すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【東京五輪・スペイン戦総括】堂安と林の交代には疑問が残った

2021-08-04 06:20:03 | サッカー日本代表
交代策が「機械的」で有効じゃない

 東京五輪のスペインとの準決勝。

 後半20分に日本はFW林大地に代え、上田綺世を送り出した。

 そして延長戦の冒頭から久保と堂安を引っ込め、三好と前田を投入した。

 この2つの交代策には疑問が残った。

 まず前者の交代策では、ポストをこなしていた林を下げたことにより、日本は前線での基点を失った。

 代わって入った上田はまったく機能せず、シュートチャンスが驚くほどこない。彼は林のような粘りのポストワークもまるでできず、これで日本は最前線の基地を失った状態になる。

堂安交代への大きな疑問

 また久保と堂安をセットで下げた、後者の交代策も疑問だった。

 おそらく森保監督は「2列目の久保と堂安はワンセットだ」という先入観に囚われていた。で、バテバテだった久保と一緒に、堂安もいっぺんに代えてしまったのだろう。

 だがバテていた久保と違い、堂安は非常によく効いていたし、まだ動けた。

 堂安は久保とちがい、攻撃だけでなく守備でも効いていた。激しくデュエルを挑んでいた。

 その堂安が下がったことで、日本は中盤の重要な「要」を失った。

 これは痛かった。

 こんなふうに森保監督の交代策はいつも、「前日から考えてあった」ようなものが多い。

「久保と堂安はセットだから一緒に代えよう」

 それだけだ。機械的で実際的じゃない。

「いま目の前で起こっている現象」に対応するのでなく、前夜に一夜漬けで考えてきたような交代策を振るうことが多い。

 だから森保監督には、こういう戦術変更や作戦の策定ができない。

 これは致命的な問題だ。

ゾーンの設定は誰のアイディアか?

 もうひとつ、気になるのはスペイン戦での戦い方だ。

 日本はゾーンを下げて敵を呼び込みカウンターを狙ったが、あの戦い方は果たして「森保監督の指示」だったのか?

 それとも例によって「選手たちだけ」で話し合って決めた戦術なのか?

 もし前者ならば納得するが、後者なら「じゃあ監督はいらないよね」という話になる。

 森保監督をめぐっては常にこうした「選手の自主性」か? それとも「監督の指導力か?」という問題が浮かび上がる。

 もちろんサッカーは個々の局面では選手の判断でプレイするものだが、それよりもっと大きなワク組、つまり「ゲームモデル」は監督が策定するものだ。

 ゲームモデルなしではチーム内でのケースごとの意思統一や、作戦の有効性、反復性が失われてしまう。

日本人監督の限界を感じた

 確かに今回のスペイン戦では、延長までひたむきに死闘を繰り広げた選手たちの姿に胸が熱くなった。

 選手たちは良く戦った。

 だが戦い方のコンセプトワークや交代策を考えると、ハッキリ「日本人監督の限界」を感じた。

 サッカー日本代表は、果たしてこのままでいいのだろうか?

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【東京五輪・森保ジャパン】日本、準決勝の延長後半115分に散る 〜U-24日本 0-1 U-24スペイン

2021-08-04 05:16:57 | サッカー日本代表
あと5分でPK戦だった

 サッカーU-24日本代表は8月3日、東京オリンピック準決勝でU-24スペイン代表と戦い、延長戦の末0-1で負けた。

 試合開始からスペインがポゼッションして攻め込み、日本が最終ラインを低くして待ち受ける形が続いた。

 日本のブロック守備は機能し、スペインのポゼッション率は66%と相手に譲ったが、ある意味、日本がゲームをコントロールした。

 何度かあった敵の決定機を跳ね返しながら粘ったが、延長戦終了寸前5分前にスペインのアセンシオにゴール左スミにシュートを決められ日本の冒険は終わった。

 スペインのシュートとパスの精度は、明らかに日本を上回っていた。明確な差があった。日本の守備的戦術によって結果的に接戦にはなったが、勝利にふさわしいのはやはりスペインだった。

日本のワントップは林大地だ

 日本のフォーメーションは4-2-3-1だ。スタメンはGKが谷晃生。最終ラインは右から酒井宏樹、吉田麻也、板倉滉、中山雄太だ。

 CMFは遠藤航と田中碧。2列目は右から堂安律、久保建英、旗手怜央。ワントップは林大地である。

 一方、スペインは4-1-2-3だ。

 日本は立ち上がり、ハイプレスで入った。プレスは効いていた。

 ブロック守備に移るとやや最終ラインが低かったが、時折マイボールにして少ないながらもチャンスは作った。

 久保は敵のアンカー、マルティン・スビメンディをマークしながら互いが互いを消しあっている。

 堂安も板倉もよく守備をしており、非常に効いていた。

 前半30分頃から、日本の時間になった。日本はポゼッションして攻撃。2本のシュートを放った。久保と堂安のコンビは機能し、攻めに効いている。

 前半39分、スペインはラファ・ミルが抜け出しGK谷と1対1になりシュートを打ったが、絶体絶命のピンチを谷がファインセーブした。

 日本はこのまま粘り強く戦えば必ずチャンスはくる。ガマン比べだ。

後半、日本のデキが良くなりチャンスを作る

 後半の立ち上がり、日本は速いトランジションからチャンスを作った。こうしたワンチャンスは必ずくる。

 日本は明らかに前半よりいい。ボールは敵に持たせているが、チャンスは作っている。

 後半7分。自陣からのロングボールを旗手が抜け出して受け、最後は林がペナルティアーク内でシュートを放つが枠の右へ外れた。

 後半11分。ククレジャが左サイドからクロスを入れ、メリノが中央で受けて仕掛けると吉田と接触し倒れる。

 ファウルの判定でPKが宣されたが、VARチェックの結果、ファウルもPKも取り消しになった。助かった。

GK谷が立て続けにファインセーブする

 日本は前半より明らかに守備が良くなった。おそらくスペインは「なかなか点が取れない」と考えているだろう。

 後半20分。日本は林に代えて上田、旗手に代えて相馬を投入する。相馬投入は良いが、林はまだ動けた。作戦ミスだ。

 投入された上田はなかなか試合に入れず、シュートチャンスもまったく来ない。日本は林が消えたせいで自ら前線の基点を放棄した形になった。これは痛い。

 疑問の残る交代だった。

 ただし旗手と代わって入った相馬は非常によく、彼はうまく幅を取りドリブルから鋭いクロスを入れた。  

 日本のネガティブ・トランジションは効いている。

 後半31分。ラファミルがこぼれ球に反応してシュートに持ち込んだが、GK谷がナイスセーブでシュートを防いだ。谷は非常にいい。

 後半43分。ラファミルがペナルティエリア右からシュートを放つ。だが続けてGK谷がすばらしい反応でセーブした。
 
 おそらくスペインは焦っているだろう。

 日本の攻守がボディブローのように効いてきている。

延長後半、この試合唯一の完全な決定機をスペインに決められる

 試合は延長戦に入り、日本は頭から久保に代えて三好をトップ下に、堂安に代えて前田大然を右SHに投入した。まだ動けた堂安の交代には疑問が残った。

 延長前半12分。中山が左サイドからクロスを入れ、前田がゴール前へ飛び込んでDF2人と競りながらヘディングシュート。だがわずか枠の右へ外れた。

 延長戦も後半に入った。

 どちらかにワンチャンスが来れば試合は終わる展開だ。

 だが幸運の女神はスペインに微笑んだ。

 延長後半10分。オヤルサバルが日本のペナルティエリア右へパスを送り、日本は一瞬、アセンシオをフリーにしてしまった。

 受けたアセンシオはターンし左足を振り抜く。

 シュートが美しい軌道を描いてゴール左スミに突き刺さった。

 日本の冒険は終わった。ただしオリンピックがW杯と違うところは、準決勝で負けてもまだ「銅メダル」がある点だ。

 メキシコとの3位決定戦は、8月6日(金)の20:00に行われる。

 日本はこのラストチャンスに賭けたい。

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