■「評価されるべきものが認められない」は自分を慰める口実だ
「自分は才能があるのに認められない」
「能力を適正に評価されてない」
これはいつの時代、どこの世界にもある人間ならではの煩悶である。
承認欲求とそれが満たされないことへの怨恨は、「恵まれてしかるべきなのに恵まれない自分」の現状を説明する合理的な理屈はないかと探し始める。で、たどりつくのが、「そうかもしれない」と思わせる都合のいい論理である。
「どんなにいい記事を書いても、無名ブロガーは人気エントリ入りするのがむずかしい。能力はあっても認められない。実力以外の要素で勝ち上がれる今の世の中はおかしいんじゃないか?」
認められないのは自分に能力がないからじゃなく、常に世の中のせいなのだ。これってブログの世界に限らず、また今の時代だけの話じゃなく、いつの時代も人間が抱きがちな思いである。
■「人気エントリ入り」は読者獲得の絶対条件ではない
たとえばこれと同じことは、はてなブックマークがスタートした3年前にも言われていた。はてブが始まったのは2005年2月だが、以下の記事はその3ヵ月後、2005年5月に書かれたものだ。論旨は上で引用した記事とほとんど同じである。
確かにいったんSBMでブクマされる常連ブログになってしまうと、あまり面白いとはいえない記事にまで大量のブクマがつくことはある。その意味では、これらの記事の分析は一面事実である。
だけどちょっと考えてみよう。
まず第一に、これらの記事は「読者を獲得する上で、はてなブックマークは絶対的な存在である」という前提の上に立っている。だが読者を得るための手段は、別にはてブで取り上げられることだけじゃない。
むしろ説得力を感じるのは、これらの記事より『ブログを始めてからアクセスが伸びるまで』(北の大地から送る物欲日記)の論旨の方である。
■更新頻度と人気の高さは密接な関係がある
もうひとつ、この記事はうなづける論点を提示している。それはブログの更新頻度と人気の関係だ。
たとえば当ブログの昔からの読者の方ならおわかりだと思うが、私のブログは更新頻度がハチャメチャだ。やる気になれば頻繁に記事を書くけど、熱が冷めるととたんに書かなくなる。1年近く更新しない、なんてことも過去にあった。駄目ブログの典型である。
そんな毎日だからよくわかるのだが、記事の更新頻度がスーッと下がると、アクセス数は潮が引くように落ちていく。数ヶ月単位で更新しない日が続けば、1日当たりのユニークIP数が200とか300なんて状態が続く。もうほとんど「ないも同じ」状態だ。
ところが気が向いて毎日1本づつ欠かさず更新し始めると、これまた潮が満ちるようにアクセス数が上がっていく。で、いつのまにか元のレベルに戻る。
いったんはゼロになり完全に見放された(笑)わけだから、このとき増えた読者は以前とまったく同じ読者層とは考えにくい。とすれば状況的には、初めてブログを書く人が新規参入したのに近い状態だろう。
でもコツコツと毎日更新していれば、アクセス数が元に戻るまでにそれほど時間はかからない。(もっとも「戻った」といっても大した数字じゃないが)
これは自分が記事を読む立場になればよくわかる。更新頻度が低いと、RSSリーダに登録しても意味がないからだ。
ただでさえブログの総数はとんでもない。なのにたまにしか更新しないブログまで網羅していると、リーダへの登録数が膨大になってしまう。
だから月に1回、120点の記事を公開するブログより、3日に1回、80点の記事を書き続けるブログの方が登録されやすい。そのぶん読者も獲得しやすいはずだ。
■はてブでアクセスしてくる人は、ほかのエントリは読まない
はてブで人気エントリになると、ワッと一時的にアクセス数が増える。だから効果が見えやすい。で、「はてブで取り上げられること」は、読者獲得の必須事項であるかのように感じてしまう。
だが一方、更新する頻度が人気につながる過程は目に見えにくい。だからつい軽視しがちだ。しかし前述の通り更新頻度って、ブログの人気度アップに計り知れない貢献をしているのである。
【本日の結論】
「はてブで人気エントリになること」は、読者を得るきっかけにはなっても決定的な要因にはなり得ない。第一に、はてブからアクセスしてくる人は、はてブで取り上げられた1エントリは読むが、ほかのエントリはほとんど読まない。
つまりブログ自体の読者になってもらうのって、そんな簡単なことじゃない。
また第二の理由は、人気エントリ入りで一時的に読者が増えたとしても、その後、一定水準をクリアする記事を平均的なペースで書き続ける必要があることだ。
なんせ更新頻度が下がれば、元の木阿弥なのだから。
(追記)私が利用しているgooブログのアクセス解析ツールは、記事を更新せず放置しておくと「300IPくらいで一定になる」という証言をekkenさんから得ました(『gooブログのカウンター表示は怪しいらしい』)。私も過去に、ekkenさんとまったく同じ体験をしました。で、その体験をもとに私が何気なく書いた「200~300IP」という数字が、誤解を受けているようなので追記しておきます(2008年2月14日)
【関連エントリ】
『ブログを毎日書くとクリエイティブな思考が「クセ」になる』
『ホットな話題にリアルタイムでからむブログ力』
『「クセをつけろ」があなたの人生を変える』
「自分は才能があるのに認められない」
「能力を適正に評価されてない」
これはいつの時代、どこの世界にもある人間ならではの煩悶である。
承認欲求とそれが満たされないことへの怨恨は、「恵まれてしかるべきなのに恵まれない自分」の現状を説明する合理的な理屈はないかと探し始める。で、たどりつくのが、「そうかもしれない」と思わせる都合のいい論理である。
現在、ブログで人気エントリになるのは有名ブロガーのばかりだ。たとえ同じ内容のエントリを書いたとしても、知名度によって人気エントリになるかどうか大きく変わってくる。これが大多数のブロガーのモチベーション低下につながるのではないかなと、少し思うのだ。
●BLOG15.NET『ブログはこれからおもしろくなるのかな?』
「どんなにいい記事を書いても、無名ブロガーは人気エントリ入りするのがむずかしい。能力はあっても認められない。実力以外の要素で勝ち上がれる今の世の中はおかしいんじゃないか?」
認められないのは自分に能力がないからじゃなく、常に世の中のせいなのだ。これってブログの世界に限らず、また今の時代だけの話じゃなく、いつの時代も人間が抱きがちな思いである。
■「人気エントリ入り」は読者獲得の絶対条件ではない
たとえばこれと同じことは、はてなブックマークがスタートした3年前にも言われていた。はてブが始まったのは2005年2月だが、以下の記事はその3ヵ月後、2005年5月に書かれたものだ。論旨は上で引用した記事とほとんど同じである。
SBMのランキング機能は(中略)、SBMのユーザ数が少ない今でこそ有効に機能しているものの、今後ユーザ数が増えるに従って
・「注目されているサイトがますます注目される」
というベキ乗の法則に従うようになって、一度注目されたサイトはひたすらクリップされるけど、注目されないサイトは内容に関わらずいつまでも衆目に触れないということになってしまうのではないでしょうか?
●無印吉澤『「同質的」という単語の意味 / SBMはロングテールの敵か?』
確かにいったんSBMでブクマされる常連ブログになってしまうと、あまり面白いとはいえない記事にまで大量のブクマがつくことはある。その意味では、これらの記事の分析は一面事実である。
だけどちょっと考えてみよう。
まず第一に、これらの記事は「読者を獲得する上で、はてなブックマークは絶対的な存在である」という前提の上に立っている。だが読者を得るための手段は、別にはてブで取り上げられることだけじゃない。
むしろ説得力を感じるのは、これらの記事より『ブログを始めてからアクセスが伸びるまで』(北の大地から送る物欲日記)の論旨の方である。
ここで、「同じ質の記事を書いてるのに、無名な自分の記事は人気エントリにならず、有名ブロガーの記事は人気エントリになるのはおかしい!」と言いたくなる気持ちはよく分かるが、有名ブログはどうして読者が多いのかを考える必要がある。
元々知名度の高い人がブログを始める場合もあるかもしれないが、多くの場合にはブログで過去に書かれた記事によって読者をじわじわ獲得してきた結果、有名ブログになってる訳で、ブログという場にたまった評価が上乗せ、いや、かけ算で効いてくる。(強調表現は松岡による/途中で改行した)
●北の大地から送る物欲日記『ブログを始めてからアクセスが伸びるまで』
■更新頻度と人気の高さは密接な関係がある
もうひとつ、この記事はうなづける論点を提示している。それはブログの更新頻度と人気の関係だ。
ブログに新規参入した人が気づいていない、もしくは軽視しがちな部分として更新頻度がある。更新頻度が高い、特に毎日更新されるようなブログはアクセスが伸びやすい。
数多く更新されることで常に新しい情報が得られることや、多くの記事があれば、ある読者にヒットする物も見つかりやすいという効果が思ったより大きいのと、過去記事に検索エンジン経由でやってくるアクセスがほんの少しずつではあるが積もり重なって、気づくと結構な量になっているというのがある。(強調表現は松岡による/途中で改行した)
たとえば当ブログの昔からの読者の方ならおわかりだと思うが、私のブログは更新頻度がハチャメチャだ。やる気になれば頻繁に記事を書くけど、熱が冷めるととたんに書かなくなる。1年近く更新しない、なんてことも過去にあった。駄目ブログの典型である。
そんな毎日だからよくわかるのだが、記事の更新頻度がスーッと下がると、アクセス数は潮が引くように落ちていく。数ヶ月単位で更新しない日が続けば、1日当たりのユニークIP数が200とか300なんて状態が続く。もうほとんど「ないも同じ」状態だ。
ところが気が向いて毎日1本づつ欠かさず更新し始めると、これまた潮が満ちるようにアクセス数が上がっていく。で、いつのまにか元のレベルに戻る。
いったんはゼロになり完全に見放された(笑)わけだから、このとき増えた読者は以前とまったく同じ読者層とは考えにくい。とすれば状況的には、初めてブログを書く人が新規参入したのに近い状態だろう。
でもコツコツと毎日更新していれば、アクセス数が元に戻るまでにそれほど時間はかからない。(もっとも「戻った」といっても大した数字じゃないが)
これは自分が記事を読む立場になればよくわかる。更新頻度が低いと、RSSリーダに登録しても意味がないからだ。
ただでさえブログの総数はとんでもない。なのにたまにしか更新しないブログまで網羅していると、リーダへの登録数が膨大になってしまう。
だから月に1回、120点の記事を公開するブログより、3日に1回、80点の記事を書き続けるブログの方が登録されやすい。そのぶん読者も獲得しやすいはずだ。
■はてブでアクセスしてくる人は、ほかのエントリは読まない
はてブで人気エントリになると、ワッと一時的にアクセス数が増える。だから効果が見えやすい。で、「はてブで取り上げられること」は、読者獲得の必須事項であるかのように感じてしまう。
だが一方、更新する頻度が人気につながる過程は目に見えにくい。だからつい軽視しがちだ。しかし前述の通り更新頻度って、ブログの人気度アップに計り知れない貢献をしているのである。
【本日の結論】
「はてブで人気エントリになること」は、読者を得るきっかけにはなっても決定的な要因にはなり得ない。第一に、はてブからアクセスしてくる人は、はてブで取り上げられた1エントリは読むが、ほかのエントリはほとんど読まない。
つまりブログ自体の読者になってもらうのって、そんな簡単なことじゃない。
また第二の理由は、人気エントリ入りで一時的に読者が増えたとしても、その後、一定水準をクリアする記事を平均的なペースで書き続ける必要があることだ。
なんせ更新頻度が下がれば、元の木阿弥なのだから。
(追記)私が利用しているgooブログのアクセス解析ツールは、記事を更新せず放置しておくと「300IPくらいで一定になる」という証言をekkenさんから得ました(『gooブログのカウンター表示は怪しいらしい』)。私も過去に、ekkenさんとまったく同じ体験をしました。で、その体験をもとに私が何気なく書いた「200~300IP」という数字が、誤解を受けているようなので追記しておきます(2008年2月14日)
【関連エントリ】
『ブログを毎日書くとクリエイティブな思考が「クセ」になる』
『ホットな話題にリアルタイムでからむブログ力』
『「クセをつけろ」があなたの人生を変える』