すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【国際親善試合】ワンサイドゲームの快勝 〜日本 2-0 チュニジア

2023-10-18 09:29:12 | サッカー日本代表
クリーンシートで試合を終えた

 サッカー日本代表は10月17日にチュニジア代表と対戦し、FW古橋亨梧とMF伊東純也のゴールで2-0と勝利した。

 日本がボールを保持し、チュニジアが5-3-2で引いて守ってカウンターを狙う展開だった。だがピンチらしいピンチもなく、クリーンシートで試合を終えた。懸案の左SBは、中山雄太がレギュラー獲りに前進した。前からよくプレスをかけた古橋も点を取りアピールできた。途中出場の浅野もよかった。一方、トップ下の南野は微妙なところだ。

 日本は90分間、集中して前からプレスをかけ、高い最終ラインを維持。終始、コンパクトだった。遠藤と守田、冨安、板倉の中央部がよく、引き締まった試合だった。前半は小競り合いが続いたが、思わぬラッキーが起こり日本に先制点が入る。後半、チュニジアは4バックに変えて勝負に出たが、日本が加点し危なげなく逃げ切った。

 日本のフォーメーションは4-2-3-1だ。GKは鈴木彩艶。最終ラインは右から菅原由勢、板倉滉、冨安健洋、中山雄太。CMFは遠藤航と守田英正。2列目は右から伊東純也、久保建英、旗手怜央。ワントップは古橋亨梧だ。

前からのプレスが効きコンパクトな陣形

 日本は前からのプレスがよく効き、ゆえにラインを上げてコンパクトにやれた。やはり冨安、板倉のラインコントロールと前からのプレスの相性はいい。前半20分過ぎからはハイプレスをかけ始めた。そして25分には旗手が低い位置から逆サイドの伊東に向け、素晴らしいサイドチェンジのボールを入れた。彼はパス一発で数人の相手守備陣を置き去りにした。

 チュニジアは守備が堅く、日本はなかなか打開できない。だが逆に言えば大きなピンチもない。40分にカウンターを食いそうになったが、久保がしっかり戻って守備をした。彼はこの日、全2得点に絡んだ。

 先制点は前半43分だった。旗手が出したパスが敵に当たり、計ったように古橋のもとへボールが届いた。2人のDFに挟まれた古橋はワントラップし、落ち着いて右足インサイドでゴールに沈めた。

 2点目は後半24分だ。浅野からパスを受けた久保が左サイドをドリブルで進んでボックス左へ侵入し、マイナスのパスを出す。フリーで受けた伊東がワンタッチできっちり決めた。守っては90分間で相手にシュート1本しか許さず、危なげなく無失点で試合を終えた。これで日本は6連勝。敵が引いて守ってくるW杯アジア2次予選の予行演習を終えた。

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【チュニジア戦予想スタメン】現状の最強布陣で臨む

2023-10-17 07:54:59 | サッカー日本代表
左に旗手、久保はトップ下か?

 第2次森保ジャパンは、10月17日に行われるテストマッチでチュニジアと対戦する。ではスタメンはどうなるのだろうか? 

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      上田綺世

旗手怜央  久保建英  伊東純也


   守田英正   遠藤航


中山雄太 冨安健洋 板倉滉 菅原由勢

       鈴木彩艶

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 まずFWはまだ出場がない上田綺世で順当だろう。次にけが人続出の左サイドは、マルチな旗手で決まりだ。

 問題は右サイドから中央にかけてだが、久保を右サイドで使いトップ下で南野に再度チャンスを与えるテもある。だがここは最強布陣ということで伊東を右サイドに入れ、トップ下を久保にした。もしかしたら試合の途中で久保を右サイドに回すポジション替えもあるかもしれない。

 また中央の2CMFは鉄板の遠藤、守田で決まりだ。これで守田が一列前に上がれば4-1-4-1にもなる。

 一方、左SBは中山以外に本職がいないし、もう一度彼を見たいので中山を入れた。CBと右SBは鉄板の冨安と板倉、菅原で。GKは鈴木彩艶で決まりだ。ただし左SBに冨安を入れ、入れ替わりで左のCBに谷口を入れる組み方もある。さて、どうだろなるだろうか?

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【第2次森保ジャパン】カナダ戦で浅野が起こしたブレイクスルーとは?

2023-10-16 11:03:36 | サッカー日本代表
彼は自分のプレイスタイルをついに発見した

 浅野拓磨は従来、偶発的な一発はあるが「当然決めるところを決め切れない速いだけのFW」というイメージだった。

 だがカナダ戦ではプレイスタイルに一本筋が通り、自分はどうやるべきか? を発見したのだろうな、と感じた。

 森保監督が辛抱に辛抱を重ねて起用してきたのが結実した。28歳で迎えたブレイクスルーだ。

前線で基点になる機能を果たした

 彼のカナダ戦での収穫は、大きくは2つ。前からのプレッシングと、前線で基点になる機能を果たした点だ。しかもインテンシティが非常に高かった。

 前線において単独で敵からボールを奪い、味方の攻撃に繋げた出色のプレイのほか、縦パスを受けては展開し攻めの出発点になっていた。

 浅野のあれを「ポストプレイ」と呼ぶと大迫勇也に怒られそうなので「基点になる働き」と記述するに留めるが、いずれにしろ彼はひと皮むけた感じだ。自分の目指すべきところを見つけたのだろう。

 そんな彼が今回新たに搭載した機能は、持ち前のスピードによってより生きる。相乗効果を生む。

 ひと粒で2度も3度もおいしい「使える選手」へと伸びて行きそうだ。

 残る課題は、ひとつひとつのプレイを確実にしっかりやり切ること。堅実性とプレイ精度の向上だ。逆にいえばまだまだ伸びしろがある。

 楽しみである。

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【W杯アジア2次予選】国内組で臨むべきだ

2023-10-15 13:33:04 | サッカー日本代表
カナダ戦とチュニジア戦はその布石にすべきだった

 11月から始まるW杯アジア2次予選は「国内組で臨むべし」論がすでに何人かの識者から提言されている。だが、具現化する様子がない。

 森保ジャパンは、本気で遠路、海外組を招集するつもりなのだろうか?

 繰り返しになるが招集されるのはW杯本大会ではない。「アジア2次予選」だ。本当にそこへ海外組を全投入するのだろうか?

 欧州チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグなど過密日程のなか行われる今回のカナダ戦、チュニジア戦では国内組を招集し、W杯アジア2次予選への国内組参戦の布石を打つべきだった。

 そして代表国内組を本格的に立ち上げ、アジア2次予選へのレールを敷くべきだった。「Bチーム」の必要性は昔から言われてきたが、そのいい機会なのだ。新戦力の発掘や底上げになる。

 ちなみにカナダ戦で招集され、乱暴なチャージでケガを負わされた中村敬斗などは、この負傷のせいで所属チームの試合に出られなくなるのではたまったもんじゃないだろう。

 早い回復を祈りたい。

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【親善試合】クリーンシートで終えたいゲーム ~日本 4-1 カナダ

2023-10-14 11:02:46 | サッカー日本代表
「締まった試合」ではなかった

「日本は直近5試合全てで4点以上、計22ゴール」とハデな数字が踊った。だが6-0で勝った6月のエルサルバドル戦以降、完封なし。日本はゴールは取るが失点もするチーム状態が続いている。

 ライン設定が低くコンパクトではない。相手ボールへの寄せも甘い。点は取れたが緩い試合だった。中村敬斗が国際Aマッチデビューから4試合で4ゴールをあげる快挙を実現する一方、ゲームのほうは「締まった感じ」ではなかった。

 試合は開始2分に敵のクリアボールをボックス手前で田中碧が収めてゴールして以降、前半の日本は押される場面もあったが相手のオウンゴールと中村の得点による3点リードで折り返した。

 後半も立ち上がりに田中がこの日2ゴール目を取り、試合を決めた。だがゲーム終了間際にホイレットに一発を食らい1失点している。

4-3-3から4-2-3-1へ可変した

 この試合、日本は4-3-3(4-1-4-1)で入った。心臓部はアンカーが遠藤航、右インサイドハーフが南野拓実、左インサイドハーフは田中碧だった。一方、カナダは5-3-2だ。

 だが相手との噛み合わせが悪く、カナダは中盤に人数をかけてくる。そこで田中が自主的に一列降りて遠藤とフラットなダブルボランチになり、かたや南野が相手のアンカーを見るよう修正した。

 これで敵の3バックにはワントップの浅野拓磨と、右は伊東純也、左は中村敬斗の両ウイングが対応した。また後半に入ると立ち上がりから日本は守備時4-4-2のブロックを明確に作った。

 そして後半16分には遠藤に代えて伊藤敦樹を、中村に代えて旗手怜央を投入したが、この時点ではっきり4-2-3-1の形を取った。田中と伊藤敦の2ボランチだ。

 一方、バイエルン所属の左WBアルフォンソ・デイビスは速くて鋭い。そこで日本は右SBの毎熊晟矢と右ウイングの伊東がダブルチームで対応した。

課題は守備と試合運びだ

 収穫としてはやはり中村だろう。シュートの場面で彼は氷の心臓を持っていることが判明してきた。非常に冷静で精密機械のようだ。

 また田中の得点力や伊東の前への推進力と献身的な守備が光った。伊東は後半アディショナルタイムになっても前からプレスをかけていた。そのほか浅野はスピードに乗った突破と前線で基点になる機能を果たした。

 途中出場した旗手怜央は後半25分に、逆サイドの伊東に向けダイアゴナルなすばらしいサイドチェンジのボールを入れた。彼は守備でも相手によく寄せていた。いい選手だ。

 一方、日本の課題は守備とゲームの駆け引きだろう。日本は行く行かないの試合運びのところで終始、イケイケだった。もっと失点を防ぎながら、ボールをキープしてうまく時間を使うシーンもあっていいのではないか?

 そして唯一の失点シーンでは後半44分にジョナサン・ディビッドに左からクロスを入れられ、GK大迫敬介が弾いたものの、ホイレットに押し込まれた。こういう勝ち試合はクリーンシートで終えたい。今後のテーマだ。

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【カナダ戦のスタメンは?】久保が中心だ ~鉄板バージョン

2023-10-13 07:33:04 | サッカー日本代表
4-1-4-1と4-2-3-1の可変ならコレだ

 第2次森保ジャパンは、10月13日に新潟で行われるテストマッチでカナダ代表と対戦する。ではスタメンはどうなるのか? シミュレーションしてみた。

 森保監督は「4-1-4-1スタートだが、相手との噛み合わせも考え4-2-3-1との可変もある」という趣旨のコメントをしていたようだ。そこを考えると、メンバーと構成は以下のような感じになる。

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      上田綺世
中村敬斗        伊東純也
  旗手怜央     久保建英
       遠藤航
中山雄太 冨安健洋 板倉滉 毎熊晟矢

       鈴木彩艶
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 まず三笘薫がいない左ウイングの第一選択は中村敬斗だ。彼のチェックポイントは、(1)ゴールが取れるか?(2)90分間、消えずにプレイできるか?(3)守備はどの程度できるか? の3点だ。

 また右SBの第一候補は菅原由勢だが、彼の力はすでにわかっている。ゆえに毎熊がどれくらいできるか(攻撃面のよさは観たので特に守備面)を見たい。

 左インサイドハーフはボランチが本職の守田英正もあるが、旗手をまず確認したいというのがひとつ。加えて4-3-3(4-1-4-1)により慣れているであろう旗手のほうを第一選択とした。もちろん彼なら可変後のボランチも支障なくできるだろう。

 またGKは鈴木彩艶が観たいので彼を入れたが、GK小島亨介も足元がよくビルドアップを主導できるので魅力的だ。

 さて、これで4-2-3-1に変化するには、久保が中央にスライドしてトップ下を務め、旗手が一列下がって遠藤とダブルボランチを組む形になる。簡単な変化だ。

 また右インサイドハーフ(兼トップ下)は南野拓実もあるが、まずは久保で始めたい。例えばスタートは久保で、試合途中で伊東を下げて(伊東の力はすでにわかっているので)久保を右ウイングに入れ、トップ下(兼右インサイドハーフ)に南野を投入するパターンもある。

 これなら久保を右インサイドハーフとトップ下、右ウイングの3ポジションで観られる可能性が残り、ひと粒で三度おいしい。

 なお左SB中山雄太の攻守に渡るデキも重要なカギを握る。そこにも注視したい。

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【アジア大会・男子サッカー決勝】メンタルが勝負のゆくえを決めた ~U-22日本 1-2 U-24韓国

2023-10-08 08:26:20 | サッカー日本代表
若さゆえの揺らぎと変調

 現地10月7日に杭州アジア大会・男子サッカー決勝が行われ、U-22日本代表がU-24韓国代表と戦った。試合は1-2で日本は逆転負けを食らった。

 メンタルが試合を決めた一戦だった。

 立ち上がりの日本は積極的だった。開始2分にボックス左から攻め込んだ彼らは、ボランチの重見柾斗からパスを受けたFW内野航太郎が、インサイドキックでコースを冷静に狙いシュートを叩き込む。先制点だ。

 試合開始からしばらくの韓国はビルドアップがまるでできず、四苦八苦していた。日本のほうがビルドアップははるかにスムーズだった。

 前半の20分頃まで韓国は完全に機能不全だったのに対し、日本は何をやりたいかが明確だった。だが次第にこの構図が変わって行く。

危険なパスの連鎖が示した赤信号

 次第に韓国の重圧を感じたのか、日本は危険なパスを4回も続け、決定的な局面で危なくボールをロストしそうになる。この頃から崩れて行った感じだ。

 続く27分には、韓国が右からクロスを入れ、ドイツ1部シュツットガルトのFWチョン・ウヨンがヘディングで同点弾を決めた。1点取った韓国は、それまでの不安定さがまるでウソのように試合運びがスムーズになった。いまや別人だ。

 それに対し日本は逆に混乱し、ゲーム運びがおかしくなる。自分で作った罠に自分からハマり込んで行き、流れを失い自滅した。そんな印象だった。

 後半11分には、韓国に押し込まれてドリブルで持ち込まれ、ゴール前の混戦からMFチョ・ヨンウクに逆転ゴールを決められた。

 日本は前半で変調をきたした頃から、すっかり横パスとバックパスが多くなり積極性が消えた。これでは流れは変わりようがない。

 おそらくこの若い世代はメンタルに左右されやすいのだろう。

 立ち上がりに1点リードした状態で、押せ押せにして2点目を取り一気呵成に勝勢を決めてしまえばどうだったか? と残念に思うが、たらればでしかない。惜しい一戦だった。

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【サッカー代表メンバー発表】過密日程のなかこの「ベストメンバー」でいいのか?

2023-10-05 14:54:33 | サッカー日本代表
チームが出来上がるのが早すぎないか?

 日本サッカー協会(JFA)は10月4日、10月に行われる親善試合2試合へ向けた日本代表メンバー26人を発表した。ゲームは13日のカナダ戦、17日のチュニジア戦だ。

 さて代表メンバーはといえば、みなさんのご想像通りだ。もう当たり前すぎて名前を並べて書く気も起らない。メンバーを知らない方は上記のリンク先をみてほしい。

 で、本当はこの原稿も書く気がなかったのだが、たまたま気が向いたので1日遅れでペンを取った(じゃなくパソコンを立ち上げた)

 問題点は大きく2つある。

 第一に、ベストメンバーでの日本男子代表は、次のワールドカップまでまだ大分間があるというのにすでに出来上がりつつある。もはや完成が近い。

 このままのペースで行けば、いつぞやのワールドカップの時みたいに「チームが完成するのが早すぎた。で、本番で結果が出なかった」みたいにならないか? というのが第一点だ。

 それを防ぐためには、特に今回のタイミングの招集(理由は後述)ではJリーグの選手や若手を大幅動員し、レギュラー陣の疲弊を防ぐと同時に、新風を吹き込みマンネリを防ぐべきではなかったか? と感じる。

 そういう段階的な調整を適宜行ない、やがてワールドカップの本番を迎える、という段取りがベストではないかと考える。

CLとELで選手は大変だ

 第二点は、上で「理由は後述」と書いた問題だ。みなさんご存知の通り、目下、欧州チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの真っ最中だ。参加している各クラブとも、国内リーグと両大会での過密日程が大変で選手のやりくりに四苦八苦している。

 そんな折も折に日本代表を招集し、しかもド直球のベストメンバーを選ぶ必要があるのだろうか? 選手の疲弊に輪をかけるだけだと思うが、どうだろうか?

 私事で恐縮だが、ちなみに私は7月から8月にかけて女子ワールドカップを決勝まで全部観てハマり、レポートを逐次書いてからというもの、プレミアリーグとセリエA、ラ・リーガ、リーグ・アン、EURO2024予選、J1、そしてアジア大会、の合間にお次はチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグがやって来た。もう8月~9月の2か月間は毎日ゲームレポートで駄文を書き殴っている。

 いや好きでやってることだから人に文句は言えないが、それでも正直2か月間、毎日欠かさず試合観戦と原稿書きを続けると異常に疲れがたまる。もう体調管理がむずかしくなる。

 それを考えれば過密日程で試合をこなす選手たちはどんなに大変だろうか? と切実に考えてしまうのだ。もちろん私の疲れなど比較にならないだろう。

 そんな過密日程のなか、あのベタなベストメンバーで代表を組む意味がどこにあるのか?

 繰り返しになるが今回はJリーグの選手や若手選手を大幅動員し、新戦力の発掘を兼ねたローテーションを行うべきではなかったか?

 私はそう思う。

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【第19回アジア競技大会】パスでいなしてベスト4へ ~サッカー男子・準々決勝 U-22日本 2-1 U-24北朝鮮

2023-10-03 05:22:49 | サッカー日本代表
ファウルで威嚇してくる北朝鮮

 アジア大会でサッカー男子・U-22日本代表は10月1日、ベスト4進出をかけて準々決勝でU-24北朝鮮代表と対戦した。試合は2対1で日本が勝った。

 のっけから相手は平然とファウルで来る。ボールを保持した日本選手の足元を、凄い迫力で根こそぎ払うタックルを仕掛けてくる。

 敵は大きなサイドチェンジを織り交ぜた、ヴィッセル神戸みたいなサッカーだ。

 強度がまるで日本と違う。

 日本のインサイドキックは、「てん、てん、てん」とのんびりピッチをゆるく弾みながら転がる。「ズバン!」と来ない。なでしこジャパンと同じだが、例によってダメダメなインサイドキックだ。日本は細かい高度な技術はあるが、基本ができてない。

「これは難しいなぁ」と感じた。

 というのも日本が最終ラインからグラウンダーのボールをていねいに繋ごうとすると敵に引っかけられそうだが、かといって相手に気おされてロングボールの放り込み合いになれば敵の思うツボだ。

 日本はどう戦うのかな? と思って注視した。

 日本のフォーメーションは4-4-2だ。GKは藤田和輝。最終ラインは右から吉田真那斗、馬場晴也、山﨑大地、奥田勇斗が構える。CMFは谷内田哲平と松岡大起。右SHは松村優太、左SHは佐藤恵允が務める。2トップは内野航太郎と西川潤だ。

日本がグラウンダーのパスで攻める

 最初、日本は相手の迫力に飲まれ、接触プレーを怖がっている感じだったが次第に慣れた。そしてグラウンダーのパスを回し始めた。これが結論だ。

 要所、要所で北朝鮮のファウルまがいのプレーが来るが、なんとかそれを交わしながらパスを繋ぐ。

 一方、北朝鮮のシュートは、ことごとくバーの遥か上を超えて行く。彼らはフィジカルがあり、スピードとパワーは凄いが「それまかせ」のサッカーだ。なんだか懐かしい感じがした。

 前半が終わり、後半に入って51分だった。サイドチェンジのボールをボックス左で受けた佐藤が、マイナスの折り返しを入れる。受けた内野が合わせると、相手DFに当たってボールはそのままゴールに入った。日本の先制だ。

 これに対し北朝鮮は74分、ボックス内からの落としのボールを、キム・グクボムがペナルティアークの左からワンタッチで叩いた。豪快なショットがゴール左に決まる。同点だ。

 一方、日本は78分、スルーパスに飛び込んだ西川に北朝鮮GKがファウルしPKに。これを松村がゴール左に決めて2-1とした。そして日本の勝利だ。

 日本は10月4日に行われる準決勝で、イランを1-0で破った香港と対戦する。

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【第2次森保ジャパン】久保建英を「偽9番」でスタメン起用せよ

2023-09-18 05:00:11 | サッカー日本代表
彼は4つの大きな欠点を解消した

 まず結論から先にいえば、4つの大きな欠点を克服した久保建英をスタメンで使わないテなんてない。

 もともと久保は高い技術はあっても、オフ・ザ・ボールと守備、トランジション、献身性が大きな駄目ポイントだった(これは自ブログで過去に詳しく書いたのでここでは繰り返さない)。

 だからいくら技術はあっても、その程度の選手で終わるのだろうと考えていた。「子供のお遊戯」で終わるのだろう、と。ゆえに個人的には見切っていた。

 そもそも彼はボールを触るのが大好きな選手であり、逆にいえばボールを握ってこそ初めて輝く選手。典型的な、悪い意味での「ボールプレーヤー」だったからだ。

 もうひとつはフィリップ・トルシエがかつて言及していたが、例えば久保や三笘薫をベタ褒めする記事を作ってスターに祭り上げ、商業的利益を得ようとするメディア等を先兵として企画される「スターシステム」にホトホト嫌気がさした、というのもある。

 で、久保に関してはそんなふうに結論づけ、やがてスペインでの彼のゲームもいつしか観ることはなくなって行った。

9月シリーズの久保は「完全」だった

 だが久しぶりに第2次森保ジャパンの9月シリーズで久保のプレイを見てみると、驚いたことにその4つの大きな欠点がきれいに修正されているではないか。

 これで彼はすべてにおいてパーフェクトな選手になった。ならば、彼を使わないテなんてない。

 あのドイツ戦で2アシストして彼の独壇場になった最後の15分間と、トルコ戦で彼が見せた攻守におけるすべてのプレイ。特にトルコ戦では、かつての彼が決してやらなかった献身的なプレッシングが光っていた。またボールプレイはもちろんのことだ。

(ただしトルコ戦では消えている時間帯があった。だがそれもあのゲーム、彼は守備でかなり走っていたのでバテたのだろうと推察している)

 久保にはもう欠点らしき欠点はない。4つのウィークポイントを克服したために、9月シリーズでは持ち前の超絶的なテクニックをひときわ光らせていた。完全無欠だ。

パズルのピースが合わない代表チーム

 ただし第2次森保ジャパンの攻撃的なポジションを見ると、どこをどういじっても久保は余って漏れ出してしまう。右サイドで伊東純也を出さないのはありえないし、4-2-3-1のトップ下には鎌田大地がいる。

 もし鎌田をボランチに下げて遠藤航と組ませたとしても、今度は守田英正が余ってしまう。どうしても必ずパズルのピースが1つだけ合わないのだ。実にもったいない話である。

 ただし日本代表の攻撃的なポジションで、唯一、既存の戦力を「削ってもOK」な場所がある。それはフォワードだ。

(年齢を度外視した場合の)大迫勇也を除き、日本には真の意味で決定力のあるフォワードが1人もいない。「たった1人も」だ。その点、久保はゴールも取れる。シュートがうまい。ただし彼はフォワードじゃない。ならば久保を「偽9番」で使えばいい。

三笘や伊東も生きる久保の偽9番

 必要なときには、偽9番の久保が中盤に降りてきて組み立てにも絡む。中盤に下がる久保に合わせて敵の守備陣が最終ラインを上げてきたら、そのぶん三笘と伊東が前に飛び込むスペースができる。

 偽9番戦術は、三笘を左であえて孤立させて1対1をさせるアイソレーションとも相性がいい。

 これで攻撃的なポジションはすべてドンピシャ、帳尻が合う。

 おそらく戦術的・知能指数が高い久保なら、パッと偽9番に放り込んでもすぐにできるのではないか?(いやもちろん代表でのトレーニングもあるし)。彼の攻守に渡る特徴を考えれば考えるほど、いまや偽9番に必要な要素をすべて兼ね備えているように見える。

 久保は第二の「メッシ」になれる。しかも守備をするメッシだ。

 いや彼の年齢を考えれば、上回ることも可能かもしれない。森保監督が「日本はW杯で優勝を狙う」と言うのだから、「久保建英はメッシ超えを狙う」と言っても別にいいではないか。

 おまけにプレッシングという、以前はもってなかった要素を新たに備えた彼を使えば、ボールを保持する敵の最終ラインを前からハメて、ボールを前線で絡め取ることも可能になる。

 これでフォワードという日本の大きな「穴」は埋まる。久保という偽9番にぴったりのピースを当てはめれば、完全なパズルが完成するだろう。

 どこからでも点が取れる代表チームの出来上がりだ。

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【第2次森保ジャパン】日本の「穴」は左SBとFWだ

2023-09-14 13:03:24 | サッカー日本代表
人呼んで「デスノートの森保」

 ハンジ・フリック氏が監督解任されたドイツに続き、日本に負けたトルコでも代表監督解任を求める騒動が起きている。

 森保監督は次々に同業者を廃業に追いやり、自らの転職場所を確保することに余念がないようだ。

 おかげで森保監督が試合中にメモを取る行為は、海外では「デスノート」と呼ばれているらしい。

 さて、そんな強豪撃破が続く第2次森保ジャパン。トルコ戦では控え組も爆発し、「2チーム作れる」とも言われている。だが、決定的なアキレス腱がある。それは左サイドバックとフォワードだ。

左SB伊藤洋輝は間接的に失点の原因になった

 まず左SBの伊藤洋輝は今回の9月シリーズあたりではずいぶん健闘するようになったが、それでも見ていると個人的には不安でたまらない。第一に本人がゲーム中に不安そうな様子をしているように見える。

 実際、ドイツ戦では間接的に失点の原因にもなった。

 前半19分。左IHのギュンドアンが右IHヴィルツへ斜めのパスを繋ぎ、ヴィルツはペナルティアーク辺りに侵入した。このとき守備時4-4-2のフォーメーションを取っていた日本は、左SBの伊藤洋輝が中へ絞った。自然な動きだ。

 このため(日本から見て)左サイドにスペースが空き、最後はゴールエリア角から右WGサネにフリーでゴール左にシュートを決められた。

 もちろんこれはシステムの構造上の問題でもある。

 ピッチの左右横幅を4バックでカバーする以上、サイドには必然的にスペースができる。その上この失点時にはドイツの攻めを受けて中央へ絞ったためにサイドのスペースがさらに大きくなり、サネにフリーでやられた。

 ただ伊藤洋輝が間接的に関与していたことは事実だ。

 この現象を見て森保監督は、後半にフォーメーションを5-4-1に変えて横幅を5バックで埋める対策を取った。

伊藤洋輝は本来CBの選手だ

 伊藤洋輝は右SBの菅原由勢のように軽快でもないし速くもない。サイドを駆け上がるプレイを得意としているわけでもない。正確なロングパスはあるが、総じて攻撃性能は低い。

 むしろ伊藤は自分の重さをプレー強度に代え、ガッチリ守備をするタイプだ。やはり彼はセンターバックの選手である。

 傍から見ているとむしろ気の毒に見える。適性はCBなのに不得意なSBで使われ、今回のように意に反して失点に関与してしまう。個人的には、もうSBという呪縛を解いてやり、適性のあるCBとしてポジション争いさせてやりたい。

 ただ、そうなると「じゃあ左SBは誰が適任なのか?」という難題が待ち受けているわけであるが。個人的には、森下龍矢(名古屋グランパス)はまだそのレベルに達してないように思う。インテンシティが足りない。

 中山雄太(ハダースフィールド・タウン)も世評は高いが、個人的には「うーん……」というところ。バングーナガンデ佳史扶(FC東京)は代表で見て「将来性があるな」とは思ったが……結局は旗手怜央(セルティック)ということになるのだろうか。

FW上田綺世は評価が上がったが……

 一方、フォワードに関しては、巷間、ドイツ戦で1ゴールを上げた上田綺世の評価が高まっている。前で起点になる動きやポストプレイ、裏抜けなど、マルチなタイプのFWだとは思う。

 実際、あのドイツ戦を観るまでは、私はFWのなかでは上田をいちばん認めていた。だがドイツ戦を目の当たりにして、世間の評価とはまったく逆に失望した。

 確かに上田は1ゴール上げたが、あの試合、彼はまちがいなく「あと2点」取れる場面があった。もちろんマルチな能力があるのはわかっているが、彼の本業は点を取ることだ。

 ストライカーなら、あのゲームでは確実に3ゴール取っていなければならない。もしこれがアーリング・ハーランドやキリアン・エムバペなら、確実に3点取っていたはずだ。個人的にはガクゼンとし、深い失望感に包まれた。

 ああ、彼もまた「日本人FW」の典型だったのか? いかにも日本人らしく「ああ、惜しかったよなぁ」で終わる選手なのか?

 この絶望感は深い。

典型的な「日本人FW像」に当てはまる

 上田のプレイを初めて見たときの衝撃は大きかった。「こんなFWが日本にいたのか?」。おそらく彼を初めて目の当たりにした人は、みんなそう思うのではないか?

 で、私も彼に期待してきた。

 だがその後、いま現在のプレイを観ても、あのときから成長しているようには見えないのだ。

 もちろん過去も現在もレベルは高い。「あのとき」と今とを並べて見れば、「ここがこう変わった」という要素はあるのだろう。(ただ個人的にはドイツ戦のポストプレイがよかった、とは思わない。大迫勇也とくらべれば月とスッポンだ)

 だが現在だけを観ていると、特に変わったようには感じない。相変わらず決定的なゴールを逃し続けている。

 彼は能力が図抜けているだけに絶対的な場面を作れる。であるがゆえに相変わらずそのチャンスを逃し続け、「ああ、惜しかったなぁ」とくやしがる典型的な「日本人フォワード像」に当てはまってしまっている。

 ことほど左様に、日本には決められるFWがいない。年齢を度外視した場合の大迫を除いては、だ。もし日本が「ワールドカップで優勝するぞ」というなら、いの一番に必要なのは決定力のあるフォワードだろう。

 森保ジャパンの「穴」は、左SBとFWである。

 早急な対策が求められる。

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【第2次森保ジャパン】中村敬斗が圧巻の2G、彼は顔がイイだけじゃなかった ~日本 4-2 トルコ

2023-09-13 10:59:36 | サッカー日本代表
少ないタッチ数のパスワークが冴える

 森保ジャパンは9月12日にベルギーのヘンクで行なわれたキリンチャレンジカップで、トルコ代表と対戦した。MF中村敬斗の2ゴールなどで4-2と日本が大勝した。日本は控え組だったが少ないタッチ数でテクニカルにパスを繋ぎ、トルコ・ゴールを次々に陥れた。4ゴールのほか、久保建英と古橋亨梧にポストを叩いた惜しいシュートが1本づつあった。

 なかでもトップ下に入った久保は鮮やかなパスとドリブル、精力的なプレッシングでチームに貢献した。ただ消えている時間があったのは課題だが。

 この日の日本はいつもとちがい、強くて速いグラウンダーのボールを2タッチ以内で丁寧に繋いで最終ラインからビルドアップする意図が感じられた。これは劇的なトランジションとショートカウンター志向に偏る、いつものレギュラー組にはない趣向だ。部分的にでもポゼッションスタイルを取り入れようとする森保監督の新しいトライなのだろう。

 日本のFIFAランキングは20位。一方のトルコはFIFAランキング41位だが、現在行われているEURO2024予選のグループDで勝ち点10を積み上げ2位につけている中堅国だ。彼らは2002年の日韓W杯で3位に入って以来、W杯には出場していない。

 ただしタレントは豊富だ。インテルに所属する攻撃的MFハカン・チャルハノールやベンフィカでプレーするMFオルクン・コクチュ、ドルトムント所属のMFサリフ・エズジャン、A・マドリーのチャグラル・ソユンク、ホッフェンハイム所属のDFオザン・カバクなど枚挙にいとまがない。ただし今日のスタメンは控え組だが。

 さて日本は9日の衝撃のドイツ戦からスタメンを10人変えてきた。今日はサブ組がどこまでやるか? が見られる貴重なテストマッチだ。結論から先に言えば、特に伊藤敦樹(浦和レッズ)と中村敬斗(スタッド・ランス)、毎熊晟矢(セレッソ大阪)には驚かされた。

 日本のフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKが中村航輔。最終ラインは右から毎熊晟矢、谷口彰悟、町田浩樹、伊藤洋輝が構える。CMFは伊藤敦樹と田中碧。2列目は右から堂安律、久保、中村敬斗。ワントップは古橋だ。

 対するトルコのフォーメーションは4-1-2-3である。

伊藤敦樹が痛烈な先制弾を放つ

 試合が始まっていきなりの前半15分だった。MF伊藤敦樹が右サイドからドリブルで切れ込み、ボックス内の堂安とワンツーをかまして左足を振る。ゴール右上スミに目の覚めるような代表初ゴールを叩き込んだ。ボールはゴール目がけて一直線に弾けるように飛んだ。新顔からいきなりのプレゼントだ。

 トルコはなかなかプレスが厳しいチームだ。だが日本もトップ下の久保を中心に積極的にプレスしている。特に久保はいまやすっかり、かつては足りなかった献身性を身につけており、しつこく敵の足元に圧力をかけ続ける。すばらしい。

 19分。その久保が中央をドリブルで持ち上がり、古橋亨梧にラストパス。古橋はシュートを打つが決まらず。彼に関してはこのときイヤな予感がしたが、のちに的中してしまった。

 続く25分。久保が右から中へドリブルでカットインし、ダイアゴナルランした堂安にスルーパスを出すが合わず。ただ、日本は初顔合わせながら、なかなかテクニカルなパスワークを見せている。いきなりのサブ組の実戦なのでどうなることか? と思っていたが、まったくの杞憂に終わった。いつものスタメン組に劣らない魅力がある。

中村敬斗がゴラッソを決める

 さてこの日の主役がゴールを決めたのが28分だった。久保がボックス手前の中央からシュートし、GKが胸の中心で両手を使って弾いたこぼれ球に合わせて中村敬斗がゴラッソを決めた。

 これで伊藤敦樹と右SB毎熊晟矢をワンプレーづつ見たが、彼らは地を這うようなパスを出している。特に伊藤敦樹は腰の入ったいいインサイドキックを持っている。毎熊も非常によく、これなら右SBは菅原と合わせて安泰だ。

 さて36分、その毎熊が起点になった。彼はボール奪取から右サイドをドリブルし、果敢にボックス内へ侵入する。そしてきれいに折り返す。これに合わせた中村敬斗が右足で敵の股を抜き、この日2ゴール目を叩き出した。

 中村はシュートがうまい。決してふかさず、きれいに抑えてコースを狙って決めている。ただし彼は消えている時間も長い。所属のスタッド・ランスでもそうだ。フォワードもできる彼は、「(けっこう消えているが)ここぞの場面で一発を決めるストライカー役」の方が向いているのかもしれない。

 日本、トルコ双方とも守備時4-4-2でプレーしている。と、左SBのあの伊藤洋輝がなんと敵陣に攻め上がっているぞ、と思った瞬間にオフサイドになった(笑)

 トルコが反撃の牙をむいたのが44分だった。彼らは左ボックス角手前でFKを得る。キッカーの左IHコクチュがゴール前のファーに入れたボールを右SBミュルドゥルがヘッドで折り返し、GK中村航輔が弾いたボールをCBカバクが詰めた。3-1だ。このときの接触でGK中村が肩を強く打ち、シュミット・ダニエルと交代した。

途中出場の伊東純也がPKを決め突き放す

 日本は後半の立ち上がりから堂安に代えて伊東純也、中村に代えて前田大然、毎熊に代えて橋岡大樹を投入してきた。トルコもスター選手のチャルハノールを入れる。

 前田はさすがのプレッシングだ。強力で圧がある。彼はボールに強く行くよう、本能がカラダを動かしてるんだろうな、という印象だ。

 今日のメンバーはボールのタッチ数が少なく、いい感じだ。CMFの伊藤敦樹は最終ラインのカバーリングも怠らず、好プレーを続けている。彼は遠藤&守田に替わる重要なオプションになりそうだ。毎熊も攻撃面で光るセンスがある。

 だがそんな後半16分にトルコが追撃の火の手をあげる。パスを受けた途中出場のFWユンデルがボックス左からマイナスの折り返しを入れ、谷口と町田に当たりコースが変わったボールをFWユルドゥルムが押し込んだ。3-2。1点差だ。

 これに対し古橋は3度目のシュートチャンスがあったが決められず。彼はライン裏に抜ける動きや動き直しを献身的に続けておりすばらしいのだが、実らない。なんとか彼を爆発させるテはないものか?

 後半18分、日本は伊藤敦樹に代えてCMF遠藤航を投入した。トルコが一軍クラスを投入する何人かのメンバーチェンジのあと盛り返し、今やすっかり彼らのゲームになっている。縦横にパスを回され、圧をかけられている。

 そんな30分だった。伊東純也がドリブルでボックス内に侵入し、ファウルを受けPKになる。伊東自身がキッカーを務め、ゴール右スミに落ち着いて決めた。4-2だ。続く34分には町田に代えてCB冨安健洋を投入する。試合の締め役だろう。そしてゲームセット。日本は追いすがるトルコを突き放した。

荒削り上等、そのぶん将来性がある

 新しいメンバーを何人も見られた点で実り多い試合だった。急ごしらえなのでチームとしての連携は当然、機能しないのが当たり前だ。特にいつも一緒に何試合も実戦を積み上げてきているレギュラー組とくらべて、四の五の言うのは論外だろう。個人的には、それよりむしろそれぞれを「個」として見た。光るものはあった。

 彼らはもちろん甘さもあるが、ふだん代表戦に出てない控え組の彼らにあまり厳しいことを言う気がしない。むしろ個として見るべきものがあるぶん、なでしこジャパンと同様、伸び代が大きいと感じる。将来が楽しみだ。

 森保監督が言うように、なんだか「W杯優勝を目指そうかな?」というおおらかな気分になってきた。

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【第2次森保ジャパン】ドイツに勝って浮かれるな、トルコ戦でまだまだやるべきことはある

2023-09-12 05:07:05 | サッカー日本代表
ドイツは技術や戦術以前の問題だった

 9月9日の親善試合で日本がドイツに勝ち、すっかり楽観ムードが漂っている。

 ヤフコメなんか見ていると「これでフランスやアルゼンチンも日本と試合をやりたがるんじゃないか?」なんてコメントもあったが、日本人は勘違いしちゃいけない。

 あの日本が勝ったドイツは、はっきり言って技術や戦術以前の問題だった。あきらかに何らかの要因でチームがすでに壊れており、だから日本と戦う前から負けていた。

 個々の局面を観ても、無気力なプレーだらけだ。例えばドイツのゴール前で田中碧が2人のDFに挟まれているのに、ドイツのDF陣はまったく競ろうとしなかった。完全なボールウォッチャーになっていた。で、田中にゴールされた。

 またアントニオ・リュディガーにしてもそうだ。自分の目の前でMFゴセンスが久保にボールを奪われるのを見ても、真剣に久保を追わなかった。で、ドイツは失点した。

 競るべきボールを競らない、追うべき敵を追わない。ないないづくしで、ぜんぜん代表レベルのサッカーになっていなかった。

 あんなチームに勝って「日本は強くなった」なんてカン違いしちゃいけない。

 もっとストイックにならなきゃダメだ。

日本にも課題は山とある

 あのドイツだから勝てたが、日本にも課題はある。

 森保監督は「ボール保持率を少しでも上げる必要がある」とコメントしていたが、あの試合の日本のポゼッション率は37%だった。ぜんぜん目標には到達していない。

 正確には「保持率を上げる」というより、「(カウンター攻撃だけでなく)ポゼッションスタイルでもプレーできる時間をもっと長くしたい」という意味だと思うが、あの試合で日本にポゼッションスタイルなんてカケラもなかった。日本の攻めは基本、切れ味鋭い劇的なカウンターだった。

 いや個人的には、日本はショートカウンター主体でいいと思っている。

 ただ確かにカタールW杯のコスタリカ戦みたいに、相手にボールを持たされて「何をやればいいかわからなくなる」なんてことになったらマズい。

 特にW杯のアジア予選で弱小国との試合になれば、必然的にコスタリカ戦みたいな状況になる。相手は自陣に引いて構えて、日本はボールを「持たされる」。その意味ではあくまで相手との相性で、ポゼッションもできるようになっておいたほうがいいとは思う。

 ドイツ戦からメンバーを大幅に入れ替え、ついに久保建英にスタメンが回ってきそうな本日12日のトルコ戦ではそこがどう出るか? 大きなポイントだ。

5-4-1の問題点も修正すべきだ

 一方、ドイツ戦の後半からはシステムを5-4-1に変えた。あれも一長一短だった。

 あのドイツ戦の前半19分。サネに決められた同点弾の場面では、試合に4バックで入った日本は相手の攻めを受けて中央に絞ったために、サイドにできたスペースを突かれた。

 その点、確かに5バックにすると横幅は埋められる。だがどうしても構造上の問題もあり、最終ラインがズルズルと低くなりすぎてゾーンが間延びしていた。

 5-4-1時の問題は過去にもあったが、そこも修正すべき点だろう。もっとコンパクトにやりたい。

 5-4-1は日本の切り札ともいえるシステムだけに、もしまた使うとすればトルコ戦ではそこが改善されているかどうかも大きなポイントだ。

最終ラインからビルドアップしたい

 最後のひとつは、日本に残された宿題だ。

 森保監督が「ボール保持する時間を少しでも長くしたい」「一定の時間帯だけでもポゼッションスタイルでやらなければ」「なぜなら格下と戦うW杯のアジア予選では必ず必要になるから」と考えているのなら、最終ラインからのビルドアップは不可欠だ。

 トルコ戦ではGKを起点として、後方からグラウンダーのボールをていねいに繋いで攻めを立ち上げることにトライしたい。

 別に偽SBなどやらなくてもビルドアップはできる(もちろんやってもいいが)。カギは縦方向に、できれば複数のパスコースを同時に作ることだ。そうすれば敵にAコースを対応されても、Bコースが残る。

 またグラウンダーのパスでなくても、ドイツ戦で2度やったような対角のサイドチェンジの長い浮き球を入れるのでもいい。あれはナイスだった。

 もしパスコースがなければ、いったんバックパスして組み立て直すのでもいい。個人的にはバックパスはあまり使いたくないが、そこで単純にロングボールを放り込むのではビルドアップの練習にならない。

 カンタンにあきらめず、常に縦や斜めのパスコースを作ること、そのために数歩でも動き直すことを心がけたい。

 まだまだ日本がやるべきことは多い。

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【国際親善試合】日本がドイツの息の根を止めた 〜日本 4-1 ドイツ

2023-09-11 04:56:56 | サッカー日本代表
前半の2ゴールでドイツ人の心は我が家に帰った

 日本はドイツに招待され、9月9日にドイツ・ヴォルフスブルクのフォルクスワーゲン・アレナでドイツ代表と対戦した。MF伊東純也のゴールなどで日本が4-1と圧勝した。カタールW杯で日本に負けた仇を打とうと自らセットした親善試合で、ドイツは見事に返り討ちにあった。

 選手別では、伊東純也とSB菅原由勢が織りなす右サイドの鋭さがひときわ目を引いた。特に何度も決定的な縦へのスプリントを繰り返した菅原は、完全にこれでレギュラーをつかんだだろう。彼は速いし、まるで忍者のように機敏だ。インテンシティも高い。

 日本が瀕死のドイツの息の根を止めた。ホストのホームで日本人による圧巻のゴールショーと、戦術的駆け引きが刻々と演じられた。カタールW杯後のテストマッチで負けが込み、国内でハンジ・フリック監督の解任論が吹き荒れるドイツ人たちには酷だっただろう。

 日本は4-2-3-1で試合に入った。そして前半11分に伊東が角度のないところから先制ゴールを上げる。同22分にもFW上田綺世がゴール。2-1でリードして後半に入り、日本は守備時5-4-1にフォーメーションを変えた。守備ブロックを厚くしドイツをシャットダウンしに行ったのだ。5枚で守る形に変えてからも2ゴールを加点し突き放した。非の打ち所がない日本の完勝だった。

対角のロングフィードが敵をえぐった

 テストマッチでずっと連敗が続くドイツは、これまで3バックを試すなどフォーメーションを二転三転させていたようだ。この日の彼らは4-1-2-3で来た。MFもできるキミッヒが右SBに入り、一列上がって中に絞り偽SB化するのが彼らのミソだ。だがそんな小細工は、日本の勢いの前に木っ端微塵に打ち砕かれた。

 日本は最終ラインを高く設定して試合に臨んだが、すぐ自陣に押し込まれた。だがその後、押し返す。そしてフィールドを大きく斜めに横切る対角のロングフィードを2度うまく駆使してドイツを揺さぶる。ピッチを広く使って相手を横に広げた。

 縦に疾走する右SBの菅原が非常によく機能し、右サイドを使って前半の早い時間に2点を奪い優位を築いた。これでドイツの焦りを誘い、スコア上もメンタル的にも相手を見下ろす立場に立った。おそらくこのときドイツ人たちの脳裏には、カタールW杯後の直近のテストマッチで1分3敗と散々なデキで国民から総スカンを食っている自分たちの境遇がよぎったことだろう。

 とすれば前半に奪った日本の2点で、実質この日はゲームが終わっていたのかもしれない。

 日本のフォーメーションは4-2-3-1だ。GKは大迫敬介。最終ラインには右から菅原由勢、板倉滉、冨安健洋、伊藤洋輝が構える。2CMFは遠藤航と守田英正。2列目は右から伊東純也、鎌田大地、三笘薫が並ぶ。ワントップは上田綺世である。

伊東が瞬殺の1ゴール目を上げる

 4バックのドイツは2CBがかなり開き、両SBを前に押し出してビルドアップする。試合の立ち上がり、日本は自陣に押し込まれ、前半2分には彼らのセットプレーを食ったが不発に終わる。だがその1分後にはすぐドイツのCKと畳みかけてくる。そんな彼らの第一弾の攻撃が終わり、日本は敵を押し戻した。

 さあ、ここからは日本の時間だ。

 右の低い位置に下がった遠藤航が右SB菅原に寄ってやってボールを受け、対角のすばらしいロングフィードを逆サイドの三笘に入れる。2人のマーカーに縦をふさがれた三笘は右へと切り込み、ボールを失う。

 だがそれが幸いする。前半11分の先制点につながるのだ。このときの三笘のボールロストから、ドイツは縦にボールをクリアした。これを左でひろった冨安が、ワンタッチで美しい対角の長い浮き球のパスを右サイドにいた鎌田に渡す。

 鎌田は右サイドに開いた菅原にパス。菅原はサイドを短く駆け上がり左SBシュロッターベックをかわした。そしてゴールライン際から右足で目にも止まらぬ強くて速いクロスを低く入れた。

 するとCBリュディガーの前に入りこんだニアの伊東が、足を伸ばしてワンタッチでコースを変えて瞬時にゴールへ流し込んだ。動きが速すぎて一瞬、何が起ったのかわからなかった。だが1-0。先制なのだ。

日本のコレクティブ・カウンターが炸裂する

 このあと双方とも最終ラインを上げ、非常にコンパクトなゾーンの中に両軍がすっぽりとおさまっている。その均衡を破ったのは伊東だった。縦パスに裏抜けし、右サイドを駆け上がって右足を強振した。だがこれはGKテア・シュテーゲンが正面で弾いた。

 ドイツもまだ元気だ。ラインを押し上げハーフコートマッチ化させた前半19分。左IHのギュンドアンが右IHヴィルツへ斜めのパスを繋ぎ、ヴィルツはペナルティアーク内から右斜め前へパスを出す。最後は右のゴールエリア角から右WGサネが左足でゴール左に押し込んだ。同点弾だ。

 だが日本はすぐ22分に突き放す。右サイドで伊東がためて時間を使ってから鎌田に預けた。次にボールはサイドを駆け上がる菅原に渡る。菅原は右サイドの敵陣深くから鋭いクロスを入れた。ニアの伊東がインサイドで合わせて流し、これに上田が反応し左足でゴール右下へ押し込んだ。2-1。勝ち越し弾だ。

 その後ドイツがラインを押し上げ、またもハーフコートマッチ化を企む。彼らはハーフウェイライン上に最終ラインを設定し、ポゼッションして押し込んでくる。日本はその攻撃を平然と受けながら、反撃の機会をうかがい幾度となく敵陣にカウンターを繰り出す。そんな虚々実々の駆け引きが前半いっぱい続いた。

 ドイツが攻めるときはハーフコートマッチの押し込み。日本が反発するときは、そこから組織的に何人もが縦パスを繋ぎ倒す速いコレクティブ・カウンターだ。両者とも、そんな「自分たちのサッカー」を繰り返した。

金持ちケンカせず、後半の日本は5-4-1で守った

 後半の頭から日本は5-4-1でコンパクトに守った。これでしばらく守備をする時間が続く。そして後半14分。上田に代えて浅野拓磨、鎌田に代えて谷口彰悟を投入した。冨安の守備は非常に利いている。

 このあとドイツが気のないパスをダラダラ繋ぎ、日本がひたすらミドル・サード〜ディフェンディング・サードでブロック守備する展開が続く。金持ち喧嘩せず、か? ドイツはミスが多い上に、爆発的なスプリントがない。ボールスピードも遅い。絶不調のチーム状況がうかがえる。彼らはなかなか日本の守備ブロックを崩せない。

 そんなか伊東が二度追いし、ものすごい距離を走ってカバーリングしている。久保建英は同じ右サイドの伊東の牙城は崩せないだろう。久保にはあんな執念の二度追い、三度追いはできない。そもそもインテンシティの高さが段違いだ。30分、守田と伊東純也に代え、久保と田中碧を投入した。続いて39分、三苫に代えて堂安律、菅原に代えて橋岡大樹を投入する。

 かくて45分。日本がブロックを作って自陣にいるなか、途中出場のゴセンスからボールを奪った久保が広大なスペースを1人でボールを持って飛び出した。久保はドリブルでGKをギリギリ引き付けてから、からかうように横についたどフリーの浅野にパス。浅野が無人のゴールに簡単に決めた。3-1だ。カタールW杯を思い出すハメになったドイツ人にとっては「恐怖のアサノ」がまたゴールした。彼らのトラウマは深い。

 続く47分。またも久保がドリブルでボールを持ち上がり、右サイドの敵陣深くからクロスを入れた。DF2枚の間で完全にフリーになっていた田中碧が、ヘッドでゴール左スミに叩き込んだ。4-1である。あんなゴール前で田中がどフリー。ドイツのDF陣は完全にボールウォッチャーになっていた。久保はたった15分の間に2アシストして見せた。そしてゲームセットだ。

「押し込む」=「優勢だ」はもう古い

 日本は古来からある「押し込む」という勝ち方ではなく、ふところにナイフを隠し持ち相手の攻めを柳のようにしなって受けては機を見て縦に速いカウンターを見舞った。このとき敵の背後にはたっぷりスペースがある。力をためた日本の狙いはそこだ。これが日本のスタイルであり、勝ち方なのだ。

 日本のポゼッション率は37%だった。これに対し負けたドイツは63%だ。いったい「日本はボール保持率をもっと上げた方がいい」などという必要が、どこにあるのだろうか? これが彼らの流儀なのだ。このやり方で現にドイツに圧勝している。

 そろそろメディアは「押し込む」=「優勢だ」のようなカビの生えた古い概念を変えた方がいい。まあ後半の5-4-1時には下がりすぎてちょっと間延びしたが、そこは今後の課題だろう。

 さて日本を本国へ招待してまで、カタールW杯敗北の借りを返そうとしたドイツの野望は打ち砕かれた。試合後、おそらくハンジ・フリック監督は、ひとり静かにトイレで首を洗っていたに違いない。

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【第2次森保ジャパン】超本気のドイツと対戦できる「意味」とは?

2023-09-09 05:01:05 | サッカー日本代表
強豪ドイツ相手に日本のチェックポイントを試せる

 サッカー日本代表は9月9日(土)27:45(日本時間10日の早朝3:45)に、ドイツ・ヴォルフスブルクのフォルクスワーゲンアレナで国際親善試合を行ない、ドイツ代表と対戦する。ドイツはその3日後に、フランスともテストマッチを戦う予定だ。

 この日本とのテストマッチは対戦前から、いろんな意味で「いわくつき」になっている。ひとつはかつての帝王・ドイツ代表の凋落に原因がある。

 2014年ブラジルW杯の覇者であるドイツは、直近のW杯をなんと2大会連続でグループリーグ敗退している。かつての「あのドイツ」というイメージからはありえない事態だ。しかも直近のカタールW杯グループリーグでもドイツは日本に負けている。

 つまり今回の日本とのテストマッチは、彼らにとってもう絶対に負けられない「かたき討ち」という位置づけなのだ。

いまのドイツは監督の首がかかった非常事態下にある

 だがドイツの最近の成績はまったく冴えない。例えば今年3月の代表ウィークではまずペルーに2-0で勝ったものの、続くベルギーには2-3の敗戦。一方、6月の代表ウィーク3試合でも、ウクライナとは3-3で引き分け、ポーランドに0-1、コロンビアに0-2で敗れている。

 結局、6月は勝ちがなかった。トータルではなんと1勝1分3敗と悲惨だ。

 これにドイツ国内では批判が渦巻き、議論百出。当然、指揮官を務めるハンジ・フリック監督への風当たりも相当強くなっている。

 しかも間の悪いことに、彼らは来夏のEURO2024(欧州選手権)の開催国なのだ。3月と6月のテストマッチで勝ち続け、EUROへのムードをいやが上にも盛り上げよう、という彼らの目論見は木っ端みじんに粉砕されてしまった。

 巷間、この9月の2連戦でまた連敗でもすれば、ハンジ・フリック監督の首が飛ぶと言われている。いや、日本に負けた時点でもうすでに危ないかもしれない。

 今回の日本とのテストマッチは、そんな非常事態下で行われる試合なのだ。日本にとっては、もうこれ以上負けられない超本気のドイツ代表と腕試しできる願ってもない値千金の貴重な機会になる。

強化が順調な日本はドイツ相手に勝負になるか?

 対する日本代表は、順調そのものだ。今年の6月シリーズでテストマッチを戦ったエルサルバドル戦(6-0)、ペルー戦(4-1)に余裕で連勝している。アタッカー陣がまんべんなくゴールを決めた。

 しかも日本はただ点が取れただけじゃない。ポゼッションとカウンターのバランスがうまく取れるようになり、グンとチームの完成度が増してきた。

 しかも偽SBを初体験した3月シリーズではビルドアップに四苦八苦したが、6月シリーズではまるで別人のようにビルドアップが改善した。非常にスムーズだった。

 ただ一点、疑念は「対戦相手の実力」だった。相手が弱いからできた、ではダメだ。で、私はペルー戦直後のレビュー記事にこう書いた。

「日本はゴールの場面だけに限定すれば得点力は上がっているように見えるが、肝心の強い相手とやったときにどうか? が見たい」

 で、今回はまさにその待望の強い相手とやれるのだ。しかも手負いでもう後がない、超本気の必死なドイツ代表と対戦できる。さて日本の得点力は、本当に上がっているのだろうか?

日本のチェックポイントは大きく3つだ

 強敵ドイツを相手にトライが成功すれば、もうそれは本物だ。その意味では、いい目安になる。日本のチェックポイントは大きく3つある。上に書いたビルドアップとポゼッション、カウンター、それぞれのデキだ。

 加えて枝葉の要素として、ロストボール時の対応や相手のビルドアップに対する挙動、またトランジション(攻守の切り替え)時の日本のふるまいも要チェックだ。

 まず日本のフォーメーションは4-2-3-1をスタートに可変する。そのなかで日本はドイツ相手にいかにスムーズに自陣からビルドアップし、厳しいプレスを受けながら中盤で危なげなくポゼッションできるか? 「ボール保持をふやす」と森保監督は明言しているだけにここは注目だ。

 そしてそのときもしボールを失ったら、日本はどんな挙動をするのか? 下がらずその場でカウンタープレスをかけるか? それともリトリートからのブロック守備なのか? ここもポイントだ。

 一方、ドイツも4-2-3-1のミラーゲームになることが予想され、キミッヒが右SBに入り頻繁に中盤に上がる形になりそう。最終ラインは3枚に可変する。さて日本はどう対応するのか? 注目だ。

 対する日本は最終ラインをどこに設定するのか? 高く構えて前から行くのか? それとも大事をとって低くするのか? ここもゲーム展開を大きく左右する重要な要素といえる。

日本はマンツーマンで前からハメに行く?

 そして今度は日本が守備に転じたとき、ネガティブトランジション(攻→守の切り替え)時に敵の最終ラインからのビルドアップにどう対応するのか? 例えば前からマンツーマンで複数の選手がハメに行き、ボールを絡め取る積極的な「前方対応」か?

 そしてその挙動は素早くスムーズに行われるか?

 あるいは逆に、ボールロストと同時にミドルサードかディフェンディングサードまでリトリートして組織的守備をする「後方対応」を取るのか?

 また日本がボールを奪った瞬間の反応も見ものだ。奪ったのがアタッキングサードやミドルサードなら、ポジティブトランジション(守→攻への切り替え)時に瞬時に間を置かず、縦に速いカウンターを打てるか?

 逆に奪ったのがディフェンディングサードなら、そこからどうするのか。

 ドイツの厳しいフォアチェックを搔い潜りながら、日本は最終ラインからパスを繋いでていねいにビルドアップし、敵のプレッシャーラインの前方にいるフリーの味方にボールを無事届けることができるのか? それとも後方からロングボールを入れるダイレクトな攻撃もするのだろうか。

久保はドイツ相手でも爆発できるか?

 最後に相手ボール時に、日本はドイツ相手に敵の球際に厳しく強いプレスを継続してかけることができるか? ここも大きなポイントだ。日本はいつも前半はプレスがゆるくなる。そこも気をつけてチェックしたい。

 個人的には選手個々よりむしろチーム全体のふるまいに興味があるので、チェックポイントは上に書いたような内容になった。ただ一点だけ、選手に触れるとすれば久保建英だ。

 ラ・リーガのゆるい守備を相手に久保がいま点を取りまくり大爆発しているが、彼はドイツの強靭なプレス網に対しても同じことができるのか? ここが知りたい。グラナダ戦は観たが、彼らはひどい守備だった。あれでは点が取れて当たり前だろう。

 もし久保が代表でも同じことができるのだとしたら、久保への疑念は払拭される。その意味でも森保監督は途中出場でいいからぜひ彼を出してほしい。

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