を訴え、ジョーダン・ヘンダーソンと交代するというアクシデントまで起こった。この日のリバプールを象徴するような出来事だ。

 一方、昨季までサッリ監督が手腕を振るったナポリのスタイルは、(当然だが)やはりチェルシーに似ている。少ないタッチ数で流麗にリズミカルなパスワークを見せ、全員が足を止めずに絶えずパスコースを作るオートマチズムが完成されている。パス成功率、チャンスの数とも、明らかにナポリのほうが多い。

 ナポリはワイドに幅を取ってサイドに圧力をかけ、サイドのスペースを消している。そのためリバプールは高い位置でボールを奪ったときにはカウンターが利くが、低い位置からビルドアップする場合はサイドにフタをされてSBの上がりを封じられ、ビルドアップ不全症候群に陥っている。ナポリが取ったサイドを殺すやり方は、プレミアリーグでも見られるリバプール対策の典型だ。

2タッチ以内で5本のパスをつないだ劇的なゴールショー

 決定機は後半に入っても明らかにナポリのほうが多い。特に後半20分台には何度もチャンスを作った。だが試合は0-0のまま。そして大団円はどん詰まりの後半45分に訪れた。

 ナポリはピッチ中央でボールをキープした右インサイドハーフのアランが、まず右SBのマクシモビッチに展開した。マクシモビッチはこれをダイレクトで、右サイドの前縦にめいっぱい開いた右WGのカジェホンに縦パス。ボールを受けたカジェホンは、2タッチで即座に右に開いた途中出場のメルテンスに縦パスを入れる。

 このときカジェホンは、パスを出すと同時に足を止めずに前方へ全力でスプリント。それによりメルテンスからダイレクトでリターンパスをもらい、ワントラップしてから2タッチ目でゴール前へ折り返しを入れる。最後は3人目の動きをしてゴール前へ走り込んだ左WGのインシーニエが、倒れ込みながらダイレクトでゴールにボールを流し込んだ。

 最初に中央で起点になったアランから発生した5つのアクションが、すべて3本のダイレクトプレイと2本の2タッチ・パスで構成された流れるようなゴール劇。リバプールの選手はだれひとりプレスをかけるヒマすらなかった。これがナポリ流「ゴールの作り方」だ。

 これで死の組と呼ばれたグループCは、勝ち点4のナポリ、勝ち点3のリバプールとパリ・サンジェルマンがひしめき合い、しのぎを削る展開になった。さて、最後に笑うのはいったいどのクラブだろうか。

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【CL 18/19 F組第2節】狸とキツネの化かし合い 〜ホッフェンハイム1-2マンチェスター・シティ

2018-10-05 07:49:48 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
プランB、Cを出し合う采配の応酬

 チャンピオンリーグのグループF・第2節は、現代フットボールの変革者であるペップと、新進気鋭の天才監督ナーゲルスマンの対決になった。あらかじめ決められたシナリオをなぞるのでなく、敵の出方を見ながら対抗策を出し合う両監督の化かし合いは非常に見応えがあった。

 シティのフォーメーション(電話番号)は4-1-2-3。スタメンはまずGKがエデルソン。最終ラインは右からウォーカー、コンパニ、オタメンディ、ラポルト。中盤はアンカーにフェルナンジーニョ、インサイドMFはダビド・シルバとギュンドアン。3トップはスターリング、アグエロ、サネである。

 試合はいきなり開始1分にゴールが決まる波乱の幕開けとなった。ホッフェンハイムのMFデミルバイが縦へのスルーパスを出し、反応したFWベルフォディルが鮮やかに抜け出し先制点を叩き出す。この予想外の早い得点に、両監督のプランニングは刻々と変化して行った。

 むろんシティがやられっ放しで終わるわけがない。さっそく前半8分に追撃弾を叩き込む。まずダビド・シルバが縦に長いスルーパスを出し、これに裏抜けしたサネがゴール前で右にいたアグエロにパス。アグエロはワントラップして確実に決めた。1-1の同点だ。

光るペップの「修正力」

 前半8分で早くも2点が入る展開に一体どうなるかと思われたが、以後は戦術と戦術がぶつかり合う一進一退のねじり合いになる。

 ホッフェンハイムは4バック。ミドルプレスとロープレスを使い分ける。最終ラインを高く保ち、コンパクトな陣形を組んでいる。押し込まれると局面によっては6バックになり防戦するが、とはいえ引きっ放しではまったくなく、ボールを奪うと素早いトランジションからカウンターを繰り出す。

 押し込まれ、低い位置でボールを奪回した場合もロングボールに頼らず、彼らは狭いスペースのなかショートパスをていねいにつないでビルドアップする。

 かたやシティはいつものようにボールを握ってポゼッションしているが、ややミスが目立ちギクシャクしている。プレミアリーグのときのようにスムーズなパスワークではない。

 そこを改善しようとしたのか、ペップは後半19分にオタメンディを下げてストーンズを投入する。これで3バックにし、ストーンズをセントラルMFとしてフェルナンジーニョと組ませた。どちらかといえばフェルナンジーニョが攻撃的に前へ、ストーンズは後ろでアンカー的にバランスを取る作戦だ。

 これを見たホッフェンハイムのナーゲルスマン監督は、すかさずシステムを1トップ2シャドーの4-3-2-1に変えた。クリスマスツリーである。

 それに対しシティは後半30分、スターリングを下げてマレズを投入する。スタメンをいじり選手交代するたびに選手間の連携が崩壊していくパターンはよく見るが、この日のシティは選手交代のたび見違えるように連携がスムーズになって行く。監督采配の妙である。

 そして迎えた後半42分。シティが入れた左サイドからのクロスを、ホッフェンハイムの守備者が胸トラップでカットした。だがそのときボールが地面に弾んだ瞬間をダビド・シルバが見逃さずボールをかっさらい、2タッチ目でゴール右隅へ突き刺した。ついに均衡が破れ、シティが1点リードする。

 もうゲームは終盤だ。最後、追い詰められたホッフェンハイムは2バックにしてロングボールを入れ、8人で攻めたが力及ばず。試合はシティに軍配が上がった。とはいえホッフェンハイムはプレミアリーグ上位相当の力がありそうだ。選手交代とシステム変更で試合を修正して行くペップの手腕が光った一戦だった。

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【CL 18/19 E組第2節】アヤックス、敵地で勝ちに等しい引き分け 〜バイエルン1-1アヤックス

2018-10-04 07:20:25 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
バイエルンから流れを奪う

 チャンピオンリーグのグループE・第2節は、ロッベン、リベリ、レバンドフスキなどベテランが目立つバイエルンと、多くが25歳以下と若いチームのアヤックスの対戦になった。バイエルンのフォーメーションは4-1-2-3。立ち上がり、ペースをつかんだのはそのバイエルンだ。

 前半4分。バイエルンは右からのクロスをフンメルスがフリーでゴール左に叩き込む。これで勢いに乗ったバイエルンは以後、正確無比な組み立てでアヤックスを圧倒した。ところがこの日の2ゴール目を機にすっかり流れが変わる。

 前半22分。アヤックスはGKがロングボールを入れ、そのこぼれ球を拾ったマズラウイがタディッチにパス。タディッチは軽くワントラップし、すぐマズラウイにリターンパスを返す。

 これをマズラウイが冷静に決めてアヤックスは1-1の同点とする。この一連の速い流れにバイエルンの守備陣はついて行けず、ほとんどプレスをかけられなかった。

 アヤックスはハイプレスで入った立ち上がりからバタバタしていたが、1点を取ってすっかり落ち着きを取り戻し、積極的に前からプレスをかけている。彼らはていねいにショートパスをつないでビルドアップする。一方のバイエルンはリベリが左サイドに開いてフリーになり、そこにサイドチェンジを入れてポイントを作っている。

ラインが深くなり中盤のスペースを狙われるバイエルン

 続いて迎えた後半は、勢いに乗った若いアヤックスが立ち上がりから激しく攻め、10分以内に立て続けに2度の決定機を作った。

 受けに回ったバイエルンは次第に最終ラインが深くなり、中盤にスペースができてそこをアヤックスに使われる悪循環に陥った。バイエルンはすっかり硬直的になり、至る所でマークがズレて穴を作っている。3 : 7でアヤックスがいい。

 同じチームがこれだけ崩れるものか? また同じチームがこれほど立ち直るものか? という感じだ。バイエルンは「ここ」という守備の局面で足を止めてサボる選手が目立つ。

 ところが後半の後半にはまたバイエルンがやや盛り返し、ゲームはバランスの取れた状態になる。最後はどちらに点が入ってもおかしくなかった。

 結果、アウェイで勝ちに等しい引き分けを勝ち取ったアヤックスと、ホームで勝ちゲームを落としたバイエルン。試合終了後、両者の面々の表情は対照的だった。

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