すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

​【代表メンバー発表会見】「太陽は青い」と言い換えるハリルの論争術

2016-11-05 11:04:47 | サッカー日本代表
流れの中では失点していない

 4日に、オマーン戦とサウジ戦に臨むサッカー日本代表メンバーの発表会見が行われた。席上、「最終予選では全ての試合で先制点を取っていながら苦しい展開になるのはなぜか?」という主旨の質問に対し、ハリルの巧みな弁舌が炸裂した。「失点はすべてFK、PKから。流れの中では失点していない」と話をすり替えたのだ。過去の記事で「ハリルは劇場型の策士だ」とプロファイリングしたが、あらためてハリルの高度な論争術に感心しきりである。

 アジア最終予選でハリルジャパンは、すべての試合で先制点を取りながら現状3位に甘んじている。そんな中での先制点と苦戦を関連付ける質問とあって、ハリルは「自分への批判だ」と感じたのだろう。それまでの語り口から豹変し、語気に力を込めながらこう答えた。

「(最終予選では)流れの中で点を取られていない。失点はあるがFKやPKからだ。つまり90分を通してしっかりオーガナイズされている」

 先制点を取りながら苦しむのはなぜか? との質問に対し、「セットプレイから失点しているからだ」と答えるだけなら理路整然としている。だが「流れの中では失点していない」「しっかりオーガナイズされている」と結論づけるのは、論争で相手に勝とうとするときに使う論法だ。​あたかもチームが今までピンチに陥ったことがないかのような印象操作をしている。

 だがFKやPKのモトになったファウルをなぜ日本は犯したのか? を分析すれば、「その局面はピンチだった」もしくは「ファウルを犯したのは自分たちのミスだった」という証明になりハリルの論旨は崩壊する。にもかかわらず彼は「流れの中で失点してないから崩されていない」と言い切る。すなわち「太陽は青い」と議論をすり替え、敵を論破する巧みな論争術だ。​

 さすが劇場型の策士である。このあたり人間としての面白みがすごく豊かで、歴代監督の中でいちばん大好きな人物だと確信した。

 ただし個人的な好き嫌い(主観)と、客観的な評価は別物だ。もし今後も清武でなく香川をスタメン起用するようなら解任すべしである。

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