ハイライン・ハイプレスが超絶的だった
現地時間11月7日に欧州チャンピオンズリーグの第4節が行われ、ラツィオとフェイエノールトが対戦した。試合は1-0でホームのラツィオが競り勝った。右インサイドハーフでスタメン出場した鎌田大地がレギュラー獲りに雄々しく名乗りを上げた。
地味だが、非常に戦術的な醍醐味のあるゲームだった。フェイエノールトの最終ラインがボールを保持したビルドアップ時、ラツィオはハーフウェイラインのすぐ手前に超ハイラインを設定し、なんと前の7枚が敵陣へ入って総がかりでハイプレスをかけた。
第一陣は4枚、それをプッシュアップする第二陣が3枚だ。この前からの強い圧力に前半のフェイエノールトは苦しみ、ビルドアップの精度を欠いた。
それでも次第にフェイエノールトはボランチをうまく使ってボールの逃げ道を作り、ラツィオの圧から逃れるようにはなった。だが肝心のゴールを奪うまでには至らなかった。
かくて前半46分にラツィオのFWチーロ・インモービレがボックス内へ侵入し、ゴール右の角度のない所から素晴らしいゴラッソを叩き込んだ。鎌田はこのとき、きっちりゴール前に詰めてこぼれ球に備えていた。見えないファインプレーだ。
さて、これでラツィオの勝利は決まった。彼らはこの試合をものにしたことで、2勝1分けのグループ2位となり決勝トーナメント圏内に浮上した。
鎌田は「可もなく不可もなく」だったか?
では本題である鎌田の話に移ろう。
この試合における各メディアの鎌田に対する評価は、おおむね「可もなく不可もなく」レベルだった。だが個人的にはまったく解せない。
鎌田は運動量も多く、守ってはよくプレスをかけ、攻めては攻撃の起点になる重要なパスを何度も展開していた。
一方、鉄板のレギュラーだとされる左インサイドハーフのルイス・アルベルトはフィジカルが弱く、案外ボールをロストしていた。この試合での鎌田は彼よりデキがよかった。
よさがわかりにくい鎌田大地
そんな鎌田という選手は、よさが非常にわかりにくい選手である。例えば一見してそれとわかるダイナミックなエネルギー感でもあればわかりやすいが、鎌田はそれとはまったく対極にあるタイプだ。
逆に、彼はいい意味でカラダの力がすっかり抜けており、決して力まずひょうひょうと軽やかにプレイする。そのサマはまるで道を究めた剣の達人のようだ。
そんな鎌田のプレイを見て、「躍動感やエネルギー感がないぞ。なんだか気力がなさそうに見えるな。この選手はいったいどこがいいのだろうか?」と疑問に思う人もいるのではないだろうか? そう、鎌田はよさがわかりにくいのだ。だから損をする。
反対に同じ右インサイドハーフのライバルであるゲンドゥージなどは、プレイに躍動感やエネルギー感があり、一見して「いい!」と感じる。観る者にわかりやすいよさがある。鎌田とは好対照だ。だが、実はどちらもいい選手なのだ。
サッリの戦術さえ十分に理解すればチャンスはある
そこで疑問に思うのは、鉄板のレギュラーだとされている左インサイドハーフのルイス・アルベルトである。彼はどちらかといえば鎌田と同じで、わかりやすい躍動感やエネルギー感はない。しかもこの試合を観ればわかる通り、案外、重要な場面でボールロストしたりもしている。
もちろん彼の技術が高いのはわかるが、それにしてもなぜこの選手が「絶対の鉄板」なのだろう? とも感じる……。だがズバリ、鎌田との違いは、彼の過去の長年のラツィオでの実績とチームで果たす役割だ。
ルイス・アルベルトは2016年から7年間もラツィオに在籍し、その間、セリエA月間最優秀選手賞を取るなどの活躍をしてきた。そしてサッリの着任以来、彼の右腕であり続けてきた。
要するにルイス・アルベルトが絶対的だとされているのはそうした継続的なチーム内での実績と、サッリ特有のユニークな戦術「サッリ・ボール」を誰よりもよく理解し実践しているからだ。
とすれば技術面では決して彼に劣らない鎌田がレギュラーを獲るには、少し長い目で見てサッリの戦術をしっかり理解すればいいだけの話だ。そうすれば彼の持つ高い技術がますます生きてくる。こう考えれば、鎌田のレギュラー獲りはそれほど遠い日のことではないかもしれない。
現地時間11月7日に欧州チャンピオンズリーグの第4節が行われ、ラツィオとフェイエノールトが対戦した。試合は1-0でホームのラツィオが競り勝った。右インサイドハーフでスタメン出場した鎌田大地がレギュラー獲りに雄々しく名乗りを上げた。
地味だが、非常に戦術的な醍醐味のあるゲームだった。フェイエノールトの最終ラインがボールを保持したビルドアップ時、ラツィオはハーフウェイラインのすぐ手前に超ハイラインを設定し、なんと前の7枚が敵陣へ入って総がかりでハイプレスをかけた。
第一陣は4枚、それをプッシュアップする第二陣が3枚だ。この前からの強い圧力に前半のフェイエノールトは苦しみ、ビルドアップの精度を欠いた。
それでも次第にフェイエノールトはボランチをうまく使ってボールの逃げ道を作り、ラツィオの圧から逃れるようにはなった。だが肝心のゴールを奪うまでには至らなかった。
かくて前半46分にラツィオのFWチーロ・インモービレがボックス内へ侵入し、ゴール右の角度のない所から素晴らしいゴラッソを叩き込んだ。鎌田はこのとき、きっちりゴール前に詰めてこぼれ球に備えていた。見えないファインプレーだ。
さて、これでラツィオの勝利は決まった。彼らはこの試合をものにしたことで、2勝1分けのグループ2位となり決勝トーナメント圏内に浮上した。
鎌田は「可もなく不可もなく」だったか?
では本題である鎌田の話に移ろう。
この試合における各メディアの鎌田に対する評価は、おおむね「可もなく不可もなく」レベルだった。だが個人的にはまったく解せない。
鎌田は運動量も多く、守ってはよくプレスをかけ、攻めては攻撃の起点になる重要なパスを何度も展開していた。
一方、鉄板のレギュラーだとされる左インサイドハーフのルイス・アルベルトはフィジカルが弱く、案外ボールをロストしていた。この試合での鎌田は彼よりデキがよかった。
よさがわかりにくい鎌田大地
そんな鎌田という選手は、よさが非常にわかりにくい選手である。例えば一見してそれとわかるダイナミックなエネルギー感でもあればわかりやすいが、鎌田はそれとはまったく対極にあるタイプだ。
逆に、彼はいい意味でカラダの力がすっかり抜けており、決して力まずひょうひょうと軽やかにプレイする。そのサマはまるで道を究めた剣の達人のようだ。
そんな鎌田のプレイを見て、「躍動感やエネルギー感がないぞ。なんだか気力がなさそうに見えるな。この選手はいったいどこがいいのだろうか?」と疑問に思う人もいるのではないだろうか? そう、鎌田はよさがわかりにくいのだ。だから損をする。
反対に同じ右インサイドハーフのライバルであるゲンドゥージなどは、プレイに躍動感やエネルギー感があり、一見して「いい!」と感じる。観る者にわかりやすいよさがある。鎌田とは好対照だ。だが、実はどちらもいい選手なのだ。
サッリの戦術さえ十分に理解すればチャンスはある
そこで疑問に思うのは、鉄板のレギュラーだとされている左インサイドハーフのルイス・アルベルトである。彼はどちらかといえば鎌田と同じで、わかりやすい躍動感やエネルギー感はない。しかもこの試合を観ればわかる通り、案外、重要な場面でボールロストしたりもしている。
もちろん彼の技術が高いのはわかるが、それにしてもなぜこの選手が「絶対の鉄板」なのだろう? とも感じる……。だがズバリ、鎌田との違いは、彼の過去の長年のラツィオでの実績とチームで果たす役割だ。
ルイス・アルベルトは2016年から7年間もラツィオに在籍し、その間、セリエA月間最優秀選手賞を取るなどの活躍をしてきた。そしてサッリの着任以来、彼の右腕であり続けてきた。
要するにルイス・アルベルトが絶対的だとされているのはそうした継続的なチーム内での実績と、サッリ特有のユニークな戦術「サッリ・ボール」を誰よりもよく理解し実践しているからだ。
とすれば技術面では決して彼に劣らない鎌田がレギュラーを獲るには、少し長い目で見てサッリの戦術をしっかり理解すればいいだけの話だ。そうすれば彼の持つ高い技術がますます生きてくる。こう考えれば、鎌田のレギュラー獲りはそれほど遠い日のことではないかもしれない。